見つめてしまったら最後…。
吸い込まれそうな瞳のように煌(きら)めく美しいコバルトブルーの池の絶景!
ふらりと訪れて、鮮やかに輝くコバルトブルーの美しさに悩殺されまくったのは私だけではないようです。
今回は、地元の人を除けば、知る人ぞ知る魅惑のスポット「別府弁天池」へご案内します。
到着してビックリ!魅惑の「別府弁天池」
山口県美弥(みね)市にある別府厳島神社の境内に位置している「別府弁天池」。
その大きさは、外周40m、中心付近の水深は4mほどもあり、毎秒186リットル、毎分11トンもの清水が池の中央部から絶えることなく豊かに湧き続けている、湧き水によって誕生した池です。
ふらりと訪れた私。
平日だったので駐車場も空いていてガラガラ。
そんなこともあり、あまり過度に期待せずにこの池へ向かうと、予想をはるかに裏切る嬉しいサプライズ!
この池の最大の魅力は、なんと言ってもフォトジェニックで神秘的な絶景を生み出す水の透明度の高さとその色の美しさ! 天気の良い日などには、ここが日本であるのを忘れるほど、海外のビーチで見るようなコバルトブルーやエメラルドグリーンなどといった輝くブルー系が主体となった美しい色に輝きます。
水が湧き出る中央部から池の淵にかけて現れる美しいグラデーションは、神秘的で吸い込まれそうな美しい瞳のよう。
この絶景を現地で一目見た瞬間にメロメロにされてしまったのは、私だけではありません。
この池の絶景は、訪れる人々を魅了し、心を癒してくれるので、地元の人々のオアシス的な存在でもあるんですね。
別府弁天池が美しいコバルトブルーに輝くのはなぜ?
別府弁天池の近くには、石灰岩による白い岩肌がむき出しになっている日本最大級のカルスト台地「秋吉台」があるので、その周辺エリアもカルスト地形を形成しているんです。カルスト地形とは、石灰石が水に溶食されてできた地形のこと。
別府弁天池の底から湧き出ている水は、このカルスト地形で長い時間かけられて濾過されて湧き出ている伏流水となっています。そのため、この水は非常に透明度が高いことに加えて、カルシウムやミネラル成分を多く含んでいるので、この池の水に太陽の光が射すと、通常の水とは異なる光の屈折率を生み出すとのことです。
こうした理由で、7色に大別される光の色の内、6色はこの池特有の水質でかなり吸収されてしまいます。これにより、唯一、吸収されずに多く残っているブルー系の色が特に反射されることで強調されて、鮮やかな美しいコバルトブルーが私たちの目に映るんだそうです。
別府弁天池の絶景を見るには?
美しいコバルトブルーに輝くこの池の絶景は、太陽の光の反射によって現れているので、曇りよりも晴れの日の方が、より鮮やかな色に輝く絶景が出現しやすくなります。
つまり、あなたがこの絶景にメロメロにされる度合いも格段と上がります!
また、池が鏡面になるような無風に近い状態の方が、この絶景の美しさが際立ちます。
季節によっても異なるのですが、時間帯によっては、太陽の角度で池の近くにある大きな木の木陰が池に部分的にかってしまう時間帯もあります。それでも、木陰がかかっていない部分は、コバルトブルーに輝く絶景が出現しますが、池全体でこの絶景を見たい場合は午前中の方がよいようです。
湧き水は「日本名水百選」!おいしいお水を満喫
別府弁天池は、その外観の美しさだけではなく、水質も素晴らしいんです。
1年中、水温は14度から15度と安定しており、カルスト台地の伏流水であることから豊富なカルシウムやミネラル分を含んでいるので、さまざまな健康や美容効果も期待できる良質の水とのことです。
カルスト地域の湧き水を飲んでみるのは初めてでしたが、すごく美味しかった~!
その美味しさのあまり、ペットボトルに入れてお持ち帰りもしてしまいました。
別府弁天池の専用駐車場付近には、名水となっているこの池の湧き水をいただける給水所があり、ペットボトルなどの容器を持参すれば、ありがたいことに無料で持ち帰らせていただくこともできるんです。
車での長期間の旅行中だったので無理でしたが、ドイツパン好きの私は、この水でパンを作ってみたかった…。やや硬水のお水なので、発酵が促進されてハード系のパンを作るのに相性がよいかも。コーヒー好きの人は、このお水でコーヒーを淹れれば、コーヒーの深みをより味わえるのではないでしょうか。
また、顔などを洗えば、保湿効果も期待できるらしいですよ。
そんな別府弁天池の素晴らしい湧き水は、1985(昭和60)年に「日本名水百選」にも選出されています!
