日本文化の入り口マガジン和樂web
5月11日(火)
Love the life you live. Live the life you love. (ボブ・マーリー) 映画「HOKUSAI」公式サイトはこちら
日本文化の入り口マガジン 和樂web
日本文化の入り口マガジン 和樂web
5月11日(火)

Love the life you live. Live the life you love. (ボブ・マーリー) 映画「HOKUSAI」公式サイトはこちら

読み物
Culture
2019.11.22

妖怪と鉢合わせたとらどうする?身を守るために知っておきたい対処法4選

この記事を書いた人

妖怪はいるのだろうか?いや、質問を変えよう。
妖怪を見たことはあるだろうか?
世界各国の研究には、怪異や妖怪現象とみなされるものを科学的に解き明かそうとするアプローチがある。最近では妖怪に会ったなんて話は聞かなくなったけど、だからといって妖怪と出くわさない…とも言いきれない。事実、日本には数多くの妖怪談が残されているのだから。
あなたがもし妖怪と鉢合わせた時。もしかすると役立つ(かもしれない)妖怪撃退法を紹介しよう。

妖怪から身を守る4つの方法

その一 陰陽道系の御守りをもつ

お出かけの時にたとえ財布やケータイを忘れても、必ず持って出かけてほしいものがある。「御守り」だ。
昔から日本では密教系・陰陽道系のお守りがよく効くと信じられてきた。霊験あらたかな護符(御守り)は万が一、妖怪に出会ってしまったときのために常に持ち歩きたい必須アイテムだ。ただ、注意すべき点もある。
御守りは神社仏閣で手に入れられるが、場所によって祀られている神仏は異なる。なので御守りを購入する前に、その神社仏閣がどのようなことに霊験あるのかを、あらかじめ調べておく必要がある。でないとある妖怪には効果的なお札が、べつの妖怪にはぜんぜん効かない…なんてことも起こり得るからだ。
もし御守りを持っていなかった場合は、魔除けの呪文、お経、般若心経を唱えよう。

その二 夜の外出を控える

夜が昼間よりも怖く感じるのは妖怪のせいだけではないけど、それでもやっぱり遅い時間帯の外出は控えたいところ。
夜の時間帯は、人間の範囲を超えた予見不可能の場所に変貌する。とても危険だ。そのうえ、壁も扉もない外の空間は、体の表面(つまり皮膚)が妖怪世界との唯一の境界になる。これではあまりにも心もとない。
それでも外へ出かけなくてはならない場合には、御守りを忘れずに身につけること。御守りを忘れたら、呪文を唱えること。

家の中にいる時には、妖怪が侵入してこないように幾重もの呪術的な囲いを設定するのがおすすめ。
たとえば、外と内を分割する門や戸口に魔除けのお札や注連(しめ)を設置するのがいいだろう。室内の扉、各部屋の入り口にも置いておけば、より妖怪との境界線を分かつことが可能になる。

その三 妖怪の現れる時期をさける

妖怪から身を守るなら、時間だけでなく時期にも注意したい。妖怪がもっとも現れる時期は1年に2度ある。
一つは、新しい年の霊魂がやってくる年の終わりから新年にかけての時期。
1年の最後の日、大晦日は「お正月さま」が来訪してくる時期であると同時に、人間世界を徘徊する妖怪たちを追放する時期でもある。
そして二つ目が、6月の終わりから8月の中旬まで。この時期にはお盆の行事があるため妖怪だけでなく、幽霊も現れやすいので注意したい。

その四 とにかく妖怪に会わないようにする

怪異や妖怪に遭遇したときどうすれば難を免れるか。
答えは、妖怪に遭わないようにすること。もう、これにつきる。
妖怪たちはそもそも見ることのできない、あるいはむしろ見てはならないものたちだ。かつてはそれを見ただけで死んでしまうこともあったというから恐ろしい。
よって、できるだけ夜間の外出は慎むこと。山や川辺、寺、墓場、森だとかいかにも妖怪がいそうだなと思う場所には決して近づかないこと。
見落としがちだが、辻(道の交差した場所)にも気をつけてほしい。
辻は現世と来世の境界線になっていると信じられており、「辻神」という災いをもたらす妖怪がいるのだ。

人々の暮らしが妖怪を生みだした

家のなかで、真夜中にどこからともなくピシッという音が聞こえたらそれは「やなり」の仕業。眠れない夜、薄暗い天井をじっと見ているとシミに気付くかもしれない。これは「天井なめ」が舐めた跡だ。風呂場には風呂についた垢を食べる「あかなめ」がいる。夜道には人を惑わす「大入道」。自分と同じ下駄の音をたててついてくる「べとべとさん」。

妖怪たちの現れる場所、その特性は、かつて日本の農村や町で見られた暮らしと深い関わりがある。

 『網剪(あみきり)』カニまたはサソリのようなはさみを持つ妖怪で、漁村の魚網を切り裂くなどの伝承がある。(国立国会図書館デジタルコレクションより 「網剪(あみきり)」百鬼夜行 3巻拾遺3巻 鳥山石燕 画)

『かまいたち』つむじ風に乗って現われ人を切りつける妖怪。(国立国会図書館デジタルコレクションより 「かまいたち」百鬼夜行 3巻拾遺3巻 鳥山石燕 画)

『猫また』人家で飼われていた猫が年月を重ねて化けたとされるもの。人間の姿に化けることもある。(国立国会図書館デジタルコレクションより 「猫また」百鬼夜行 3巻拾遺3巻 鳥山石燕 画)

おそらく「天井なめ」は町で生まれた妖怪だろう。この妖怪は天井がなければ出現できないのだから。「べとべと」さんは、まだ街灯の少ない時代、人々が恐る恐る背後を気にしながら暗い道を歩いていた時代に現れた妖怪だろうと想像できる。

妖怪は都市の中にも…

村が町になり、都市になった現代。
高度成長期以降、世の中が明るく便利になるにつれて、かつての妖怪たちの住処は急速に消えていった。しかし、彼らは滅びていない。活動の場を、農村から都市のうわさ話の世界に移動しただけだ。
現代人は光の世界に住むことを好むけれど、その一方で路地裏の暗さが引き立ってもいる。そうした都会の片隅が、もしかすると現代ならではの新参者の妖怪を生みだしているかもしれない。妖怪を「迷信」として片づけてしまってよいのだろうか?
どうやら、まだまだ夜道には注意したほうがよさそうだ。

書いた人

文筆家。12歳で海外へ単身バレエ留学。University of Otagoで哲学を学び、帰国。筑波大学人文学類卒。在学中からライターをはじめ、アートや本についてのコラムを執筆する。舞踊や演劇などすべての視覚的表現を愛し、古今東西の枯れた「物語」を集める古書蒐集家でもある。古本を漁り、劇場へ行き、その間に原稿を書く。古いものばかり追いかけているせいでいつも世間から取り残されている。