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2019.09.20

貴重な優品が続々来日!2019年秋に楽しめる全国の西洋美術展20選!

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1年のうちで一番「芸術」に対する関心が高まる季節と言えば秋ですよね。毎年、秋になると全国津々浦々の美術館で、その年一番の「勝負展」が開催されます。僕も毎年9月~11月頃にかけて、毎日のようにどこかの美術館に通い詰め、自宅の本棚には展覧会場で購入したグッズ類や分厚い図録の束で溢れかえります。

さて2019年の秋はどこに行こうかなぁと思い、北海道から沖縄までくまなく調べ上げた所、今年は「近代西洋絵画」の展覧会が非常に充実していることに気づきました。カラヴァッジョ、ゴッホ、ルノワール、クリムトといった西洋美術史に燦然と輝く巨匠たちの展覧会はもちろん、ストラスブール美術館展や吉野石膏コレクション展など、ある美術館のコレクションを特集した企画展、ブダペストやバルセロナといった「都市」に纏わる芸術を特集した展覧会など非常に多数の展覧会が始まります。

そこで、本稿ではこの秋日本各地で開催される数多くの注目展の中から、【西洋絵画】に絞って特にオススメの20展を一挙に紹介してみたいと思います!どれも本当に面白そうな展覧会なので、気になった展示があれば是非チェックしてみてくださいね。

オススメ展覧会1:「ストラスブール美術館展」(宮城県美術館)

この秋開催される西洋美術展の中でも、「穴場」的なオススメ展覧会が宮城県美術館で開催される「ストラスブール美術館展」。フランスはパリから車で約2時間ほど東に位置するストラスブールという街をご存知でしょうか?フランス・ドイツの国境地帯にあり、フランスでありながらドイツ的な雰囲気も漂う国際文化都市です。そのストラスブールには、実に10箇所以上のミュージアムがあるのですが、もし美術館を見て回るのであれば、印象派から現代美術までを網羅し、18,000点に及ぶコレクションを誇るフランス屈指の美術館である、ストラスブール近現代美術館は絶対に外せません。

本展では、そんなストラスブール近現代美術館が所蔵する近現代の巨匠たちの作品がズラリと来日。モネ、シスレーといった印象派の画家はもちろん、ゴーギャンやシニャックといった後期印象派、ロダン、カリエール、ローランサン、ピカソなど、20世紀前半までに活躍したビッグネームの作品が揃っています。もちろん、日本ではまだ知られていない、アルザス地方ゆかりのとっておきの画家も登場します!本展終了後、姫路市立美術館に巡回しますが(2019年11月12日~2020年1月26日)東京には巡回予定はありません。フランス絵画に目がない方は、ぜひ思い切って旅行も兼ねて遠征してみてはいかがでしょうか?!

展覧会名:ストラスブール美術館展
会場:宮城県美術館(〒980-0861 仙台市青葉区川内元支倉34-1)
会期:2019年9月13日(金)~11月4日(月)
公式サイト

オススメ展覧会2:特別展「ハプスブルク展」(国立西洋美術館)

スイスの片田舎の弱小封建領主から偶然と幸運に助けられ神聖ローマ帝国の皇帝に選ばれて以来、20世紀初頭まで約600年の間、ヨーロッパの歴史に名を大きく刻んだハプスブルク家。その栄枯盛衰の中で、数多くのきらびやかな名画や壮麗な美術品が生み出されました。本展は、その中でも特に美術品の蒐集に熱を上げ、美術史の歴史に名を残した8名の個性的な「王族」に焦点を当て、ウィーン美術史美術館が所蔵するハプスブルク家珠玉の美術品を大特集します。

和樂Webで特に注目しているのは、歴代王族たちに仕えた有力な画家たちの残した肖像画・宗教画を中心とした名画の数々です。イタリア・ルネサンスを代表するティツィアーノ、ティントレット、ヴェロネーゼといったヴェネツィア派の巨匠は非常に楽しみですし、17世紀スペイン・ハプスブルク家に仕えたベラスケスの名画が4点も来日するのは絶対に見逃せません!もちろん、贅を尽くした各種工芸作品も要注目です!

