古の伝統色を現代に紡ぐ、京都の染織工房「染司よしおか」
「染司よしおか」は、自然界が生み出す植物のみを材料に、古来の方法で染織を行う、江戸時代から続く工房です。
現在は植物染めの商品の制作だけでなく、奈良・東大寺二月堂の修二会(しゅにえ)や薬師寺の花会式(はなえしき)、京都・石清水八幡宮の石清水祭といった行事に関わるほか、国宝の復元、『源氏物語』に描かれる色彩の再現など、日本古来の伝統を現代へつなぐ活動をされています。
自然の声に耳を澄まし、理想の色にたどり着く
「染司よしおか」の制作は、とても丁寧で、ゆっくり。染料づくりから染織まで、すべてが手作業で行われ、一枚の布が染め上がるまでに数日間を要します。
材料となる植物を、沸かした湯の中で煎じて色を汲み出す。染色作業も一度ではなく、少しずつ、納得できる色調になるまで何度も繰り返していく。
そうやって長く時間をかけ、絶えず人の手をかけて生まれた植物染めは、驚くほどに鮮やかで、自然界がもたらす神秘と生命力に、感動すら覚えます。
伝統の植物染めが体験できるワークショップも開催
この特別企画展では「染司よしおか」が生み出す、色彩豊かな作品を展示。穏やかな季節、ゆっくりとした時間が流れる葉山で日本の伝統色を鑑賞する時間は、とても豊かに違いありません。
また期間中は、6代目当主・吉岡更紗さんが講師をされる、ストールの染色ワークショップも開催されるので、この機会に、その技術に触れてみてはいかがでしょう。
Profile
吉岡更紗(よしおかさらさ)
染織家。「染司よしおか」代表。1977年京都府生まれ。大学卒業後「イッセイミヤケ」で販売員として勤務した後、愛媛県の⻄予市野村シルク博物館で染織技術を学ぶ。2008年、江戸時代から約200年続く「染司よしおか」に戻り、5代目の父・吉岡幸雄のもと染織の仕事に就く。2019年、父の急逝に伴い6代目に就任。近年ではテレビ番組『情熱大陸』に取り上げられるなど、その活動にさらに注目が集まっている。
Information
第33回葉山芸術祭特別企画展「Timeless Hues−日本の色を継ぐ」
●開催日
2025年4月19日(土)、20日(日)、26日(土)〜29日(火・祝)、5月3日(土・祝)〜6日(火・祝)
●開館時間
11時〜17時
●会場
葉山文化園(神奈川県三浦郡葉山町一色1007)
入場無料
【染色ワークショップ】(ストール染色体験)
4月26日(土) 苅安染め(黄)/27日(日) 茜染め(赤)
午前の部 11時〜13時、午後の部 14時30分〜16時30分
定員人数:各回8名
参加料:16,500円(税込)
問い合わせ
ワークショップ予約 TEL.046-876-3182
*好評につき4月28日(月)11時~13時にもワークショップの追加開催が決まりました(苅安染め(黄))。