梅雨が明け、蓮の花が美しく咲く季節になりました。蓮の花の見頃は7月中旬~下旬ごろの午前中、『源氏物語』や『枕草子』にも夏の風物詩として描かれています。
蓮(はす)とはどんな花?
蓮の花といえば仏教の聖なる花。優しく凛とした美しい花のみならず、水をはじいて玉が散ったように見える葉も魅力で、花も葉も古くから愛されてきました。あのおいしい「蓮根(れんこん)」も蓮の根っこです。
「ハス」という名前は、花が散った後に残る形が蜂の巣に似ていることから「はちす」と呼ばれ、それが後に「はす」となったのだそう。
ちなみに、「スイレン」と「ハス」は見た目が似ていますが別の種類。葉の形や花が咲く位置、開花時期などに違いがあります。
「一蓮托生」とは?
古くから愛されてきたハスは、文学の世界にも数多く登場します。
「一蓮托生(いちれんたくしょう)」もハスに関連した四字熟語。
故事俗信ことわざ大辞典によると、「一蓮托生」の意味は次の通りです。
極楽浄土で同じ蓮華(れんげ)の上に生まれること。転じて、ものごとの善悪や結果のよしあしに関係なく、行動や運命を共にすること。
死後、極楽浄土で菩薩と同じ蓮華の上に生まれる、という阿弥陀信仰から出た言葉で、そこから現在の「運命共同体」といった意味に変わったのだそう。
同じ蓮の葉の上に生まれる、という発想はすでに平安時代に存在し、江戸時代には来世での恋の成就を願う表現として、浄瑠璃などに多く使われました。
参考文献:
・『日本の歳時記』小学館
・『日本国語大辞典』小学館
・『日本大百科全書(ニッポニカ)』小学館
・『デジタル大辞泉』小学館
・『故事俗信ことわざ大辞典』小学館