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2023.08.15

Q&Aで知る清少納言。『枕草子』を生んだ女性はどんな人?

傑作随筆『枕草子』を生み出した清少納言。彼女は2024年大河ドラマ『光る君へ』では、ファーストサマーウイカさんが演じると発表されました。 平安時代の華やかな宮中において文学に輝きを見出した清少納言。しかしその記録はあまり多く残されていません。現存する数少ないヒントから平安文学の旗手のひとり、清少納言の人生を探ってみましょう。

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Q1.清少納言はいつ生まれた? 父親はだれ?

清少納言(せいしょうなごん)は康保(こうほう)3[966]年ごろに生まれました。
父の清原元輔(きよはらもとすけ)は『後撰和歌集』の編集に従事したほどの当時の代表的歌人のひとりでした。
清原家は地方の任国で行政事務を行う受領層(ずりょうそう)でした。一般的な受領層の家庭は経済的な余裕もあり、漢学や和歌を学ぶ環境にも恵まれ、また、堅苦しい上流階級にはない自由な雰囲気があったとされています。
清少納言はのびのびとした少女時代を送ったのでは、と推測されています。

清少納言の父清原元輔は有名な歌人だった。『宣房本(のぶふさぼん)三十六歌仙絵 清原元輔』 紙本着色 鎌倉時代・14世紀 25.5×42.1㎝ 東京国立博物館 出典:ColBase (https://colbase.nich.go.jp)

Q2.清少納言はどんな少女時代を送った?

清原家には和歌や漢学に精通した人々が多く、清少納言は教養的に豊かな環境で育ったと思われます。
清少納言は16歳ごろ橘則光(たちばなののりみつ)と結婚、翌年には長男則長(のりなが)を出産しました。しかし、夫との生活は長く続きませんでした。とはいえ死別ではなく、離婚。およそ9年間の結婚生活でした。

清少納言は則光のことをお人よしで小心者と感じていたようです。清少納言の歯に衣(きぬ)を着せぬものいいは、若いころからの性分なのかもしれません。

『清少納言』 鳥居清長 大判錦絵 江戸時代・18世紀 東京国立博物館 出典:ColBase (https://colbase.nich.go.jp)

Q3.清少納言は何をした人? 代表作品は?

清少納言といえば、傑作随筆『枕草子(まくらのそうし)』です。『枕草子』は清少納言が宮中に出仕しているときに書き始められました。それは華やかな宮廷生活を清少納言の感性で切り取ったものです。

父元輔は有名な歌人であったのに、清少納言は歌が苦手だったという説があります。清少納言は、和歌でも物語でもない新しいジャンルを築き上げました。『枕草子』は彼女の個性、新鮮な視点、切れ味のよい文体で宮廷の美を書き綴った斬新な作品でした。時間にとらわれない場面性があり、映像的で、連想的に書かれているからです。

「春はあけぼのやうやう白くなりゆく」で知られる『枕草子』第一段の冒頭。平安文学は仮名文字の書とともに広まっていった。『枕草子』 熊谷恒子筆 昭和時代・20世紀 東京国立博物館 出典:ColBase (https://colbase.nich.go.jp)

Q4.清少納言が仕えた人はだれ?

正暦(しょうりゃく)4[993]年、清少納言は、一条天皇の中宮定子(ていし)のもとに仕え始めました。離婚から約2年後、27歳のころです。
おおらかで優しい中宮定子に見守られ、清少納言はのびのびと才能を発揮しました。宮仕えの生活が『枕草子』を産んだのです。

中宮定子の〝サロン〟は華やかな社交の場でした。清少納言はウイットに富んだ会話を楽しみ、当意即妙のやりとりにわくわくし、生まれながらの優れた素質を発揮しました。

清少納言が出仕した期間は意外や短く、定子が没するとともに約10年間で終わりました。

Q5.清少納言の晩年は?

清少納言の晩年は、ほとんど明らかになってはいません。『古事談』には、清少納言は晩年には零落の身になったと書かれています。清少納言の家と呼ばれるものが荒れ果てていて、前を通った人が「才女もここまで落ちたか」と笑った、と。
けれどもそのとき、破れた簾をあげ、恐ろしい顔つきの老婆が言ったそうです。「落ちぶれても駿馬(しゅんめ)の骨には買い手がある。馬鹿にしなさるな」。最後までプライドを捨てなかった清少納言の、闊達な性格がうかがい知れるエピソードです。

『清少納言図』(部分) 土佐光起 絹本着色 江戸時代・17世紀 98.4×37.5㎝ 東京国立博物館 出典:ColBase (https://colbase.nich.go.jp)

※本記事は雑誌『和樂(2007年1月号)』の転載です。
文/濱野千尋

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和樂web編集部

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