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美の都・京都で出合う うるわし、工藝

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2026.04.16

京都といえば工藝!【目に舌に美味しい工藝ゴコロの京菓子】前編「販売時季限定の名菓4選」

季節の風物詩や行事を模した意匠の美しさで知られる京菓子。今回はちょっと目線を変えて、「これもひとつの工藝品♡」と感じる、細工に手の込んだお菓子を特集します。まず前編は、季節感を大切にする京都ならではの、販売時季限定で、旬を楽しめる4つの京菓子をご紹介!

末富の「光悦ぜんざい」|夏の定番・懐中しるこを光悦の工藝品に見立てて

「光悦ぜんざい」5個入4,320円 ※6月~9月末の限定販売品。右上が「舟橋蒔絵硯箱(ふなばしまきえすずりばこ)」、左上が「光悦垣(こうえつがき)」、下は本阿弥(ほんあみ)光悦が描いた植物文様を焼印にしたもの。

明治中ごろ、京都で考案された「懐中(かいちゅう)しるこ」。ユニークな菓銘は、行楽などのお供に懐(ふところ)にこれを忍ばせて携帯したことに由来します。
糯米(もちごめ)製のふ焼き煎餅(せんべい)の種にさらしあんが入り、種を割ってお湯を注ぐとお汁粉ができるという優れもので、京都では暑気払いのための夏向けのお菓子として知られています。
ふ焼き煎餅とあんという、ごく限られた材料でも店ごとに趣向を凝らすのが名店たるゆえんですが、「末富」ではふ焼き煎餅を手で造形して、琳派のスター・本阿弥光悦ゆかりのモチーフに!

4代目主人・山口祥二さんによると、「光悦会(毎秋開催の格式あるお茶会)など、光悦寺と創業時からご縁があって」とのことですが、光悦の卓越した美的感覚を菓子で味わうことができるとは、眼福にして至福。
あんの甘みも品よく、するするとのどを通ります。懐中しるこの妙味は、もちっとした種の食感にありますが、「光悦垣」などの凝った形だからこそ生まれる種の厚みと、それによるむっちりとした味わいがほかにはない魅力です。

光悦が意匠したという生垣「光悦垣」を再現。ベテラン職人が焼きごてを素早く使って模様をつける。焼き色も香ばしい風味に。

●「末富(すえとみ)」DATA
住所:京都府京都市下京区松原通室町東入る
電話:075-351-0808
営業時間:9時~17時
休み:日曜・祝日
公式サイト:https://www.kyoto-suetomi.com/

亀屋則克の「浜土産」|海に焦がれる思いが生んだ夏向けの茶席菓子

「浜土産(はまづと)」10個籠入5,500円。※5月から9月中旬までの限定発売品。1個500円から販売、籠は5個入からある。潮風にさらされた風情の磯馴籠(そなれかご)に入っている。

貝合わせなど、遊具としての使い方はあっても、貝そのものを用いて菓子に仕立てる発想は珍しい。考案されたのは大正時代、初代主人が海から程遠い京都で海辺を感じられるように、「浜土産」と菓銘をつけたそうです。
寒天と砂糖でできた琥珀(こはく)の中に「浜納豆(はまなっとう)」をひと粒。浜松生まれの浜納豆は、京都でおなじみの大徳寺納豆よりもひと回り小さく、生姜(しょうが)風味がポイント。甘さのなかに生姜味噌の塩気が絶妙に効いています。
貝は密閉できるので、真夏でも日もちがよく、添えられた檜葉(ひば)も防腐効果があるとか。天然の貝を洗い、うつわに仕上げるところから家族の手作業で。貝の中に菓子材料を流し込む術は「家族だけの秘密です」。細部までよく考えられたお菓子です。

●「亀屋則克(かめやのりかつ)」DATA
住所:京都府京都市中京区堺町通り三条上る
電話:075-221-3969
営業時間:9時~17時
休み:第3水曜・日曜・祝日
公式サイト:https://www.kameyanorikatsu.com/

大極殿本舗の「まめまめ」|形までそっくりなそら豆味のすはま菓子

「まめまめ」1袋90g入648円。※7月・8月は販売なし。枡箱入180g1,620円もある。大丸京都店の東側の高倉通にある大極殿本舗 本店でも購入できる。

すはまといえば、大豆粉を炒ったものに砂糖を加えて練った“きなこ味”が定番。和製マジパンのような質感は抹茶との相性も抜群で、京都ではなじみのある菓子のひとつです。そのすはまを、そら豆粉でつくったのがこちらです。
「そら豆はそもそも和菓子の材料に使う食材ではないんですが、できたものが意外に美味しくて、これはいけるとなったようです。昭和の頭ごろにはあったらしいので、お客様もこの味をお気に入りのようです」と4代目女将・芝田泰代さん。
そら豆特有のほろりとした苦みが甘さを引き立てていてなんとも新鮮。造形の秘密を知りたくて、特別に製造工程を見せていただきました。
昔ながらの道具で小さな団子をつくり、指でつぶして木べらを入れて完成。小さな菓子だからこそ、手を使う技が生かされています。

左/そら豆に見立てるわざを拝見。

●「大極殿本舗 六角店(だいごくでんほんぽ ろっかくみせ)」DATA
住所:京都府京都市中京区堀之上町120
電話:075-221-3311
営業時間:9時30分~18時
休み:水曜
Instagram:@daigokuden.seien

二條若狭屋の「ちらしずし」|道明寺製の餅菓子をすしに見立てた春限定の折詰

「ちらしずし」1折6個入3,672円。※3月から4月中旬までの限定発売品。※3日前までに予約、本店にて引き取りのみ受付可。錦糸卵は本物です。

春の声が聞こえるころに合わせて注文が始まる「ちらしずし」。青豆と紅生姜はこなし製、しいたけ煮は黒糖味のようかんで、錦糸卵の下には粒あん入りの道明寺(どうみょうじ)製のたっぷりとした餅菓子が6つ入ります。
あんこに玉子焼? と思うなかれ。甘くなった口の中を玉子焼が“箸休め”のように中和してくれるのです。満足感もあって、遊び心もあって、大人のお遊びにぴったり。
「二條若狭屋」といえば、葛湯(くずゆ)「不老泉(ふろうせん)」が有名ですが、掛け紙は神坂雪佳(かみさかせっか)の描き下ろし。初代主人との縁で雪佳作品がいくつか店にあるそうですが、その影響もあるのか、ほのぼのと愛嬌のある菓子が店のもち味。「ちらしずし」に描かれた景色にも、同じ心を感じます。

●「二條若狭屋 本店(にじょうわかさや ほんてん)」DATA
住所:京都府京都市中京区二条通小川東入る西大黒町332-2
電話:075-231-0616
営業時間:8時~17時
休み:水曜、1月1日~3日
公式サイト:http://www.kyogashi.info/

※本記事は雑誌『和樂(2026年4・5月号)』の転載です。
※掲載価格はすべて税込です。
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和樂web編集部


撮影/エレファント・タカ 構成/藤田 優、古里典子(和樂)
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※『和樂』2026年4・5月号 美術展カレンダーに誤りがありました。P.224で紹介しました、福岡県・久留米市美術館で開催中の「美の新地平ー石橋財団アーティゾン美術館のいま」の入館料は、正しくは一般1,500円となります。お詫びして訂正いたします。
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