知る人ぞ知るパワースポット「別府弁天池」
日本名水百選にも選出されている別府弁天池の湧き水は、昔から地元では「1杯飲めば1年、2杯飲めば2年長生きできる長寿の水」とも言われていて、健康効果を期待できることにより長寿効果も期待できるお水として知られているんだそうです。
また、この池の湧き水を飲めば、「財宝を授かる」という言い伝えもあることから金運のパワースポットになっているとのこと。
こうした理由もあり、別府弁天池は、地元以外の人々にもパワースポットとして、近年、知られるようになり始めているようです。
別府弁天池の伝説
現在、パワースポットとしても地元の人々以外にも知られ始めている別府弁天池には、こんな伝説が残っています。
今から1000年くらい前もの昔のこと、秋吉台の麓にある石見(いわみ)という集落に村人思いの1人の働き者の長者が住んでいました。この長者は、荒れ地のために作物が不作続きで貧しい暮らしから抜け出せない村人達を見て、心を痛めていました。
ある夜、この長者は夢の中で白髪の老人に出会い、お告げと鎌を授かって朝起きると、夢で見た老人から授けられた鎌が夢から覚めても枕元に残されていました。そこで、その夢のお告げを不作で困っている村人たちに伝え、皆で力を合わせて荒れ地を開墾することにしました。荒れ地はお告げ通りに無事開墾できましたが、今度は、田畑を作るための水が無かったので途方に暮れていました。
そこで、神祠を祀って水の恵みが得れるように水の神様の弁財天に祈願すると、あの白髪の老人が再び夢の中に登場。今度は、青竹でできた杖を地面に深く刺して消えました。そこで、長者がその竹を引き抜くと、豊かな美しい水が湧き出して、一夜のうちに大きな池ができあがりました。この池は開墾した土地全てを潤し、おかげで豊作になり、村全体が豊かになりました。
この池こそが、枯れることなく現在も絶え間なく清水が湧き続けている「別府弁天池」だということです。
山口県の無形文化財「別府念仏踊り」
この別府弁天池の伝説に基づき、その水を授けてくださった神様に感謝の気持ちを伝え、豊作になるように、「別府念仏踊り」が別府弁天池で毎年9月の初旬に奉納されるようになりました。
現在は、毎年9月の第1日曜日に開催される「別府弁天祭り」というお祭りの中で、この踊りが奉納されています。
毎年、この日は、出店もずら~っと立ち並び、多くの見物客で賑わいます!
この念仏踊りは、1968(昭和43)年に山口県の無形文化財にもなっています。
池のそばにある「赤い川」の正体は?
鮮やかで美しいコバルトブルーの別府弁天池のそばで、この池の水が流れているのに色が「赤い川」を発見!
この川の所々には、紅葉した真赤な葉が積もっているような部分的に鮮やかな赤に彩られた所が多くあるので、遠くから見ると赤い川に見えるんです。
恐る恐る近づいてよ~く見ると、石に付着して生息している水草のよう。
調べてみると、なんと、これは「準絶滅危惧種」に指定されている貴重な生物!
藻類の一種で、「ベニマダラ」とのこと。
非常にきれいな水でしか生息することができない生物と言われていることからも、別府弁天池の水がいかに清らかで、人間を含めた命あるすべての生き物の恵みになっているかということも分かります。
「市の天然記念物」にも指定されている巨木群!
別府弁天池の清らかで良質の湧き水のおかげで恩恵を受けているのは、ベニマダラだけではありません。
別府弁天池の周囲には、立派に大きく育っている木が豊富にあります。中でも、別府厳島神社の拝殿近くには、幹の太さが2mを超える巨木が沢山集中しており、巨木群を形成しています。
この巨木群は、「市の天然記念物」にも指定されており、特に巨大なもの数本には注連縄(しめなわ)が巻かれており、この神社のご神木にもなっています。
また、境内にある巨木の中には、自然にできた木の穴に弁財天が鎮座する木もあるので見逃せませんよ。
巨木が多いので、地元では、暑い日などには避暑地的なスポットとして、休憩に立ち寄る人も多いらしいです。水温が変わらず一定な別府弁天池の水辺は、特に夏の暑い日でもとても涼しいようですよ!
そして、逆に冬には、1年中一定の温度のこの池の水を触ってみれば、外気に比べてなんだか温かく感じる不思議。
また、秋は、美しい紅葉も楽しめるスポットで、11月の下旬が1番の見頃となっています。
別府弁天池の鮮やかなコバルトブルーの色と紅葉の色のコントラストが非常に美しく、ウットリ~。
季節を問わず、こんなステキなオアシスで休憩すれば、心身共に癒されてフルチャージできるので、パワー全開で復活できますね。
山口を訪れた際には、別府弁天池の絶景にメロメロにされながら癒されて、ぜひ、パワーチャージもしてみてください。
別府弁天池の基本情報
住所:山口県美祢市秋芳町別府