その昔、炊いた米の発酵を利用して魚を長期保存したことからはじまった日本の寿司。新鮮な海の幸を享受できるのも寿司なら、ご当地素材や風土、習慣を感じることができるのもまた、寿司の魅力なのです。そんな日本人の智恵や工夫、豊かな食文化が育んだ各地の変わり寿司、郷土寿司、伝統寿司は、知れば知るほど楽しさいっぱい!今や日本各地からお取り寄せも可能なので、お気に入りの寿司を見つけてみませんか?
日本の国民食「寿司(すし)」の発祥は東南アジア!?
東南アジアの山岳地帯から、中国や朝鮮半島を経て、稲作とともに奈良時代に伝わったものが日本の“すし”のはじまりです。もともとは、川魚などを炊いた米とともに長期間漬け込む、ご飯の発酵を利用した保存食でした。塩をしたアユやフナをご飯と漬け込み、十分に発酵熟成させて魚だけを食べる“なれ寿司”から、室町時代には半熟のうちに食べる“生(なま)なれ”が登場。さらに、酢の発展とともにご飯も一緒に食べる“早寿司”へと変化して、現在の寿司の原型ができ上がったのです。保存食から料理へと移行した寿司ですが、酢も塩も、食材を保存する役割を担うもの。多くの郷土寿司が祭りや祝い事で重宝され、駅弁などに商品化されたのも、寿司がつくり置きに適しているから。風土が詰まった郷土寿司を味わうのも、寿司の楽しみのひとつなのです。
あれも寿司!これも寿司!全国変わり寿司16選
漬物感覚の北の寿司から、木の葉で包む山間部の寿司、西の棒寿司やちらし寿司など、ご当地寿司にも地方色が見え隠れ……。どれも取り寄せ、持ち帰り可能な選りすぐりの16品。自宅で旅気分はいかがですか?
※期間限定のものもあります。各サイトもしくは店舗へご確認ください。
1 北海道「紅鮭の飯鮨」
【魚と米、野菜を漬けた北国伝統の発酵食品】
海水塩を振って寝かした紅ザケと、炊いた北海道産の米に米麹を混ぜ、人参と大根、生姜などを大きな樽に交互に重ねて漬け込んだ「石田水産」の飯鮨(いずし)。包みを開けたとたん発酵したいい香りが漂う“なれ寿司”の一種で、鮮やかな紅白の色どりも食欲をそそります。発酵による濃厚な旨みとしっとりした食感で、ご飯のお供にも酒の肴にも。
◆石田水産
住所:北海道函館市的場町19-14
公式サイト:http://www.yamaki-ishida.co.jp/
2 秋田「なすの花ずし」
【冷凍保存もできる華やかな“なれ寿司”】
かまくらづくりと白鳥の飛来地としても知られる、横手市の郷土料理。秋田では昔から食用にしていたという黄菊を使って色鮮やかに仕上げた、秋ナスの保存食でもあります。一輪丸ごとの菊をのせたナスの漬物を、炊いたもち米と一緒に食べるのが一般的。地元の「朝舞婦人漬物研究会」が守る、塩気も甘みも効いた東北らしい伝統の味です。
◆朝舞婦人漬物研究会
住所:秋田県横手市平鹿町浅舞字福田212-1
公式サイト:http://www.asamai-tsukemono.ne.jp/
3 東京「笹巻けぬきすし」
【毛抜きで小骨まで除く職人技の効いた江戸名物】
江戸の味を守る「笹巻けぬきすし総本店」。三枚におろした魚は塩漬けのあと酢で締め、小骨を毛抜きで取り除き、さらに二番酢に漬けてから切って保存。ネタは1週間以上かかる工程を経たタイとエビ、季節替わりの白身魚と光りものに加え、おぼろと卵、のり巻きの7種。酢飯はギュッと握られているので以外とボリュームがあります。
◆笹巻けぬきすし総本店
住所:東京都千代田区神田小川町2-12
公式サイト:http://www.kanda-hojinkai.com/information/sinise/sinise09.html
4 神奈川「特上 鯵の押寿司」
