日本初公開!『竹工芸名品展:ニューヨークのアビー・コレクション―メトロポリタン美術館所蔵』@東京国立近代美術館工芸館に行ってきました!
オンナはいつだって籠が好き♡──ファッション雑誌などで使われがちなコピーですが、別に女性に限ったことではありません。日本人は昔から籠、特に竹籠を日用品として愛用していました。日々使うものだからこそ、明治・大正時代の美術工芸界では、竹工芸はワンランク下に見られていたというせつない過去も(涙)。しかしながら!その後の籠師たちの活躍により、大正から昭和にかけて竹工芸は芸術の域へと高められ、海外からも高い評価を受けていきます。
9月13日より東京国立近代美術館工芸館で行われている『竹工芸名品展:ニューヨークのアビー・コレクション─メトロポリタン美術館所蔵』は、一昨年ニューヨークのメトロポリタン美術館で47万人以上(!)を動員した展覧会の里帰り展。春の大分県立美術館に続き、待望の東京巡回が始まりました(2019年12月21日からは大阪市立東洋陶磁美術館に巡回)。ニューヨーク在住の美術コレクター、ダイアン&アーサー・アビー夫妻が収集する竹工芸は、近現代の作品が網羅されており、その数200点以上。日本の竹工芸近代史を語るうえで非常に貴重な財産となっています。が、日本ではなんと初公開!今回展示されるコレクションは全75件ですが、2020年5月にはメトロポリタン美術館に完全に所蔵されてしまうので、今後、日本でこの数のコレクションが一堂に観られる機会はなかなかないはず。見逃せないですよね。余談ですが、一昨年のニューヨークの展覧会では72件だったのが、その後アビー夫妻がコレクションを買い足したことで、日本展では3件増えたのだそう。これはお得!
それでは実際の展覧会の様子を、ちらりとお見せします。
ジャンル違いの工芸作品が並ぶコラボ展示が楽しい!
この展覧会最大の特徴が、アビー・コレクションと開催美術館の所蔵品をコラボレーションした展示方法。つまり、本展は大分・東京・大阪と3か所を巡回していますが、同じアビー・コレクションが会場ごとに違う見え方になっているのです。東京国立近代美術館工芸館は、陶磁、金工、染織、漆工といったさまざまな工芸作品をそろえているところから、アビー・コレクションと竹以外の工芸作品を並べて見せています。あえて別ジャンルの工芸作品と合わせることで、アート全体の傾向や流行が感じ取れたり、素材のコントラストが際立って見えるなど、多角的に竹工芸に触れることができるとか。大分はすでに終了していますが、こうなると大阪バージョンも気になってくる…!
たとえば、最初の展示室に入ると現代作家たちの竹工芸の背景には虎の絵の型染が。美術作品でよく描かれている竹と虎の故事を、近現代の工芸作品で表現しています。ダイナミックな組み合わせにワクワクします!