Craftsmanship

2024.02.09

実りの気配と、温かみを。二十四節気「秋」 【一生愛せる「うつわ」と出合う・その9】村田森(5)

季節とともにある日本人の暮らし。村田さん夫婦は、美しい雲ケ畑の変化の日々をついスマホで撮影してしまうと言います。 そんな村田夫妻の写真と、暦をめくるような楽しさにあふれた村田さんのうつわを季節ごとに紹介します。今回は「秋」。

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心地よい秋風に包まれる工房。仕事場から見える紅葉が、思わず仕事の手を止めてしまうほど美しいという。

処暑 しょしょ

大文字の送り火も過ぎ
ひんやりとした秋の気配

処暑(8月23日ごろ)とは「暑気止息(しょきしそく)する」という意味で、ようやく暑も収まり、実りの秋へと移りつつあります。こちらのうつわは凹型の型の上に土を置き、上から手で押さえて成形します。料理を盛る面を手で整えてつくるので、〝このぐらいの広さの見込みにすると、料理が盛りやすい〟など加減しているのだそう。

一番下の染付とら向付(むこうづけ)横17.0㎝ 19,800円。上の同型の2点のうつわは参考作品。

染付唐草醬油差し16,500円。

秋分 しゅうぶん

こっくりとした織部の釉薬が
秋の深まりを感じさせる

土もののうつわが恋しくなる秋本番。「これは料理を盛る面を成形するのに、凸型の型を使っている」という織部の皿です。中国の三彩(さんさい)からイメージを得て、アレンジしたそう。「染付が多いと評されますが、それだけで一年の食卓を彩ることはできなくて、秋冬には温かみのある土ものをつくりたくなるんです」。

釘彫りでゆったりと草花や鳥を表現した緑りょく釉三彩彫文線描皿(りょくゆうさんさいちょうもんせんびょうざら)。直径20.0㎝ 22,000円。

村田 森 むらた しん
1970年京都生まれ。1993年に京都精華大学陶芸科を、翌年に同研究科を卒業。荒木義隆氏に師事後に独立。2003年に京都・雲ケ畑に築窯し、年間10回以上個展を開いてきた人気作家でありながら、2016年に新作の発表を停止。2020年に、現代美術家の村上隆氏とともに陶芸専門店「となりの村田」(https://tonarinomurata.com/)を立ち上げ、二十四節気をテーマにした392点のうつわの受注生産を始める。

撮影/篠原宏明、小池紀行 構成/植田伊津子、後藤淳美(本誌)
※本記事は雑誌『和樂(2023年2・3月号)』の転載です。
※表示価格はすべて税込価格です(「となりの村田」https://tonarinomurata.com/)。
※掲載商品には1点ものや数量が限られているものがあり、取材時期から時間がたっていることから、在庫がない場合もあります。

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和樂web編集部

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