【湘南名物の激うま寿司は鎌倉観光の定番土産!】
大正2年に発売された「大船軒」の人気商品は、当時の江の島近海でよく獲れたアジの中でも身の締まった小アジだけを使い、関東風に握り、関西風に押して仕上げたもの。現在は、極上の小アジから2切れしか取れない身を伝統の合わせ酢で締めた特上(写真)と、脂がのった中アジを使用したものがあります。
◆大船軒
住所:神奈川県鎌倉市岡本2-3-3
公式サイト:https://www.ofunaken.co.jp/
5 富山「ますのすし」
【富山名産は将軍家献上の伝統寿司】
酢で味付けしたサクラマスと酢飯を、曲げわっぱに重ねた押し寿司。立山(たてやま)の雪解け水が育む米と、富山市内を流れる神通川(じんづうがわ)を遡上するマスを用いて、藩主献上品として誕生。笹の葉ごと放射状に切り、手で掴んで食べるのが一般的。現在は、この「千歳」をはじめとする“富山ます寿し協同組合”が伝統の味と製法を守ります。
▼もっと深い「ますのすし」のお話はこちら
神様に捧げるお寿司⁈富山『源』ますのすし。その奥深さを知る
◆千歳
住所:富山県富山市鵯島2-887
公式サイト:http://masunosushi.com/
6 長野「若笹寿し」
【マス、葉わさび、米と水が豊かな土地の産物】
北陸へと至る“塩の道”。そこを行く安曇野(あづみの)地方の旅人が、抗菌作用のある笹の葉に包んで携帯したという寿司。行楽弁当や仕出しなどをつくる「わかます」の若笹(わかさ)寿しは北アルプスを源流とする清流で育った黒部マス、葉わさび、梅の3種の具を、もっちりとした安曇野米にのせて包みます。笹の葉の香りとともに、信州の味を堪能できます。
◆わかます(だいこく食品)
住所:長野県大町市大町2193
公式サイト:http://www.wakamasu.com/
7 岐阜「朴葉ずし」
【紅ザケと惣菜を包んだ幕の内弁当風!】
岐阜県の東濃(とうのう)地域の伝統料理。笹の葉同様、抗菌作用のある朴葉(ほおば)で寿司を包んだ保存食。朴葉の新葉が採れる5月下旬からつくられてきた家庭料理というだけあり、ネタには身近な惣菜も。写真の「かしも産直市」のものは、紅ザケとマグロ、きゃらぶきや甘く煮た椎茸やアサリ、紅生姜などが、甘めの酢飯にのっています。
◆かしも産直市
住所:中津川市加子母1361-25
公式サイト:http://kashimoichiba.shop-pro.jp/?mode=cate&cbid=455741&csid=0
8 滋賀「飯漬鮒寿し」
【独特の風味が病みつきになる通の品】
なれ寿司のひとつであるフナ寿司。発酵専用の蔵をもつ「総本家喜多品老舗」では、琵琶湖の固有種であるニゴロブナのお腹に塩を詰めて2年、さらに塩を混ぜた近江米とともに1年以上熟成させる、伝統の味と製法にこだわっています。独特の香り、酸味、旨みはウォッシュタイプのチーズのよう。酒の肴にはもちろん、お茶漬けや天ぷらでも。
◆総本家喜多品老舗
住所:滋賀県高島市勝野1287
公式サイト:https://www.400-kitashina.com/
9 三重「こけら寿司」
【祝いの席にはかかせない華やかな尾鷲名物】
“こけら”とは、薄く削いで板状にし、屋根を葺くのに用いられる木切れのこと。「可成屋(かなりや)」のこけら寿司は、結婚式や新築祝いなどのめでたい席で食べられてきた尾鷲(おわせ)名物。みかんなどの柑橘果汁で香り付けした酢飯に、酢で締めたサンマ、甘く煮た椎茸や人参、薄焼き卵などを彩りよく並べ、葉蘭(ばらん)を挟んで圧縮。ボリューム満点の一品です。
◆可成屋
住所:三重県尾鷲市中井町13-8
公式サイト:http://kanariya-owase.com/
