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2025.06.19

親戚にいそう! 北斎の本名が意外と普通だった!│浮世絵師・葛飾北斎を知るAtoZ【K】

約70年にわたって活躍した浮世絵師・葛飾北斎。ただひたすら絵を描くことに執着し続けた北斎の人生は、波乱万丈にして奇想天外! 破天荒な絵師・北斎の人生をAからZの26の単語でご紹介します。今回はK=【川村鉄蔵】!・・・って誰??

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北斎AtoZ
K=【川村鉄蔵】これが本名。普通すぎて草・・・


「川村鉄蔵」という字面(じづら)を目にしただけでは、だれのことなのか想像もつかないのではないでしょうか。

実はこれが北斎の本名です。

宝暦10(1760)年9月23日、本所割下水(ほんじょわりげすい)に生まれた時の名前は時太郎(ときたろう)。
それから鉄蔵となったとされますが、それ以上詳しい記録はなく、幼いころに鏡師(かがみし)の家の養子になったという説もあります。

10代の初めのころ、鉄蔵は貸本屋の小僧として働き始めたとされます。もともと手先が器用だったのか、10代半ばには木版印刷の版木を彫る職を得て、版木を彫りながら、文章や絵にも親しむようになったとか。
そのうちに絵を描いてみたいと思うようになった鉄蔵は19歳のころ、役者絵で人気を得ていた浮世絵師・勝川春章(かつかわしゅんしょう)に弟子入りします。

勝川春章とは、役者似顔絵の名手!

春章の代表作である、中村仲蔵の当たり役『仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)』の斧定九郎(おのさだくろう)役の役者絵。を演じる姿が描かれています。東扇シリーズは、扇子に仕立てたり、屛風や襖に貼って飾ったりできるブロマイドで、人気を博した。『東扇・初代中村仲蔵(あずまおうぎ・しょだいなかむらなかぞう)』勝川春章 江戸時代・18世紀 東京国立博物館 出典:ColBase (https://colbase.nich.go.jp)

春章のもとで、浮世絵版画や肉筆画を学んだ鉄蔵は、早くも入門した翌年に浮世絵師としてデビュー。
このことからも、鉄蔵がいかに優れた絵の才能を持っていたのかがよくわかります。

左が春章、右が春朗。師の教えを受け継いでいたが・・・

右は20歳の北斎が勝川春朗の名でデビューしたときの作として知られる4図のうちひとつ。春朗は師・春章の作風を忠実に受け継いでいた。左/『四代目岩井半四郎の傾城白妙(よだいめいわいはんしろうのけいせいしろたえ)』勝川春章 安永元(1772)年・右/『三代目瀬川菊之丞の正宗娘おれん(さんだいめせがわきくのじょうのまさむねむすめおれん)』葛飾北斎(勝川春章) 安永8(1779)年 東京国立博物館 出典:ColBase (https://colbase.nich.go.jp)

そして、画号は師の名前を3文字もらった〝勝川春朗(しゅんろう)〟。
デビュー作は役者絵で、以後約15年間に浮世絵版画や黄表紙の挿絵などを描くようになります。

この駆け出しの時期は「春朗期」と呼ばれ、後に大成功を収める風景画とはまったく異なる画風で、実力を蓄えていた時期と言ってもいいでしょう。

役者絵も美人画も、なんでも上手い!

『飛鳥山暮雪(あすかやまぼせつ)』葛飾北斎(勝川春朗) 江戸時代・18世紀 東京国立博物館 出典:ColBase (https://colbase.nich.go.jp)

やがて浮世絵に飽き足らなくなった春朗は、師に内緒で、狩野派や洋画などを学び始めます。
しかし、それが春章の知るところとなり、あえなく破門。勝川春朗と名乗ることはできなくなって、新たな道を探るようになります。

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和樂web編集部


構成/山本 毅 ※本記事は雑誌『和樂(2017年10・11月号)』の転載・再編集です。 アルファベットに用いた葛飾北斎の絵は、『戯作者考補遺』(部分) 木村黙老著 国本出版社 1935 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1874790 (参照 2025-06-04) /アイキャッチ画像:『肖像. 2之巻』国立国会図書館デジタルコレクション
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