Fashion&きもの

2024.01.30

「祇園ない藤」お誂のおはきものと歩む、第二の着物人生【原 由美の愛する「和」のひととき】

2023年6月、京都「祇園ない藤」でおはきものを誂(あつら)えた原由美さん。前編に続き「祇園ない藤」での特別な体験、そして和装への想いをお話しいただきます。

前編の記事はこちら
20年前の思い出を胸に「祇園ない藤」で誂えを【原 由美の愛する「和」のひととき】

はきものづくりは、本選びから?

前回の記事では、20年ぶりに訪れた「祇園ない藤」での、おはきものの誂えについてお話ししました。実は、おはきものの土台や素材を選ぶ前に、とても面白い体験をしたのです。

お店に着いてはじめに案内されたのは、色々なジャンルの本がアートのように置いてある、まるで書庫のような場所。そこで「目が合った本を3冊選んでください」とおっしゃるのは、店主の内藤誠治さん。なんでも、Book&Chatというオリジナルコンテンツを開発し、本を介したコミュニーケーションからその人の輪郭を掴み、その方らしいおはきものへと結び繋げていくのだそう。

「“誂え”というのは、ただお客さんの言う通りにつくるものではなく、職人と相談しながらつくり上げるもの。お客さんをよく知るために、対話を深め、一人一人のオリジナリティーと繋がり表現されたおはきものは、”Piece of Art”そのものです。」そう教えていただきました

この私にとって異空間での異次元の体験は、20年前とはまた違う、新鮮な誂えとなりました。

「祇園ない藤」のご主人、内藤誠治さん

本でコミュニケーションをとったあとに、おはきものの素材選びへ

どのようなおはきものになったかは、届いてからのお楽しみ

着物人生は、第二章へ

今はこうして和装を楽しんでいる私ですが、50歳という節目の年に相次いで父と母を見送った後、しばらくは着物に袖を通す気持ちになれませんでした。再び着てみようと思ったきっかけは、友人からの着物でのお出かけのお誘いです。「私も改めて一から着物を始めてみようかしら」と、久しぶりに前向きな気分になり、まるで着物への第二の扉が開いたような感覚でした。

箪笥に眠っている着物や帯を出しては合わせ、帯締めはどれがいいかと色合わせ。「たくさん持っているわけではないけれど、また新たな組み合わせに挑戦してみようかな」と、だんだん着物の楽しさが蘇りました。今まで長いこと手をつけずにいたはきものの箱を開けて中を見て見ると、ほとんどがそのままの状態で安堵。しかし、着物を始めたばかりの頃に購入した畳表のはきものにだけ、台座の真ん中に黒っぽいシミがあり、拭いても取れないのです。

ふと、お出かけ用のはきものの箱を見上げると「祇園ない藤」の箱が目に止まりました。「着物第二章の手始めに、畳表のおはきものを誂えようかしら。還暦を迎えた今、また誂えに挑戦してみたい」。そんな気持ちが沸き起こり、20年ぶりに「祇園ない藤」へ向かったのでした。

そして先日、待ちに待った品物が京都から届きました。それがこちら。

畳表に漆の組み合わせ。前坪の赤がポイント。撮影/原 由美

このおはきものとともに、第二の着物生活を歩んでいこうと思います。みなさまも特別な一足と出合えますように。

結城紬のきものに、ペルシャ華紋手織袋帯を締めて。ちらりと見える前坪が、シックなコーディネートのアクセントに

祇園ない藤


住所:京都市東山区祇園縄手四条下ル
電話:075-541-7110
営業時間:午後1時から午後6時
定休日:毎週火曜日、第2第4日曜日
公式サイト:http://gion-naitou.com/

撮影/篠原宏明

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原由美

原由美(モデル/苔玉講師) 数多くの女性誌・広告・CMなどで幅広くモデルとして活躍。 苔玉の魅力にひかれ、苔玉講師としても自宅でプライベート方式の教室・不定期でワークショップなどを行っている。
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