展覧会名:日本・オーストリア友好150周年記念 ハプスブルク展 600年にわたる帝国コレクションの歴史
会場:国立西洋美術館(〒110-0007 東京都台東区上野公園7-7)
会期:2019年10月19日(土)~2020年1月26日(日)
公式サイト

オススメ展覧会3:「コートールド美術館展 魅惑の印象派」(東京都美術館)

すでに始まっていますが、2019年秋に開催される「印象派」を中心とした絵画展の中では間違いなく1、2を争うクオリティの高さなのが「コートールド美術館展」です。コートールド美術館は、19世紀末~20世紀前半にかけてレーヨン製造・販売で名を馳せた実業家サミュエル・コートールドが蒐集した印象派・後期印象派コレクションを核に1932年にロンドンで設立されましたが、現在大規模な改装工事が行われているため、現地は長期休館中となっています。

この機会を利用して、同館が所蔵する絵画・彫刻の主力作品から、セザンヌ、モネ、マネ、ドガ、ルノワール、ゴーガン、ロダンなど約60点の傑作と、コートールド美術館のなりたちなどがわかる貴重な資料群が来日。どれも非常にレベルが高く、見過ごして良いような作品は一つもありません。各作品に用意されたキャプションパネルも的確でわかりやすく、特に主力となる数作品には大型の専用解説パネルまで用意され、作品の鑑賞ポイントをわかりやすく解説してくれているのも嬉しいです。初心者から目の肥えた上級者まで、しっかり満足できる素晴らしい展覧会です。

展覧会名:「コートールド美術館展 魅惑の印象派」
会場:東京都美術館(〒110-0007 東京都台東区上野公園8-36)
会期:2019年9月10日(火)~12月15日(日)
公式サイト

オススメ展覧会4:「ゴッホ展」(上野の森美術館)

ここ数年、毎年のように開催されるゴッホ展ですが、2019年秋もゴッホをテーマとした大型展覧会の開催が決まっています。直近の展覧会では「浮世絵」など日本美術との関係性に焦点を当てた特集や、ゴーギャンとの出会いと別れをテーマにした特集など、非常に趣向を凝らした展示構成の美術展が続き、それぞれ好評を博しました。では今回は・・・?というと、これまた面白そうな切り口で作品が集められているのです。

本展のテーマは仲間との「出会い」。「糸杉」「麦畑」「ひまわり」などを好んで描き、唯一無二の作風で美術史に残る巨匠となったゴッホですが、その作風形成に至るまで、ゴッホは短い人生の中で2つの大きな出会いを経験していました。それが、「オランダ・ハーグ派」との出会い、「印象派」との出会いです。

特に注目したいのが、前者の「オランダ・ハーグ派」との出会いに関連する作品です。ゴッホは、パリへと進出する以前、まずオランダで「ハーグ派」と呼ばれたオランダの若手画家グループに大きく影響を受けていました。ハーグ派はフランスのバルビゾン派の影響を受け、海景や船、風車や運河といったオランダ特有の自然風景や生活の情景を素早いタッチで写実的に描きました。本展では、ハーグ派の影響を受けてゴッホが制作した「オランダ絵画」らしい初期作品や、彼が交流したハーグ派たちの作品が登場。ともに来日頻度が低い作品群なので、これまで何度もゴッホ展に足を運んできたアートファンの方でも新鮮な気持ちで見ることができそうです。

展覧会名:「ゴッホ展」
会場:上野の森美術館(〒110-0007 東京都台東区上野公園1-2)
会期:2019年10月11(金)~2020年1月13日(月・祝)
公式サイト

オススメ展覧会5:「ショパン―200年の肖像」(兵庫県立美術館)

ポーランドが生んだ世界的に有名な作曲家フレデリク・ショパン。クラシック音楽に興味がない人でも、その名前くらいは聞いたことがあるのではないでしょうか。小中学校の視聴覚室に肖像画が飾ってあったり、病院の待合室やレストランなどで何度もピアノ曲などを知らず知らずの間耳にしているはずです。

本展は、ポーランドの国立フレデリク・ショパン研究所の全面的なバックアップの下、肖像画などの美術作品や各種資料を通じてショパンの生涯や音楽を掘り下げた展覧会。ショパンや彼と交流があった人々の肖像画や、ポーランドの風景画なども合わせて展示されるため、音楽好きはもちろん美術ファンにとっても見応えがある展覧会になりそう。ぜひ見ておきたいのは、日本初公開となるショパン直筆の手紙や五線譜。ショパン好きにとってはたまらないお宝になるでしょう。

展覧会名:「ショパン―200年の肖像」
会場:兵庫県立美術館(〒651-0073 兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1)
会期:2019年10月12日(土)~2019年11月24日(日)
公式サイト

書いた人

サラリーマン生活に疲れ、40歳で突如会社を退職。日々の始末書提出で鍛えた長文作成能力を活かし、ブログ一本で生活をしてみようと思い立って3年。主夫業をこなす傍ら、美術館・博物館の面白さにハマり、子供と共に全国の展覧会に出没しては10000字オーバーの長文まとめ記事を嬉々として書き散らしている。