10 和歌山「さんま寿し」
【柑橘類のさわやかさとサンマが好相性!】
熊野灘まで南下して、ほどよく脂が抜けたサンマでつくる地方色豊かな寿司。那智勝浦の“築地”という土地に店を構える「まさや」の棒寿司は、塩をした翌日に塩抜きしてから調味酢に数時間漬け、それに酢飯をのせて巻き簾で形を整えたもの。地元の酢にみかんやゆず、すだちなどの柑橘酢を合わせた調味酢が香る、さっぱりとした味わいです。
◆まさや
住所:和歌山県東牟婁郡那智勝浦町大字築地7-3-9
11 奈良「柿の葉ずし」
【地産の米と水にこだわる吉野の水】
かつて、原料のサバは熊野灘から丸2日かけて運ばれるため塩で防腐した。それを土地に豊富な柿の葉を利用して寿司にしたのがはじまり。祭りや祝い事には欠かせない吉野地方の郷土料理。これを明治以降に広めたのが「平宗(ひらそう)」。大峰山の湧き水で炊いた奈良産のヒノヒカリに、サバやサケなどをのせたひと口サイズの押し寿司です。
◆平宗
住所:奈良県吉野郡吉野町飯貝614(吉野本店)
公式サイト:http://www.hiraso.jp/
12 京都「鯖姿寿し」
【“祇園といえばサバ寿司”を定説にした老舗の味わい】
「鯖街道」を経て若狭から京都へと運ばれたサバは、祇園祭のときに家庭でつくる寿司の素材として、京都では古くから用いられていました。200年以上前からサバの姿寿司で評判の「いづう」では、専用のサバ、いづうの味を知り尽くした米屋の近江米、特製酢、北海道産の真昆布を使用。すっきりと酢が効いた古都の味は、焼いても美味。
◆いづう
住所:京都府京都市東山区清本町367
公式サイト:http://izuu.jp/
13 岡山「ままかり寿司」
【いくつでも食べられるあっさりとした旨さ!】
ご飯がいくらでも進んで足りなくなり、隣家から借りるほどだという意味から、子魚のサッパを岡山では“飯借り(ままかり)”と呼びます。押し寿司専門店「美園」では、岡山産の米をこの土地の特徴である甘めの酢飯にし、酢漬けのサッパをのせて押し寿司に。シャリの間に生の生姜とガリが挟まれ、ひと口サイズにカット済みなので食べやすい。
◆美園
住所:岡山県津山市里公文1673-5
公式サイト:http://www.misono3939.com/
14 山口「岩国寿司」
【“殿様寿司”とも呼ばれた豪華で豪快な郷土寿司】
400年近く前、藩内で収穫された米や野菜に近海の魚を混ぜ、押し寿司にして合戦に備えたのがはじまりです。その岩国寿司を最初に藩主に献上したのがこの「三原家(みはらや)」だといわれ、その味は代々当主にのみ伝えられています。魚のすり身入りの風味豊かな酢飯と、アナゴや椎茸、錦糸卵などを交互に重ね、踏み固めてつくる甘めの寿司。
◆三原家
住所:山口県岩国市岩国2-16-6
公式サイト:https://miharaya.jp/
15 佐賀「須古寿し」
【有明海のムツゴロウも具にする伝統の味】
佐賀県杵島(きしま)郡白石町の須古(すこ)地区に伝わる箱寿司。室町時代、藩主に献上するために考案されたものだが、祭りや祝い事には欠かせない郷土料理として家庭ごとに受け継がれてきました。「かどや」のものは、もち米を1割加えて昆布とともに炊いたご飯と、砂糖や塩を加えた“だし”と呼ばれる秘伝の合わせ酢でつくる酢飯においしさの秘密あり。
◆かどや
住所:佐賀県杵島郡白石町大字堤628
16 長崎「昔づくり 大村ずし」
【戦疲れも癒した500年前の勝利の味】
領地を奪回した将兵をねぎらうため、急ごしらえでつくったものが起源の大村寿司。押し寿司用の大きな木箱にご飯を広げて牛蒡や椎茸、魚をのせ、刀で切り分けて食べたとか。大村藩の台所番から料亭へと転身した「梅ヶ枝荘(うめがえそう)」では、甘めの酢飯、薄味の根菜、秘伝ダレに漬けた五島灘のタイなどを重ねソフトな押し寿司に。
