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2017.04.27

これは…奈良国立博物館に行ったら見逃せない!貴重なお宝ベスト3

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優れた仏像群など古都奈良の文化財を預かる博物館

8世紀末の遷都以来、政治の中心となってきた京都は、度重なる兵火によって建物、仏像をはじめとする、平安時代の文化財の多くが失われた。いっぽう南都(なんと)──奈良の都は、その中心部を占める東大寺(とうだいじ)や興福寺(こうふくじ)などに、戦災を逃れた仏像、正倉院(しょうそういん)の宝物などが、奇跡的に現代まで伝えられている。

こうした古都奈良の文化財を預かるのが、奈良公園のただ中に立つ、奈良国立博物館だ。今回はそんな、奈良国立博物館のお宝3選をご紹介!

木そのものが宿す聖性を際立たせた、同時に日本的な檀像様彫刻の傑作

中国から伝わった、木の堅さと香りのよさ、木目の美しさ、希少性を生かす香木を素材にした檀像のひとつで、一木(いちぼく)から削り出された。平安時代初期に典型的な、優れた仏像の作例。
D000011(奈良博0645_薬師如来坐像-国宝-実画像)-min『薬師如来坐像』1躯 木造素地 像高49.7㎝ 平安時代(9世紀)奈良国立博物館 国宝

最澄の真摯で敬虔な人柄が伝わってくる字の書きぶりと文章

現存唯一の最澄自筆書状で、高雄山寺(今の神護寺)の空海の下にいた愛弟子の泰範(たいはん)に宛てたもの。7歳年下の空海に対して礼を尽くす格調高い文面が、最澄の人柄を偲ばせる。
D009189(奈良博0648_伝教大師筆尺牘-久隔帖-実画像)最澄『尺牘(久隔帖)』1幅 紙本墨書 29.3×55.2㎝ 813年 奈良国立博物館 国宝

一見恐ろしい姿だが魔を避け、邪を祓って人々を守る頼もしい善神を描く

中国で信仰された、疫鬼(えきき)を懲らしめ退散させる善神を表したもので、元は絵巻だったものが戦後に切断されて掛幅装(かけふくそう)に。本作はその中のひとつで、牛頭天王(ごずてんのう)を喰らう天刑星(てんけいせい)の図。
D026450(奈良博1106-1_辟邪絵-天刑星-実画像)-min『辟邪絵』 5幅 紙本着色 各縦25.8~26.0×横39.2~77.2㎝ 1106年 奈良国立博物館 国宝

毎年開催される「正倉院展」は関西の秋の風物詩だが、常設展示の目玉といえば、飛鳥時代から鎌倉時代にいたる優れた仏像群。国内の博物館で最も充実した仏像の展示を誇る「なら仏像館」、中国古代青銅器のコレクションを収めた青銅器館、絵画・書跡・工芸品・考古遺品の名品を1か月ごとに展示替えしながら紹介する西新館。特別展を担当する東新館も含め、いつでも力の入った展示が楽しめそうだ。

奈良国立博物館

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住所/奈良市登大路町50番地 地図
開館時間/9時半〜17時
休館日/月曜日
ホームページ/http://www.narahaku.go.jp/index.html

-2015年和樂8・9月号より-