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読み物
Gourmet
2019.12.29

ヘルシーでおいしい精進料理おつまみレシピ!3種類のかんたんな作り方を紹介

この記事を書いた人

筆者、ずぼらである。威張ることではないが、熱中したい事柄以外はすべからく、ずぼらである。食に関してもずぼらの対象であるため、某忍術学園の漫画の登場人物ではないが、「腹に入ればみな同じ」「食えるだけでもありがたや」であり、また「お残しは許しまへんで~!」についても忠実に守るよう心掛けている。秋刀魚程度であれば頭の先から尾の先まで、何もお残しせずに丸ごと胃に納めているが、これもまあ、ずぼらの成せる技であろう。

ところが、このずぼらも稀にやる気を出すことがある。気まぐれ極まりないのではあるが、そんなずぼらであっても苦にならずに作れるレシピをご紹介していきたいと思う。

過去のずぼらレシピ
忍者にとってのカロリーメイト、兵糧丸(ひょうろうがん)をつくってみた

ところで、ずぼらシェフのあきみず氏は、仏教(特に密教)が好きである。なぜ好きか、ということを説明していくと記事1本楽々書ける上に、個人の特殊な事情が入り込んでくるため割愛するが、先だって高野山の宿坊で精進料理を頂いた際、何とも満ち足りた気分となったのである。以来、作りもしないのに精進料理のレシピ本など購入して手元に置いている。だがまあせっかくだから作ってみようか、と思ったのがこの記事の発端である。

精進料理ってなんだ?

「精進料理」とは肉や魚を一切使用せず、「ねぎ・にら・らっきょう・にんにく・しょうが」の辛味や臭みのある5つの食材も使わない、という、仏教の教えに基づいた料理である。そして単にそれらの食材を使用しないということではなく、精神修養をこそ目指したものであるとか。

その「精進料理」で「おつまみ」を作ろうとは何事か、と目を三角にされるかたもおられるかもしれぬ。が、酒は「般若湯(はんにゃとう)」と呼ばれる妙薬であるからして、妙薬をもって「精進」すればよいのである。善いではないか、よいではないか。

という訳で、今回は「精進料理おつまみ」3種である。

切り干し大根ときゅうりのサラダ

ごくシンプルな料理である。具材は切り干し大根ときゅうりのみ。が、なかなか馬鹿にできぬ愛い奴である。

切り干し大根ときゅうりのサラダレシピ

・切り干し大根 1パック(50g程度)
・きゅうり 1本
・ごまドレッシング 適量
・ごま油、七味唐辛子、酢 お好みで

切り干し大根は短めに切られているものを選び、買ってきたパック丸ごと1つ使えばよい。計量して調整なぞは無用。無論、好みに合わせて増減するのは問題ない。

1.洗う

乾燥した状態で売られているパックの切り干し大根を、水洗いする。が、そんなに必死にならなくてもいい。

2.茹でる

洗った切り干し大根を茹でる。

うどんを茹でているわけではない

歯ごたえが残る程度にすると食感がよい。何となく全体が生の大根チックな透明感のある白になってきたら頃合いだろう。

切り干し大根は、意外に増える。舐めてかかると2倍程度に膨れ上がった切り干し大根が妖怪よろしく鍋からはみ出るので、深めの鍋がおすすめだ。

3.切る

きゅうりを千切りにする。

切り干し大根を茹でている間にきゅうりを切る。サイズを揃えるなどいう、ずぼら精神を無視した所業など必要ない。口に入ってそこそこ美味ければよいのである。

4.絞る

茹で上がった切り干し大根をざるに上げて少し冷まし、触れる温度に下がったらよく絞る。
ちなみに、この茹で汁もけっこう美味である。

5.ぜんぶ混ぜる

切り干し大根・きゅうり・ごまドレッシングをボウルなどにすべて入れ、混ぜる。

完成。お好みでごま油や七味唐辛子、酢などを加えるとパンチの効いた味になる。まろやかで優しい味であるべき精進料理でそれをしてよいのか、という問題はとりあえず放り投げておく。煩悩に囚われた人間がより美味いと感じ、食材に深く感謝する手段である。

30分くらいそのまま放置しておくと全体に味が馴染んでいくので、時間が許すなら少し寝かせてから食べるのをおすすめする。

こんなシンプルでいいのかと思うくらい楽だが、これが実に美味い。ちょっとつまみが欲しい、という時にもさっと作れる、一押しのレシピだ。

では、2品目に移ろう。

柚子釜の山芋おろし

今回のレシピ中、最も手間のかかる料理だ。しかし見た目が実に洒落ているから、ぜひご紹介したい。

柚子釜の山芋おろしレシピ(2人前)

・柚子 2つ
・長芋 適量
・大根おろし 適量
・なめこ 適量
・精進だし 適量
・しょうゆ 適量
・みりん 適量
・あおさ お好みで

適量の項目が多すぎるが、要は適量である。好みで分量や比率を変えていいし、柚子の個体差によって入れられる量も異なる。以下の画像の大根と長芋は、買ってきた量そのままであり、今回の調理で実際に使用したのはそれぞれ5分の1程度だったので、参考程度に。

