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2019.10.17

岡山県「備前焼まつり」でかわいいうつわ探し!おすすめ工房やカフェもまとめて紹介

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みなさん、「備前焼」をご存知ですか? 聞いたことはありますか? 知っているという方、「茶色くて重たそう、高級な日本料理店や老舗旅館で使っていそう」というイメージですか?

以前、和樂スタッフのきむらゆうが、自ら「やきもの初心者」として備前焼の魅力をレポートしましたが、備前焼が気になっている…という人、今週末がチャ~ンス! 2019年10月19日、20日の土日で「備前焼まつり」が開催されるんです。毎年この時期2日間限り、なんとすべての備前焼が20パーセントOFFで購入できます。すべて、すべて、すべてですよ! どの店でもどの工房でも、500円の箸置きも、人間国宝がつくったウン十万円の大皿も、すべて2割引き! 備前、太っ腹!(ちょっと嘘つきました、備前焼陶友会所属の約140窯でした。だけど140軒!)

備前焼とはどんなもの? ということはこちらの記事でおさらいしていただいて、今回は「カジュアルに使える備前焼」「かわいい備前焼」「コーヒーを淹れるのが楽しみになる備前焼」をご紹介します。

「平たいすり鉢」との出合いで備前焼のイメージが一変

和樂では過去3回、備前焼窯元「一陽窯(いちようがま)」三代目の木村肇さんとコラボしたオリジナル商品などを誌上販売してきました。私はその商品開発と誌面づくりを担当してきましたが、このコラボ以前、私の備前焼の印象も「なんだか大袈裟でイケてない…」(ゴメンナサイ!)というもの。買ったことも使ったこともありませんでした。(数十年前に我が家へやってきたと思われる重~い大鉢が、使われることなく仕舞われていましたが)

そんな私の備前焼との出合いは2018年の2月。「気軽に抹茶を楽しんでいる人」を紹介する企画で、備前焼ではなく、抹茶を呑んでいる木村さんの取材(笑)。
岡山県備前市伊部(いんべ)が、備前焼まつりの会場でもある備前焼の郷です。赤穂線の伊部駅から徒歩3分の「一陽窯」にお邪魔しての取材撮影でしたが、「あれれ?」と備前焼のイメージ大きくを変える…まではいかなかったけれど、木村さんのうつわは「なんか違うゾ」。

その取材時に購入したのが、ここ数年続く一陽窯のヒット商品、平たいすり鉢です。一般的にすり鉢といったらお碗のようなあの形、ですよね。でも木村さんのすり鉢は、すりこ木をあてる面が平たい。なぜかというと、「離乳食をつくろうと、ニンジンやダイコンをすり鉢にあてたら、先がとがるばかりでうまくすれない。じゃあ平らにしてみたらいいんじゃないかと思ってつくってみた」のだそう。うちでは小鹿田焼(おんたやき)の立派な大きさのすり鉢を愛用していたので、“小量のごまをあたる”のに丁度よさそうな小さいサイズを購入。「小鉢としてもいいカンジに使えそう」と感じたのも購入を後押ししました。いちばん最初の栗を盛ったうつわ、実はすり鉢なんですよ。

で、これが…なんとも使いやすい! 黒ごまを半ずりにして砂糖としょうゆを加え、サッと茹でて刻んだ青菜を投入して和えたら食卓へ。白ごまをあたってしっかり水切りした絹ごし豆腐と塩少々を混ぜ、拍子切りやサイコロ状にした柿と合わせる。ちょこっと残った昨日のおかずを入れてもさまになるし、フルーツを盛ってもいいし、秋のお楽しみの栗とも相性よし! その時に一緒に買ったスパイスミルや、個人的に「キットカットちゃん」と呼んでいる箸置きも頻繁に使っています。

意外と種類豊富で家メシでも大活躍!

