Jewelry&Watch

2026.08.24

優れた機構と、美しいデザインの最前線をレポート【世界の新作ウォッチ博覧会 vol.1】

現代社会において、時計はもはや、単なる時刻を知るための道具ではありません。それでもなぜ、いえ、だからこそ人々はその魅力に惹きつけられるのでしょう。宝飾品として、あるいは芸術品としてかけがえのない時を刻んでいく── 2026年春、「ウォッチズ・アンド・ワンダーズ・ジュネーブ」で発表されたモデルをはじめ、物語を宿す珠玉の新作ウォッチを、これからのパートナーに迎えてみませんか?

【パテック フィリップ】カラトラバ Ref.7200/50G

シンプルなのに圧倒的な風格を漂わせる、世紀の名品に加わった洗練の「サンドベージュ」

メゾンが誇る職人の手作業によって丹念に磨き上げられたホワイトゴールドのケースは、ジュエリーを必要としないほどの輝き。上品な光彩を放つ「サンドベージュ・ソレイユ」文字盤に、伝統的なフォントの植字インデックス、ホワイトゴールドのドットが煌めく「ミニッツトラック」がシックに調和して。[ケース:WG、ケース径:34.6mm、ストラップ:カーフスキン、自動巻き]¥6,130,000(パテック フィリップ ジャパン)

まさに「引き算の美学」を体現する、シンプルなラウンド形ウォッチの永世名品「カラトラバ」。名実ともに「パテック フィリップ」を代表するコレクションが誇る、女性のための自動巻きムーブメント搭載モデルから、なんとも瀟洒(しょうしゃ)なサンドベージュカラーをまとった新作が登場しました。

女性にフィットするサイズ、デザインの「カラトラバ」から、2021年、初めて超薄型自動巻きムーブメント搭載モデルが誕生。それから5年を経て今回、新たな色味に加え、あえてダイヤモンドをセットしないことで、ケースのフォルムの美しさや完成度の高い文字盤のデザインといった「カラトラバ」の魅力がいっそう冴えわたるクリエイションへ──。その佇まいは極めて静謐でありながら、知性とエレガンスが香る究極のシンプリシティを構築。また、34.6mmという絶妙なサイズ感もあいまって、手元にさりげない気品と極上のモダニティを授けてくれます。

サファイアクリスタルのケースバックからは、超薄型自動巻きムーブメント「Cal. 240」の美しい動きが堪能できる。

【シャネル】J12 28MM

ケースの小型化という時計界のトレンドを象徴する新サイズは、日本人女性の手首とも相思相愛

フォルムもデザインもオリジナルモデルと変わらないものの、小型化したことで、従来のカジュアル感を一新。クールながらフェミニンなムードもあわせもつ絶妙なバランスは、現代女性のあらゆるシーンに寄り添う。[ケース:右/高耐性ホワイトセラミック・左/高耐性ブラックセラミック、ケース径:28mm、右/ブレスレット:高耐性ホワイトセラミック・左/ストラップ:ブラックラバー、クオーツ]右/¥907,500・左/¥836,000(シャネル)

メゾンのウォッチメイキングの象徴であり、セラミックという素材でラグジュアリーウォッチ界に革命をもたらした「J12」。2000年に誕生して以来、毎年のようにさまざまなサプライズをはらんだ新作を発表し、世界の女性たちを虜にし続けてきました。そんな絶対的アイコンが今年挑んだのは、ケースのリサイズ。28mmという小径モデルで、「進化する名品」をアップデートしました。

セラミックという素材だけでなく、登場時は33mmと38mmの2サイズ展開で、オーバーサイズのウォッチを女性に提案するという点においても時計界の既成概念を打ち破った「J12」ですが、30mmを切った新サイズはもち前の存在感、小気味いいスポーティさはそのままに、フェミニンで優しい雰囲気に。また、全6モデルのなかには、「J12」では初採用となる、グログランリボンから着想を得たラバーストラップを装着したウォッチも登場し、また新たな魅力を引き出しています。

【ヴァン クリーフ&アーペル】ペルレ ウォッチ

ケースを取り囲む2列のゴールドビーズの間、そしてベゼルの内側にもあしらわれたダイヤモンドの澄み切った輝きが、アベンチュリンガラスのミッドナイトブルーをより優美に演出。時刻調整はリュウズではなく、ケースの裏側に配したプッシュボタンが担い、ケースのフォルムの完璧な美を実現させている。[ケース:WG×ダイヤモンド、ケース径:23mm、ストラップ:アリゲーター、クオーツ]¥3,801,600(ヴァン クリーフ&アーペル)

春にスイスで開催された時計フェア、「ウォッチズ・アンド・ワンダーズ ジュネーブ」で、複雑機構を詩的に表現した「ポエティック コンプリケーション」からハイジュエリーウォッチまで、個性豊かな新作を発表した「ヴァン クリーフ&アーペル」。2026年は全体を通して、星たちが輝く夜空、天空の神秘を讃えるような、ブルーをキーカラーとしたタイムピースの数々を展開しました。

