「好きで好きでたまらない!」というモノに出会えた人は幸せですよね。
そんな人が好きなモノを語るときのうっとりとした表情、熱をおびた会話は、見ているこちら側までワクワクします。
「こんなモノにハマってるの⁈」と驚愕するものもしばしば。でも、そういう方々のハマっているものを通して、今まで見落としていた「ちょっと気になってたモノ」を見つけられるかもしれません。
そんな「モノ」のトリコになってしまった人たちに出会えるお祭りが「マニアフェスタ」。
今回で3回目を迎える「マニアフェスタ」は、合計120組のマニアたちが集うお祭りです!
本を出版するほど知識を深めた方から、マニアの入口に立った方まで、幅広い意味で「好きという純粋な気持ち」を応援するフェス。
出展者のなかには「人に語るほど詳しくないけれど、好きな気持ちは人一倍強い。好きだからこそ、もっと広めたい!一緒に盛り上がって欲しい!」という、マニア仲間を増やしたいという気持ちで参加される方も。
そんな「マニアフェスタ」で見つけた、気になる出展者の方々をご紹介します!
「マニアフェスタ」の会場はアーツ千代田3331
会場は「アーツ千代田3331」の体育館。エアコンがないという以上に、マニアの皆さんや、来場者の方々の熱気で熱気がすごい…!一瞬入るのを戸惑うくらい、会場外まで興奮の渦が伝わってくるようでした…!
「マニアフェスタ」とは
「マニアとは、見えてる人たち。
庭先のゴムホースだったり、道に落ちてる手袋だったり。
あるのに見えなかった、なにげなく通りすぎていたものに
美しさやおもしろさ、呪いを感じている人たち。
マニアフェスタはそんな視点を、グッズに、本に、イベントに
いろんな方法で表現する祭典です。」
引用:マニアフェスタvol.3開催概要
オフィシャルサイトがこう伝えるように、日常的に「そこにあるもの」に新たな価値を見出した人が集まるお祭りです。
「なぜこんなものにハマるの…?」と思う方もたくさんいると思いますが、それ以上に「コレにおもしろさや愛情を持てるなんてうらやましい…!楽しそう!」と、いつのまにか愛が伝染してくるのがこのフェスタの最大の魅力。
なにより主催者の方々が、出展者さんを「マニアさん」と呼んでいるのが、愛に溢れていてとても素敵だなぁと思いました…!いつかわたしもマニアさんって呼ばれたい…!
お話を聞いているうちに、「わたしもいつか出たくなっちゃいました!」と伝えると、「ぜひ!新しく出展されたい方は大歓迎です!詳しさを競うより、それぞれの『好き』を大切にするのがマニアフェスタの姿勢です。実際に『思い切って出てみたら人生が変わった!』なんて仰る方もいらっしゃいますよ」と「マニアフェスタ」主催者の橘内勇人さん。
では、早速気になるマニアさんたちをご紹介しますね!
いつもの街並みから見つけるマニア
会場はそれぞれ、近しいジャンルごとに分かれています。
普段、わたしは「街歩きエッセイスト」と称して、東京下町界隈の気になる店などを紹介しているのですが、やはり興味の矛先は街に関連するものなんですね。
喫茶店やレトロな看板、ロゴ、街中華などなど、散歩しているだけで目が回るほど忙しいくらい、街には好きなものが溢れています。
でも、まだまだ見落としているものがたくさんありました…!
