「生殺与奪の権を他人に握らせるな!」
大人気作品『鬼滅の刃』で、冨岡義勇(とみおか ぎゆう)が主人公・竈門炭治郎(かまど たんじろう)に向かって放った言葉です。名ぜりふとして多くの人に愛されているフレーズですが、「生殺与奪(せいさつよだつ)」とは、どんな意味なのでしょう? ちょっと深掘りしてみました!
「生殺与奪」とは?
生殺与奪の意味は、「他人を、どのようにでも思うままに支配すること」。多くの場合、「生殺与奪の権」というひとまとまりで使われます。
意味の上では「生=生かす」「殺=殺す」「与=与える」「奪=奪う」という1文字ずつに分けられ、さらに前半2つと後半2つが、それぞれ逆の意味を持つセットになっています。
生かすも殺すも、与えるも奪うも、他人の手に握られているなんて恐ろしいけれど、考えてみたらそんなケース、けっこうあるかもしれません。義勇から私たちへの忠告かもしれませんね。
「生殺与奪」っていつごろから使われていた言葉なの?
言葉が初めて使われた時期を正確に知ることはなかなか難しいのですが、文献に残るもっとも古い記録は、1868年の『泰西国法論』(『日本国語大辞典』)。この年は王政復古の大号令、戊辰戦争、元号が明治に変わるなど、幕末~明治の動乱の真っただ中にあった年です。いろいろ考えてしまいますね。
アイキャッチ画像:歌川広景『広景写生 両国の虎』メトロポリタン美術館より
参考文献:
・『デジタル大辞泉』小学館
・『日本国語大辞典』小学館
・大野晋、浜西正人『角川類語新辞典』角川書店
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