初訪問を含め、取材や打ち合わせで5回備前へ行き、その都度2、3品ずつ、コツコツお買い物。記事を書くため購入したものもありますが、誌上通販するのはコラボ商品も既製品も「私も使いたいと思えるもの」。我が家の食器棚は、この1年半でかなり備前焼で埋まっていきました(笑)。「家メシでは使いづらそう」という印象もあった備前焼ですが、使ってみたらほかのやきものや磁器とも、色柄華やかな洋食器とも、ステンレスや白磁の韓国食器とも相性が良かったから…。

茶褐色(たぶん多くの人がイメージする備前焼はこれ)のほか、火襷(ひだすき/わらを巻いて焼成した部分が変色してできる筋模様)、ごま(焼成中に降りかかる灰によってできる粒模様)、紫蘇(しそ/紫っぽい茶色、かな。私はこのタイプが好み)、青備前(あおびぜん/青というかグレーというかラベンダー色というか。特殊なので高価、いつかは青備前の抹茶茶碗が欲しい!)など、タイプも豊富。
形はぐっとシンプルに、茶褐色や紫蘇色の柄のないものをベースに、ごまや火襷をさし色的に…というふうに選ぶと、ほかのうつわとも合わせやすいはずです。

我が家的最新作は…来年の春に和樂誌上で販売予定の「朝ごはんセット」の飯茶碗! 木村さんのシュッとした形の飯茶碗と、具だくさんの汁ものもイケる溜塗(ためぬり)の大きめ汁椀、そのまま食卓でお敷(カジュアルに言えばランチョンマット)にもなる木のトレーをセットにして限定販売します。
記事を書くのは年明けですが、それまでしっかり使ってその魅力をお届けしようと思っています。「お茶碗なんて大した違いはないでしょう」って思ったあなたーっ、ノンノン! 日々10個の飯茶碗をとっかえひっかえ使っているので、茶碗にはちょっとうるさいんですよ、私(笑)。

備前焼コレクションをご覧あれ!

では、僭越ながら、私の備前焼コレクションをご覧いただきましょう。特別な使い方をしているわけではありませんが、「料理やなにかをのせたらこんなふうですよ」という実例として見てください。これれはすべて「一陽窯」の商品ですが、備前には200ともいわれる窯元が健在。しかもその多くが伊部駅から徒歩圏内。今週末の「備前焼まつり」に行けば、きっとアナタ好みのうつわが見つかるはず!

最後に…「一陽窯」と、大好きな伊部の駅カフェ「UDO」をご紹介。備前焼まつり期間中は、一陽窯の敷地内でおいしいカレーやコーヒーの販売もありますよ。

“いいカンジ”に使える備前焼あります!

◆一陽窯
住所:岡山県備前市伊部670
TEL:0869-64-3655
営業:10:00~17:00
交通:赤穂線「伊部駅」を出たら信号を渡り、そのまま真っ直ぐ約3分。突き当り正面にあり。

備前焼まつり期間中のみ、屋外カフェ「一陽窯の市」開催! 南インド・ケララ出身のジャビーさんの味が楽しめる「パイシーパイス」のカレー、自然酵母・瓶内熟成による「コチブルワリー」のビール、「キノシタコーヒー」のコーヒーと焼き菓子、本格的手打ちそばなどが味わえます。一陽窯の店舗を突っ切って奥へどうぞ。店舗内商品は20%OFFですが、屋外スペースには特価品コーナーもあるとか!

備前に“おいしい駅カフェ”あります!

◆UDOファクトリー
住所:岡山県備前市伊部1657-7 伊部駅1F
TEL:0869-93-4701
営業:8:00~18:00

備前焼まつりの入口にもなるJR赤穂線伊部駅。改札脇にあるのが、おいしいおいしいコーヒーと、サンドイッチやナポリタンなどの軽食がいただけるカフェ「UDOファクトリー」です。ほぼ無人…のような小さな駅の構内カフェですが、ちょっとびっくりのお洒落さ!(失礼!) 木と金属を組み合わせた何気ないけどセンスのいいテーブルやイス、インテリアは、和樂2019年6・7月号で販売し即完売した“DOKODEMO茶箱”のオカモチを制作していただいたKITA WORKSの仕事です。

ここは、世界中あちこちの産地に足を運んで豆を仕入れ、自家焙煎している「キノシタショウテン」の経営。店内でパティシエがつくる焼き菓子も、駅カフェレベルじゃない本気のおいしさ! 次の列車までの時間つぶしのつもりで「UDO」へ入り、居心地のよさについ長居…にご注意を! 赤穂線の運行は、1時間に1、2本ですから…。

撮影/篠原宏明、小竹智子

書いた人

フリーの編集・ライター。 サーファーガールのファッション誌やアイドル誌、情報誌を経て、まったく畑違いの和樂に誘っていただき早や18年! ここのところ、50歳を過ぎての初ひとり暮らし(失笑)が楽しくて仕方なく、パンを焼いたり梅干漬けたり、パンを焼いたり味噌仕込んだり、パンを焼いたりキムチ漬けたり、パンを焼いたり塩麹つくったり、、、な日々。