◆梅ヶ枝荘
住所:長崎県大村市玖島1-36
公式サイト:http://www.cmcm.co.jp/NMK/009/009umegae.html
まだまだあるぞ!日本の変わり寿司
青森「イカ寿司」
日本でも1、2の漁獲高を誇る、八戸(はちのへ)港などで揚がる青森名物のイカ。そのお腹にゲソやキャベツなどを詰め、塩で発酵させたり、酢漬けにする郷土寿司。正月料理でもあります。
宮城「ホヤ寿司」
宮城の海の幸として親しまれているホヤ。もともとははなれ寿司として発達し、「土佐日記」に記されるほどその起源は古いですが、現在は生を握りや軍艦巻きにしています。
山形「塩引き寿司」
“塩引き”とは塩ザケのこと。腹を開いて塩を擦り込み、塩漬け、塩抜きの後に干してつくる塩引きを、薄くスライスして酢飯にのせ、押し寿司にして食べることが多い。
新潟「サケ寿司」
紅ザケのスライスをのせ、笹の葉で包んだ押し寿司や、焼きザケのほぐし身を混ぜた寿司が、駅弁などでみられます。北部では、生ザケの発酵寿司が正月料理に用いられています。
栃木「俵寿司」
栃木では稲荷寿司を俵寿司と呼びます(稲荷=米俵)。かんぴょうの産地である栃木では、甘く煮たかんぴょうで結び、きんちゃく型にすることもあります。
千葉「飾り巻き寿司」
房総半島の郷土料理。色とりどりの具材を使い、吉祥文様や花、動物などが切り口に現れるように巻きます。子どもの食育活動などに利用され、祝い寿司や祭り寿司とも呼ばれています。
山梨「握り寿司」
江戸前の握り寿司とは異なる家庭料理。乾物を酢飯に混ぜてつくる、握り飯の一種。祝い事には干し桜エビを、弔事には煮たひじきなどを混ぜるが、現在ではほぼ消滅した習慣に。
静岡「げんなり寿司」
結婚式や上棟式など、祝いの席に登場する稲取の名物。ひとつで約1合の酢飯を使い、げんなりするほど大きいことがその名の由来。ゲン(縁起)がよくなるようにとの願いもあります。
愛知「ハエ寿司」
ハエとは小ブナの別称。濃尾平野の輪中地域では、この小魚を丸ごと佃煮に。それを箱寿司の具にしたハエ寿司は、かつては祭りや行事に欠かせない郷土料理だった。
大阪「蒸し寿司」
発祥には諸説あるが、大阪では明治時代に誕生。ちらし寿司を蒸したもので、“ぬく寿司”とも呼ばれています。かつては、短時間で蒸せるように底に穴の開いた容器を芝居の幕間弁当に用いたのだとか。
徳島「ボウゼの姿寿司」
白身のボウゼはイボダイやウボゼとも呼びます。徳島では握り寿司のネタとして一般的で、阿南地方では伝統的に押し寿司に。旬は夏の終わり。秋祭りの定番的ふるまい料理です。
香川「カンカン寿司」
さぬき市の鴨部に伝わる郷土料理。瀬戸内で獲れるサワラなど旬の魚を用いた押し抜き寿司で、酢飯とネタを詰めた箱を締めるためにくさびを打つ、その音から命名。
高知「タケノコの印籠寿司」
淡竹(はちく)のタケノコの節を除いて筒にし、酢飯を詰めたもの。生や酢漬けを握りにしたミョウガ寿司や、ハスイモの葉柄(リュウキュウ)の酢漬けの棒寿司などもあります。
愛媛「おから寿司」
煎ったおからを酢で味付けし、酢飯のかわりにした寿司。ネタはコハダやイワシなどの光りものの魚。宇和島地方では“ほおかむり”、中予や東予地方では“いずみや”とも呼びます。
広島「アユ寿司」
江の川、西城川、馬洗川の一級河川が合流する三次(みよし)は、鵜飼やアユで名高い川の街。ここの夏の特産品が、味付けして煎ったおからを、酢締めにしたアユのお腹に詰めた寿司。
大分「高菜寿司」