「アルハンブラ」と並ぶメゾンのアイコンである「ペルレ」から誕生したのは、文字盤にイタリアのムラーノ島で制作したアベンチュリンガラスを用いたホワイトゴールドケースのモデル。着目すべきは、その文字盤に放射状に施されたギョウシェ彫りです。これまでアベンチュリンガラスにギョウシェ彫りを施すことは不可能、あるいはどこにもその発想すらなかった意匠ですが、メゾンは革新的技法を用いて、奇跡のようなクリエイションを実現させました。神秘的に輝く文字盤とケースを縁取るゴールドビーズが気高く響き合い、まさに「時を告げるジュエリー」を体現しています。

【カルティエ】トーチュ

伝説的な名品が、鮮やかに進化して登場!クラシカルなフォルムが生きるミニモデルが美しい

「トーチュ」を象徴するローマ数字のインデックスは踏襲しつつ、文字盤はギョウシェ装飾から、より立体的なスタンピングのモチーフに。秒を表す「ミニッツトラック」も、クラシカルなレイルウェイデザインからドットが連なるラインへ刷新。上質さはそのままに、モダンに変貌して。[ケース:WG×ダイヤモンド、ケースサイズ:縦26.1×横20.9mm、ストラップ:アリゲーター、高効率クオーツ]¥3,537,600(カルティエ)

思わず見惚れてしまうほど優美な曲線を描くトノー(樽)形ウォッチの名品「トーチュ」。その歴史は1912年までさかのぼりますが、時計に造詣が深い人なら、1998年から2008年まで展開されていたハイクラスな機械式ウォッチコレクション「CPCP(コレクション プリヴェ カルティエ パリ)」から誕生したモデルを思い浮かべることでしょう。その後継的な位置づけとなる「カルティエ プリヴェ」コレクションから、この伝説的なタイムピースが限定モデルとして登場したのは2024年のこと。そして今回、待望のレギュラーモデルとして華麗なる復活を遂げました。

フランス語で「亀」を意味する名前のとおり、亀の甲羅を彷彿させる印象的なシルエットはそのままに、今回はダイヤモンドをあしらった、ごく小ぶりなミニモデルが誕生。ムーブメントには、通常のクオーツの約2倍となる、7~8年という驚異的な電池寿命を実現した高効率クオーツが採用され、実用性においても一流の美学が発揮されています。

八角形のリュウズには、通常とは上下逆にセットし、尖った部分を外に出す「リバースセッティング」によるダイヤモンドが施され、シャープな輝きを放つ。

【ヴァシュロン・コンスタンタン】オーヴァーシーズ・エクストラフラット・オートマティック

約7年もの開発期間を経て発表された、超薄型ムーブメント搭載のプラチナウォッチ

使用されているプラチナは、銅とガリウムを5%含有させた「プラチナ950」で、従来のプラチナより耐久性を2.7倍も向上させた特別な素材。存在感ある輝きだけでなく、日常に寄り添い、彩りを添える実用時計としての強度も兼ね備える。[ケース:PT、ケース径:39.5mm、ブレスレット:PT ※付け替え可能なアリゲーター、ラバーの2種のストラップが付属、自動巻き]¥19,008,000 ※世界限定255本(ヴァシュロン・コンスタンタン)

創業以来、一度も途絶えることなく時計製造を続けてきた世界最古のマニュファクチュールとして知られる「ヴァシュロン・コンスタンタン」。昨年の創業270周年を経て、2026年は、メゾンが展開するコレクションのなかでも高い支持を集めているラグジュアリースポーツウォッチ「オーヴァーシーズ」コレクションの拡充に注力しました。

時計界で特に大きな話題を集めたのが、実に約7年もの歳月をかけて新開発した超薄型自動巻きムーブメント「Cal.2550」を搭載し、7.35mmという極薄なケース厚を実現した「オーヴァーシーズ・エクストラフラット・オートマティック」。驚異的な薄さながら、約80時間というパワーリザーブと、非常に高い精度を備え、名門ウォッチメゾンとしての実力とポテンシャルの高さを世界へ示しました。

ケースとブレスレット、付属する2本の替えストラップのクラスプには、コレクションで初めてプラチナを採用。伝統的なサーモンカラーの文字盤とノーブルに呼応し、手元にさりげなく品格を添えます。

【Watches and Wonders Geneva Report 1】

単なる新作発表の場ではなく、次世代へ時計の魅力を伝えていく文化的イベントに

今年も4月に開催された世界最大の時計フェア「ウォッチズ・アンド・ワンダーズ ジュネーブ」。メイン会場のメッセだけではなく、市内中心地まで「時計文化を体感できる舞台」を広げ、一般客が参加できる無料の文化プログラムなども開催されました。いわば市挙げての「春の時計祭り」。ジュネーブの街が時計一色に染まりました。

コロナ禍後から年々、規模が拡大され、市内ではジャズクラブなども新設。レマン湖畔には花時計が設けられ、撮影スポットに。(C)Watches and Wonders Geneva

問い合わせ先

パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター
03-3255-8109

シャネル カスタマー ケア センター
0120-525-519

ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク
0120-10-1906

カルティエ カスタマー サービスセンター
0120-1847-00

ヴァシュロン・コンスタンタン
0120-63-1755

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和樂web編集部


撮影/池田 敦(CASK) 構成・文/岡村佳代、吉川 純(和樂)

※本文中のPTはプラチナ、WGはホワイトゴールド、YGはイエローゴールド、RGはローズゴールド、PGはピンクゴールド、SSはステンレススティール、TIはチタンを表します。
※本記事は『和樂』2026年8・9月号の転載です。
※価格は2026年7月1日時点の内容です。
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