近代日本画家と、時代劇の大スターに共通すること
「下村観山」展の音声ガイドナビゲーターを松平健さんが務める、と聞いて、ピン! ときた方…なかなかの日本美術通とお見受けしました。近代日本画の巨匠と、時代劇の大スター。ふたりの共通項は「紀州徳川家」にあります。
下村観山は紀州徳川家に代々仕えた能楽師の家の生まれです。一方、松平さんの代表作といえば『暴れん坊将軍』。紀州徳川家出身の八代将軍・徳川吉宗を長く演じられました。
「紀州は、ドラマのロケで何度も訪れました。和歌山城でも撮影しましたね。気候も温暖だし、街もゆったりとした雰囲気のある場所だと感じました。下村観山は明治時代の人ですが、武家に関わりのある家の生まれで、画家になってからはヨーロッパでも絵を学んだり、中国絵画も研究したりと、経歴もすごく面白いんですよね」
観山唯一の重要文化財である『弱法師』は、謡曲『弱法師』を題材に、能の世界をドラマティックに表現した代表作。やまと絵や琳派など日本の伝統的な絵画技法に、人物に陰影をつけるといった西洋絵画のテクニックを絶妙にあわせた、見どころ満載の大作です。

(前期展示:3月17日-4月12日)
音声ガイドの収録は、「専門的な言葉が多くてちょっと大変でした」と苦笑い。
「俳優の仕事と違って、声だけで表現するというのはなかなか難しいですが、楽しく収録させていただきました」
松平さんも近寄ったり離れたり!?観山の代表作『木の間の秋』
ガイドを務めた作品の中で印象に残ったのは、『木の間の秋』。
「近くで見ると金を細かく使った細密な表現が際立ち、離れると西洋絵画のような光と陰影による奥行きが感じられる、とのことでした。さまざまな師に学んだ観山の技術力が凝縮している作品。私もぜひ会場で、近寄ったり離れたりしながら鑑賞してみたいと思います」

お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、観山と松平さんには「紀州徳川家」のほかにもうひとつ、共通するキーワードがあります。そう、それは「金」! 観山作品には金箔、金泥を使ったものが多くあり、その色合いの幅は広く、描き方も多彩。今回の展覧会ではそんな観山を「金の魔術師」と呼んでいます。そして松平さんは「マツケンサンバ」の金色の衣装でおなじみ!
「そんな共通点もあったとは(笑)。豊臣秀吉の金の茶室もそうですが、『全部が金』というのは、だれもが高揚してしまいます。楽しくなる。私も、『マツケンサンバ』でお客様に喜んでいただけるのはすごくうれしいです」
観山の飽くなき探究心と好奇心にも刺激を受けたと松平さん。
「屛風や襖絵は、時代劇の撮影の際に寺院や城内で観たことがあります。驚くほど美しいですよね。これを機会に、日本美術にも関心を向けていけたらと思いました」
「紀州徳川家」と「金」でつながったご縁。
松平健さんの音声ガイドで、展覧会がさらに楽しくなります! オーレ!

松平健(俳優、歌手)
1953年生まれ。愛知県豊橋市出身。1975年テレビ「座頭市物語~心中あいや節~」でデビュー。主演時代劇「暴れん坊将軍」シリーズでは、約25年(全832回)に渡って主演を務める。2025年1月に17年ぶりの新作「新・暴れん坊将軍」にも主演。
2020年からは自身のYouTubeチャンネル「マツケンTube」を開設。22年4月からは東海テレビの情報番組「スイッチ!~マツケン福袋~」にレギュラー出演中。舞台公演においては「暴れん坊将軍」「西遊記」「キス・ミー・ケイト」など、時代劇からミュージカルまで幅広く活動。2004年発売の「マツケンサンバⅡ」では、歌と踊りで一大ブームを巻き起し2004年、2021年NHK「紅白歌合戦」に2度出場。
下村観山展
2026年3月17日〜5月10日
東京国立近代美術館 1F 企画展ギャラリー
休館日/月曜日(ただし3月30日、5月4日は開館)
開館時間/10時〜17時(金曜・土曜は10時〜20時) ※入館は閉館の30分前まで
問い合わせ/050-5541-8600(ハローダイヤル)
公式サイト/https://art.nikkei.com/kanzan/