まずはじめにご登場いただくのは「鉄塔マニア」さん。
自主制作で「鉄塔ファン」という、送電鉄塔を中心とした本を作っています。大学の専攻がエディトリアルデザインで、卒業制作として鉄塔にまつわる本を作ったことから活動が始まったという、この道11年のマニア。
「なぜ好きかわからないから好きなんだと思います」と話す言葉に惹かれて、本を購入しました。ふだんは特に気にしていなかった鉄塔、実は映画など作品にも象徴的に使われていたり、鉄塔を辿って散歩するマニアもいるのだとか。こんな風に街を縦断するのもおもしろそうだな…。
次は「小屋マニア」さん。
お仕事で全国各地を回っている時に見つけた、小屋の魅力にとりつかれたマニアさん。フリーのカメラマンとしてお仕事しつつ、日本各地に佇む小屋を見つけてはシャッターを切っているとのこと。
畑や漁港、住宅街のトタン屋根の小屋など。地域ごとの特性も垣間見られるのがおもしろいそうです。
実はわたしも小屋が好き。先日北海道へ旅行したのですが、小さなかわいい小屋を見つけては興奮していました。でも「小屋が好き」という自覚がなかったので、小屋マニアさんにお会いしたことで潜在的な「好き」を発見するきっかけになりました。
小屋マニアさんのお気に入りの作家さんが作った小屋。
中には柱も立てて、きちんと小屋として成立する形に作られているそうですよ。
次は「野良サインマニア」さん。
駅や街角で見かける、手作り感あふれる張り紙や案内図など。公式なサインシステムだけでは追いつかず、「きっと駅員さんが作ったんだろうな」と知らない駅員さんの手間にまで思いを馳せてしまう、駅の「野良サイン」。
「野良サイン」の有名どころでは、JR新宿駅のガムテープで作られた案内標識などですが、今回野良サインマニアさんがお届けするのは、東京メトロを中心とした野良サインの写真や、レプリカとして原寸大で再現した野良サイン。
他にも街中華やさんの週替わり献立の写真など、味のある手描き文字なども収集。わたしも近所のインド料理屋さんの手描きメニューをいつも密かに楽しみにしています。
「水平と垂直にはすごくこだわっています」。そう話すのは「アート系壁マニア」さん。
フリーカメラマンとして活動するほか、街中にある「魅せる壁」に芸術性を見出して作品を発表しています。
ずらりと並んだ団地やビルの窓や、一見なんてことない壁も、切り取り方次第で見え方が変わってくるおもしろさ。構図を考えて、タイミングを見計らって、アートな瞬間を収めた作品はSNSでも大人気です。
ないモノにはまるマニア
「マニア」というと、実際にあるものを集める人のことを指すと、今まで思っていました。が、「空想地図マニア」さんに出会って意識が変わりました。
子供の頃から地図が好きだったというマニアさん、なんと実在しない架空の街の地図から、商店街の店舗マップ、その街にあるショッピングモールのフロアガイドまで…!
見てください、この細かな地図を…。城下町や様々な街を合わせて、どこかにありそうな街を作り上げています。
架空の街なのに、リアルな地図があることで現実だと錯覚。地図を一緒に見ていた来場者の方と、「あれ、でもこの街は本当にあるわけではない…んですよね?」と何度も確認してしまうほど。
現実にはないモノに魅了されるマニアもいるんだな…と新たな発見が得られました。
食べる順番にハマるマニア
人がご飯を食べる順番を研究するのにハマったのは「食べ方マニア」さん。
「食べ方図説」という本を発行したきっかけは、「コミケに出たかったから」。崎陽軒シウマイ弁当の食べ方を紹介する本は、崎陽軒の社長さんまで登場しており、崎陽軒ファンは必見です。余談ですが、この本を読んだ翌日、崎陽軒のシウマイ弁当を買いに走りました。
モノにハマるマニア
喫茶店や老舗洋食屋さんなどで手に入る紙モノを集めるのは、「ゴミのようでゴミじゃないものマニア」さん。ペーパーナプキンやコースター、包み紙などから、業務用トイレットペーパーの包み紙などマニアックなモノまで。
ふつうの人ならゴミだと捨てがちなものに光を当てるマニアさん。ご自身が作った本は、紙好きにはたまらないコレクションがずらり。
わたしも紙モノが大好きなので、マニアさんのコレクションを見ている時間がとても幸せでした…!
かわいい明太子モチーフ?の衣裳で登場されたのは、明太子のトリコになってしまった「明太子マニア」さん。
明太子商品の食べ比べや、おいしい明太子に出会えるお店のマップや本の作成など、明太子好きな仲間を増やす活動をしています。
YouTubeチャンネルでの発信や、企業とのコラボでも活躍されているとのこと。
子どもの頃から石ころを集め続けるのは「石ころマニア」さん。
現在はご自宅と実家に大量のコレクションがあるそうです。今年の夏には西日暮里のギャラリー「屋上」で展示も開催。デザインが美しいグッズや本にも注目です。
「マニアフェスタ」で、夢中になれるモノを見つけよう
ふだん見落としている「あるモノ」から、まさかの「ないモノ」を作ってハマっている人まで。まだまだ見えていないおもしろいことは、きっと沢山あるんだろうなと感心しました。
ここで紹介しきれなかった出展者の方々も、どの方も熱の深さに圧倒されました…!次回が楽しみになりつつ、出展欲も湧いてきちゃうフェス…!きっと誰もがなにかしらマニア的に好きなものを持っている気がします。それをあえて言葉にしないだけで、誰もがなにかのマニアなのでは?と気づかされるお祭りでした。
「毎日つまらない…」と嘆く前に、皆さんがハマってるものをのぞいてみませんか?
イベント概要
マニアフェスタ vol.3
2019年9月28日(土)〜9月29日(日)
次回の開催「マニアフェスタVol.4」
2020年2月上旬予定