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2025.06.12

現代ならTikTokもバズってた? 北斎は「ダンスの指南書」も手掛けていた!│浮世絵師・葛飾北斎を知るAtoZ【D】

約70年にわたって活躍した浮世絵師・葛飾北斎。ただひたすら絵を描くことに執着し続けた北斎の人生は、波乱万丈にして奇想天外! 破天荒な絵師・北斎の人生をAからZの26の単語でご紹介します。今回はD=【ダンス】!

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北斎AtoZ
D=【ダンス】踊りの指南書は、まるでパラパラ漫画

北斎の作品のなかでも、意外なものとしてご紹介したいのが『踊獨稽古(おどりひとりげいこ)』。
文化・文政時代にお座敷や芝居小屋ではやっていた曲の振り付けをひとりでこっそり稽古したいひとのための、振り付けの指南書です。

『踊獨稽古』の最初は「登り夜舟」

見るからに楽しそうな 「登り夜舟」 の踊り。『踊獨稽古』葛飾北齋 画編ほか 雙鶴堂鶴屋金助 文化12(1815)年 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/8929362 (参照 2025-06-04) 以下すべて同じ

収録されているのは、「登り夜舟」「生野暮薄鈍(きやぼうすどん)」「悪玉踊り」「団十郎冷水売(だんじゅうろうひやみずうり)」の4曲。

作画と編集は北斎がひとりで行っていて、歌舞伎舞踊の振り付けを担当していた藤間新三郎(ふじましんざぶろう)が補正するという念の入ったつくりになっています。

続く「生野暮薄鈍」って、いったいどんな曲?

もろ肌脱いで踊るってことは、酒宴の座興? 江戸時代って楽しそう!

踊りの所作(しょさ)を忠実に描いた一連の絵は、パラパラ漫画で見てみたいほど正確でキュート。今や日本を代表する文化であるアニメーションの原型を見る思いです。

振り付けの図説の合間には、踊り方のコツや小道具の使い方などが書き加えられています。
その内容が受けたのか、天保6(1835)年には『おとり獨稽古』の外題で再版されています。

絵を見るだけでも面白い「悪玉踊り」


善玉と悪玉を踊りで表現するコミカルな曲。現在はすたれてしまったようだが、江戸時代は大人気だった。

北斎というと、無趣味で絵にしか興味がなかったことが知られていますが、これほど丁寧な指南書が描けるぐらい、歌舞伎舞踊にも精通していたとは・・・。
思いもよらなかった側面に驚かされます。

最後は江戸の夏の風物詩「冷や水売り」の踊り

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和樂web編集部


構成/山本 毅 ※本記事は雑誌『和樂(2017年10・11月号)』の転載・再編集です。 アルファベットに用いた葛飾北斎の絵は、『戯作者考補遺』(部分) 木村黙老著 国本出版社 1935 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1874790 (参照 2025-06-04)
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