日本文化の入り口マガジン和樂web
5月11日(火)
Love the life you live. Live the life you love. (ボブ・マーリー) 映画「HOKUSAI」公式サイトはこちら
日本文化の入り口マガジン 和樂web
日本文化の入り口マガジン 和樂web
5月11日(火)

Love the life you live. Live the life you love. (ボブ・マーリー) 映画「HOKUSAI」公式サイトはこちら

読み物
Craft
2020.06.06

名刀・五虎退とは?虎の群れを追い払ったエピソードを持つ短刀は上杉謙信の愛刀!

この記事を書いた人

刀剣にはいろいろな長さや形状があります。そして、名刀と呼ばれるものの中にも、刃長が30センチ以下の短刀が多数含まれています。

かわいらしいサイズでも、びっくりするほどパワフルなエピソードを持つ短刀「五虎退(ごこたい)」をご紹介いたします!

五虎退とは?

五虎退の作者は、鎌倉時代末期(中期とも)の山城(現在の京都府)で活躍した名刀工・粟田口藤四郎吉光(あわたぐちとうしろうよしみつ)です。
刃長は8寸3分弱(25.1センチ)、すらっとした優雅な姿で、表裏ともに元のほうに2筋の溝が彫られています。研磨による手入れのため、鉄肌が本来の見え方とはやや異なっているものの、作られた当初の美しく精緻な地鉄(じがね)も見ることができます。全体にまっすぐな刃文「直刃(すぐは)」が焼かれていて、鋒(きっさき)部分の刃文は小さな半円を描きながらUターンし、棟(むね)で止まっています。この小さな半円をきれいに焼くには高い技術が必要だといい、藤四郎吉光の実力を見て取れます。

重要美術品に指定されているこの短刀は、足利義満・正親町天皇・上杉謙信らに受け継がれたとされ、上杉家伝来の三十五腰の1つに数えられています(個人蔵、米沢市上杉博物館に寄託)。

名付けの由来

室町幕府3代将軍・足利義満の派遣した遣明使が、現地で虎の群れに襲われてしまいます。その際に、手にして虎たちを追い払ったのがこの短刀だったことから、「五」頭の「虎」を「退」ける、という名前が付けられたと伝わります(実際は1頭だったが、義満に5頭と報告した、とも)。

粟田口藤四郎吉光とは?

五虎退の作者である粟田口藤四郎吉光は、名刀工・粟田口國吉(くによし)の子(ないし弟子)です。
江戸時代より前の「古刀期(ことうき)」における筆頭刀工に置かれ、この藤四郎吉光の作を持つことが大名のステータスの1つともなっていました。

粟田口派の作は非常に有名で、狂言の演目にも、粟田口を求めてこい、と主人に命じられて出かける『粟田口』などがあります(ただし、買いに出かける人物は粟田口をよく知らず、詐欺に遭う、という設定)。

藤四郎吉光の作品には短刀が多く、刀は稀です。これは時代的に短刀の需要が多かったためで、同時代の刀工も多く短刀を造ったといいます。

精緻な鉄肌が藤四郎吉光の属した粟田口派の見どころの1つとなっており、繊細な肌模様には品格を感じさせられます。

まっすぐな刃文に、メインの刃文から枝のように伸びた刃文が短く入る=「小足(こあし)」が見られるもの、あるいは全体に細かく乱れた刃文が入る=「小乱(こみだれ)」などが、主な作風です。

「吉光」を名乗る刀工はかなり多く、三河・大和・備前・土佐・薩摩・陸奥など、60工あまりが確認されています。

▼おすすめ書籍『名刀大全』名刀の魅力と歴史がわかる決定版大型作品集

書いた人

人生の総ては必然と信じる不動明王ファン。経歴に節操がなさすぎて不思議がられることがよくあるが、一期は夢よ、ただ狂へ。熱しやすく冷めにくく、息切れするよ、と周囲が呆れるような劫火の情熱を平気で10年単位で保てる高性能魔法瓶。日本刀剣は永遠の恋人。愛ハムスターに日々齧られるのが本業。