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2022.08.01

ゴールデンカムイの「札幌のビール工場」はどこ?聖地を3分で解説

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『ゴールデンカムイ』は、明治後期の北海道を舞台とした野田サトル作のマンガで、TVアニメも話題です。ファンの中には、「ゴールデンカムイ 聖地巡礼」として、物語に登場する場所を訪ね歩く人もいるようです。

ここでは、そんな聖地の一つである「札幌のビール工場」についてご紹介します。

大学の卒業旅行で行ったな〜

『ゴールデンカムイ』ってどんな作品?

まず、『ゴールデンカムイ』について簡単に説明します。

明治後期の北海道、日露戦争を生き抜いた元軍人の主人公、杉元佐一が、アイヌの少女アシリパとともに、網走監獄の囚人らがアイヌから強奪して隠したという埋蔵金探しに挑む物語。2014年から、『週刊ヤングジャンプ』(集英社)で連載され、2022年6月現在、29巻まで刊行されています。手に汗握るサバイバルもさることながら、アイヌ民族の文化や歴史についての描写も高く評価されています。

アイヌの文化や蝦夷地の当時の生活について勉強になる漫画!最近アニメも見返しています。

北海道開拓とビール醸造の歴史

今回のテーマの「札幌のビール工場」は、『ゴールデンカムイ』のコミックス26巻に登場します。

「札幌ビール工場」と聞いて、北海道旅行の定番訪問地「サッポロビール園」(サッポロビール株式会社が運営)を想像する人は少なくないでしょう。しかしながら、そこにビール工場はありません。

あ、わたしが行ったのはこちらの「サッポロビール園」でした…!

これは、サッポロビール株式会社の歴史、北海道開拓の歴史と関係があります。

明治新政府は明治2(1869)年、北海道開拓のため開拓使を設置。さまざまな事業をはじめた中に、ビール醸造がありました。

北海道大学所蔵

開拓使は日本人としてはじめて本場ドイツで修業したビール醸造人中川清兵衛を迎え入れ、明治9(1876)年、北海道札幌市に「開拓使麦酒醸造所」を完成させます。サッポロビールは、これをルーツとします。その跡地は、商業施設「サッポロファクトリー」となっています。

その後、札幌製糖会社の製糖工場として建設された建物を、明治36(1903)年にサッポロビールが買い取り、製麦工場として稼働させました。昭和41(1966)年に、先の工場は札幌第1工場となり製麦工場も醸造を開始し札幌第2工場となりました。この第2工場には「開拓使麦酒記念館」(現在のサッポロビール博物館)と「サッポロビール園」というレストランが併設されました。のちの昭和64(1989)年にビール製造の中心は恵庭市に移りました。※現サッポロビール北海道工場

“金カム”ファンはサッポロファクトリーへ!

サッポロビール広報部にたずねたところ、「『ゴールデンカムイ』に描かれている工場の場所は、現在のサッポロファクトリーに当たると思います」という返答をいただきました。

ファンは、サッポロファクトリーの札幌開拓使麦酒醸造所で明治のビールに思いを馳せてみましょう。また、『ゴールデンカムイ』の世界観、北海道開拓の歴史を深く学ぶなら、ビール博物館なども一緒に巡ってみては?

7月20日にゴールデンカムイとサッポロビールのタイアップデザイン缶(北海道限定)が発売されるそうですよ!

1893年当時の札幌工場

『ゴールデンカムイ』聖地巡りに役立てていただけそうな、施設を簡単なリストにまとめます。

■サッポロファクトリー(開拓使麦酒醸造所の跡地)

北海道札幌市中央区北2条東4丁目
https://sapporofactory.jp/

■サッポロビール博物館/サッポロビール園(製麦工場跡地)

北海道札幌市北7条東9丁目2-10/札幌市北7条東9丁目1-1
https://www.sapporobeer.jp/brewery/s_museum/
https://www.sapporo-bier-garten.jp/

■サッポロビール北海道工場

北海道恵庭市戸磯542-1
https://www.sapporobeer.jp/brewery/hokkaido/
※『ゴールデンカムイ』聖地とはそれほど関係がありませんが、「庭園レストラン ヴァルハラ」もあっておすすめ!

アイキャッチ画像:サッポロビール博物館
取材協力・写真提供:サッポロビール広報部

▼漫画『ゴールデンカムイ』はこちら
ゴールデンカムイ 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

アニメはこちらから

書いた人

出版社勤務後、編プロ「ミトシロ書房」創業。著書に『入りにくいけど素敵な店』『似ている動物「見分け方」事典』など。民謡、盆踊り、俗信、食文化など、人の営みや祈りを感じさせるものが好き。四柱推命・易占を行い、わりと当たる。