1.だしを作る

本来はいくつかだしを作るのだが、そこはずぼらクッキングの流儀に則って、八方だし1つで乗り切る。

精進だし:しょうゆ:みりん=8:1:1 を混ぜ、煮立てる。

以上である。比率も分量も、お好みで変更可能だ。塩や砂糖を加えてもいい。

精進だしは昆布・しいたけ・かんぴょう・大豆などでじっくり取ることもできるが、市販されているものを買ってくれば充分である。ただ、置いてある店舗は限られているため、店員さんに聞くとよいだろう。都心部ではそもそも、精進だしとは何ですか? と聞き返されることも多々あるので、そこで怒ったりせず、菩薩のごとき笑みを忘れずに。精進料理のための買い物である。

2.くり抜く

柚子を軽く洗い、上部を蓋にできるくらいの厚さに切って、果肉をくり抜く。

スプーンなどを皮のすぐ側に沿わせるように当てて動かしていくと、果肉は容易にぺりぺり剥がれてくれる。
中身も柚子ジュースはじめ別の料理に使えるので、捨てないようにする。

3.おろす

長芋をおろし器でおろす。

4.煮る

1で作った八方だしでなめこを煮る。

なめこに下味を付けるのが主な目的である。八方だしの鍋でそのまま煮れば、洗い物の手間も省ける。

5.混ぜて、入れる


3と4をよく混ぜ、2の柚子釜に入れる。ややとろみを残すくらいの固さにし、スプーンですくって入れていくと簡単だ。

量は好みで構わないが、少なすぎると食べ応えがなくなるし、多すぎると次の工程で吹きこぼれる。柚子釜の8分目くらいがよいかもしれない。この画像の量では柚子釜に入れた後にかなり余ったたため、余剰分は後ほど汁物へ変身した。

6.蒸す

あらかじめ熱した蒸し器に5を入れ、10分間蒸す。

7.乗せる

蒸し終わったら火を止め、大根おろしと、お好みであおさを乗せて、完成。

長芋や大根おろし、なめこといった胃腸や肝臓の機能促進・脂質分解に役立つ食材もふんだんに使われており、酒のつまみとしても優れている。柚子の芳香が中身にも移って心地よい。

柚子釜は、食べずに軽く洗って後でジャムあたりにする方法もあるが、そのままでも食べられる。お好みの方法で胃に送り込んでいただければと思う。

3品目は、酒との相性が抜群、かつ手間も少ない。

豆腐の浅漬け

豆腐に味噌を塗って放置するだけである。所要時間は今回のレシピ中最長だが、最も簡単と言えるだろう。

豆腐の浅漬けレシピ

・木綿豆腐 1丁
・味噌(種類は好みで) 適量

画像の豆腐は、実は半丁である。特売だったのである。が、手順は1丁でも半丁でも変わらない。

1.水気を切る

木綿豆腐をパックから出して軽く水気を切り、キッチンペーパー数枚を使って全面を覆い、さらにその上から新聞紙で巻く。

画像は分かりやすいようにあえて中のキッチンペーパーを見せているが、それぞれきっちり巻いて構わない。けっこう染みてくるので、新聞を何重かにしてもよいだろう。

2.放置する

冷蔵庫で2時間ほど寝かせる。

3.塗る

豆腐の表面に味噌を塗る。

味噌の種類は問わない。塗る量は、豆腐が隠れる程度で充分。

4.くるむ

クッキングペーパーやラップなど、外に染み出さない素材で3をくるむ。

5.放置する

冷蔵庫で2時間ほど寝かせる。

6.取る

キッチンペーパーやラップをはずし、豆腐に塗った味噌を取る。

包丁の背など、比較的平らな面でそっと表面を撫でるようにして味噌を取っていくと、豆腐が崩れにくい。
長めに漬けておけば、さらに味噌の味が強くなるので、お好みで時間調整していただければと思う。

日々の糧とすべてのご縁に感謝

以上、おつまみにもなる精進料理3種をご紹介した。簡単ながら、実に味わい深いものばかりである。

「精進料理は手間暇をかけて、丁寧に作るものである」――面目ない。
「精進料理とは、食事も重要な修行の一環であると考え、日々の糧に感謝し、食べ終わったら身の内が清らかになるよう作るものである」――重ねて面目ない。

せめて食するときにはこれを思い出し、心身の煩悩を排するよう努めることとしたい。頂戴いたします。

※本文中のレシピは以下の図書を参考に筆者がアレンジ
・定額山善光寺・監修「善光寺と宿坊の精進料理」株式会社 学習研究社
・高野山真言宗総本山金剛峯寺・監修「高野山の精進料理」株式会社 学習研究社
・藤井まり「鎌倉・不識庵の精進レシピ 四季折々の祝い膳」株式会社河出書房新社

書いた人

人生の総ては必然と信じる不動明王ファン。経歴に節操がなさすぎて不思議がられることがよくあるが、一期は夢よ、ただ狂へ。熱しやすく冷めにくく、息切れするよ、と周囲が呆れるような劫火の情熱を平気で10年単位で保てる高性能魔法瓶。日本刀剣は永遠の恋人。愛ハムスターに日々齧られるのが本業。