Culture
2019.10.17

13年に渡る日記の一部を公開!企画展「18世紀ソウルの日常-ユマンジュ日記の世界」10/22〜江戸東京博物館で開催

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いつの時代も、他人の日記を読むのはおもしろいもの。江戸東京博物館で2019年10月22日(火・祝)から開催される企画展「18世紀ソウルの日常-ユマンジュ日記の世界」では、18世紀のソウルに暮らす青年の13年間にわたる貴重な日記の一部が展示されます。

ユマンジュと13年間の日記

現在のソウルが漢陽(ハニャン)と呼ばれていた1755年に生まれたユマンジュ(兪晩柱)は、21歳になった1775年1月1日から死没する直前の1787年12月14日までの間、およそ13年間にわたって日記を書き続けました。ユマンジュは自らの日記に“欽英(フムヨン)”と名前をつけ、日々の出来事ばかりでなく、心のなかの葛藤までも、ありのまま克明に記録しました。

本展覧会では、ユマンジュが遺した貴重な日記のうち、1784年の1年間を取り上げ、彼の暮らしぶりをとおして漢陽の風景やそこに暮らす人々の日常生活を紹介します。地方に赴任した父にかわって家長をつとめながら、少しでもよい住環境をもとめて新しい家に引っ越そうと奮闘したり、あるいは科挙受験に失敗して打ちひしがれたりしながら、この時代を誠実、かつ懸命に生きたユマンジュの姿を当時の社会を彩る様々な資料とともに展示します。

展示構成および主な資料

第1章 漢陽の士人、ユマンジュ

ユマンジュは当時有名な文臣であった兪漢雋(ユハンジュン)の息子として産まれました。彼の一族の杞渓兪氏(キゲユシ)は、漢陽を代表する名門家のうちのひとつで、多くの官僚を輩出したことで知られています。彼らは当初、漢陽の北部にある北村(ブクチョン)に主に住んでいましたが、18世紀中盤に入ると、分家の一部は漢陽南部の南村(ナムチョン)に移住する者も居ました。北村で幼少期を過ごしたユマンジュも10歳になった年、南村に定着し、生涯そこで過ごしました。

18世紀後半の漢陽は政治的な安定がもたらされ、経済的な状況も順調で、農業の生産力が増加し、商業と手工業も大きく発展しました。貨幣経済が浸透し、医療や文化の一部も商品として消費されるものがあらわれました。本章ではユマンジュが生活していた18世紀後半漢陽の様子と彼の日記「欽英(フムヨン)」について紹介いたします。

ユマンジュの日記 「欽英」 1784年 ソウル大学校 奎章閣韓国学研究院蔵

漢陽の地図 都城大地図 18世紀後半 ソウル歴史博物館蔵

第2章 1784年の日記を読む

1784年はユマンジュが30歳を迎える年です。戦争によってもたらされた過酷な飢饉も峠を越え、正祖(第22代王1752~1800)の即位8年目を迎えた朝鮮は、政治的にも経済的にも安定していました。

この年は父にかわって家長をつとめながら、少しでもよい住環境をもとめて新しい家に引っ越そうと奮闘したり、地方に赴任中の父がいる海州に旅行するなどの出来事もありました。ここでは1784年の日記に書かれた内容を一部抜粋し、ユマンジュの暮らしぶりと漢陽に暮らす人々の日常生活を月ごとに紹介いたします。

正月の縁起物として飾られた寿老人の絵 寿星老人絵図   朝鮮後期(1592-1863)  京畿大学校 博物館蔵

第3章 ユマンジュの夢とその後

1784年は、ユマンジュの一族にとって比較的平穏な年でした。しかし良い時代はそれほど長く続きませんでした。海州牧(ヘジュモク)(現在の黄海道周辺)で起きた重大な犯罪を的確に処理できず、父がその責任を負って免職された1785年以降、一族の暮らしは急速に悪化していきました。

1787年5月12日、長男久煥(クファン)がこの世を去りました。長男が亡くなってから数日間、日記は書かれず、同じ年の12月14日に終わってしまいます。日記が途絶えてから1か月余り経った1788年1月29日、ユマンジュも33年の短い生涯を静かに終えました。ここではユマンジュの父、兪漢雋(ユハンジュン)が残した文献を紹介します。

息子を亡くした父親の悲痛な思い 杞渓文献 兪致雄(ユチウン)著 20世紀  明知大学校 図書館蔵

関連イベントのご案内

えどはくカルチャー 企画展関連講座

1.「18世紀ソウルの日常」展のみどころ
日時:11月19日(火) 午後1時30分~午後2時20分
講師:市川寛明(学芸員)
会場:江戸東京博物館 1階大ホール        

2.風水都市漢城と現代のソウル
日時:11月19日(火) 午後2時30分~午後4時
講師:吉田光男(東京大学名誉教授)
会場:江戸東京博物館 1階大ホール

受講料1,2セット:1500円(1200円)
※( )内は江戸東京博物館・江戸東京たてもの園友の会、ボランティアに所属の方対象の受講料となります。

ミュージアムトーク(展覧会見どころ解説)

日時:10月25日、11月1日(各金曜日) 午後4時から(所用時間:30分程度)
集合場所:常設展示室5階 日本橋下
参加料:無料(常設展観覧料は別途必要)

18世紀ソウルの日常-ユマンジュ日記の世界 展示情報

会期:2019年10月22日(火・祝)~12月1日(日)
開館時間:午前9時30分~午後5時30分(土曜日は午後7時30分まで) ※入館は閉館の30分前まで
企画展開催中の休館日:10月28日(月)、11月5日(火)・11日(月)・18日(月)・25日(月)
会場:東京都江戸東京博物館 常設展示室内 5F企画展示室
観覧料:企画展は常設展観覧料でご覧になれます
一般 600円(480円)/大学・専門学校生 480円(380円)/中高生(都外)・65歳以上 300円(240円)
※( )内は20人以上の団体料金、消費税込
主催:東京都、公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都江戸東京博物館、ソウル歴史博物館

公式サイト:https://www.edo-tokyo-museum.or.jp/