かつて海苔が貴重品だった時代、日田などの山間部では巻き物を高菜で代用しました。具材もキュウリやヤマイモなどの野菜が中心。家庭料理ですが、寿司屋や料理店、駅弁にもみられます。
熊本「とき寿司」
“時、旬”を意味する、とき寿司。旬の魚を使った混ぜ寿司で、白身魚は酢締めに、そのほかは甘辛く煮て煮汁ごと混ぜます。タチウオやキビナゴなど、特産魚も使う郷土料理。
宮崎「ばら寿司」
細かく編んだ竹のザルで、酢飯と具を合わせる混ぜ寿司。海辺の地域では貝や海藻を、やや内陸ではほぐしたカツオの生節を、海から離れた地域では鶏肉を具にします。
鹿児島「酒寿司」
島津家の殿様が、宴席の残り料理に酒をかけたことから生まれた郷土料理。野菜、卵焼き、さつま揚げなどの具と、地酒を混ぜたご飯を層にし、魚介を散らして寝かせます。
沖縄「大東寿司」
醤油ダレに漬けたトビウオやサワラ、カジキなどの白身魚を握った寿司。サトウキビ栽培で大東島に移民した八丈島出身者が伝えたもので、八丈島の“島寿司”に似ています。
知るとちょっと楽しい寿司コラム
一、短気な江戸気質が生んだ立ち喰い屋台が握り寿司のはじまり
江戸時代後期の文政年間。一膳飯屋や屋台などの外食産業が花盛りの江戸の街で、酢飯に生の魚の切り身をのせた握り寿司が誕生。握ったそばから食べるという立ち喰いスタイルが、せっかちな人々の気質に合い、江戸ではたちまち寿司=握り寿司になりました。
二、関東大震災をきっかけに、握り寿司は一気に全国区へ!
江戸で人気を博した握り寿司ですが、依然、寿司といえば押し寿司の時代が続きます。ところが関東大震災で被災した寿司職人たちが帰郷したことにより、江戸前の手軽な寿司は全国に広まることに。すでにこの頃、食の世界もスピード化へと向かっていったのです。
三、“鮨”も“寿司”も同じすし?
“すし”は鮨、寿司、鮓などさまざまに書き表されます。“鮨”はその字が示すとおり魚を旨く食べる料理だからで“寿司”は縁起を担いだ当て字なのだとか。なじみはありませんが、発酵によって酸味がした魚を“すし”と読んだ起源を思わせる“酢し”という表記もあります。
四、1個、2個ではなく1貫とは!?2個でワンセットの摩訶不思議
握り寿司は1貫、2貫と数えます。これは江戸時代の穴あき銭の1貫分、50枚のかたまりが当時の握り寿司と同じくらいの大きさだったからという説も。戦後、寿司はひと口大と小さくなりましたが、数え方は残り、その代わり“2個でワンセット”になったのです。
五、変わりネタより“醤油”にびっくり仰天の九州寿司
生醤油の味も寿司のポイント。九州では、家庭でも料理屋でも日常的に濃くて甘い醤油を使うので、寿司にも当然甘い醤油を使います。これは、とくに関東の人を驚かせること必至。「キッコーマンください」で普通の醤油が出てくるというのも驚きです。
寿司のお供にはこれ!美山窯「葛飾北斎×九谷焼」大湯呑
葛飾北斎『冨嶽三十六景』を絵付けした九谷焼の大湯呑。
江戸時代後期の浮世絵師・葛飾北斎は、生涯に3万点を超える浮世絵や版画などの作品を発表し、世界的にも絶大な評価を得ています。常に新しい作風を模索し、数多くの傑作を生み出した北斎の作品と、日本を代表する伝統工芸品である九谷焼のコラボ。この湯呑は寿司屋に置いてあるような波口型で、重厚な作りの大湯呑。職人が一点一点手作業で、北斎の有名な版画『冨嶽三十六景』から『神奈川沖浪裏』と『凱風快晴』をそれぞれ絵付けされています。
▼商品詳細・購入はこちら(「大人の逸品」へ移動します)
https://www.pal-shop.jp/category/IP_001_000_000/A93953408.html
※『和樂』2008年4月号一部再編集
撮影/永田忠彦