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Gourmet
2020.12.28

ヒエ~お雑煮から餡子ドバ~!香川県「あん餅雑煮」の意外な誕生秘話とは?

この記事を書いた人

キワモノお雑煮として紹介されることの多い讃岐の「白みそあん餅雑煮」。白みそは良しとしてなぜに「あん餅」? 美味いのか?本当に美味いのか?
皆さんの疑問はごもっともです。
そこで今回はそもそもなぜに香川県では「あん餅雑煮」を食べるのか。また果たして味はどうなのか?また実際作ってみたいと考えるチャレンジャーのためにレシピも公開いたします。スイーツ好き、雑煮好き、餅好き、モノ好きの皆様はぜひチャレンジしてみてください。

お殿様にはナイショ! あん餅雑煮誕生の秘話

讃岐のお雑煮は澄んだうどんの出汁とは違い白みそ仕立てです。保元の乱(1156年)に敗れ、讃岐に流された悲運の帝・崇徳上皇のもとへ、帝を慕って京から讃岐へ行き来する人々がいました。一説によればその人たちから京都の白みそ文化が伝えられたともいわれています。ではなぜ雅な白みそにインパクトのある「あん餅」を入れることになったのでしょう。
江戸時代「讃岐国」と呼ばれた香川県では塩・砂糖・木綿が特産品でした。これらは「讃岐三白」と呼ばれ非常に珍重されていたといいます。中でも「砂糖」は幕府への献上品とされ、庶民の口には滅多に入らない貴重品だったそうです。しかし美味しい物を食べたい気持ちは今も昔も同じこと。どうにかして甘い砂糖を食べたい……。
そこで皆が頭を寄せ合って考えました。「せめて正月ぐらいは甘い砂糖を口にしたい。でも、食べているところがお殿様の目に触れたらきっと叱られる。それならば餡に砂糖を入れて餅に包んでしまって雑煮に入れて食べたらバレないのでは」。そんな農民の想いから「あん餅雑煮」が誕生したとも言われています。
ナイス・アイデア!

あん餅でなければ雑煮にあらず?

「あんもち雑煮」が脚光を浴び出したのはここ10数年。TVや雑誌の雑煮特集などで変わり種の横綱のように扱われたことをきっかけに「え?これそんなに珍しかったの?」と驚いた香川県民も多かったそう。県外から嫁いできた奥さんがすまし汁の雑煮を作ったところ「あんもちでなければ、雑煮ではない! 」とちゃぶ台をひっくり返されたなどという話もまことしやかに伝わっています。
しかし現在では「あん餅雑煮」を食べる家庭もどんどん少なくなってきているのが現状。あん餅でなくても甘いものは巷に溢れていますもんね。しかし年配の人の多くは年に1度の楽しみである「あん餅雑煮」を食べないと正月が来た気がしないといいます。そのため県内のスーパーでは年末になると「あん餅」と「餅」2種類の餅が並べられているのがごくごく普通の風景です。

いざ実食~~~~~~~!!

県内で「あん餅雑煮」が食べられるお店はいくつかありますが、今回は老舗の「ヱビスヤ」さんにおじゃましました。

毎年11~3月になると登場する「あん餅雑煮」(650円)。地元伊吹島で捕れたイリコを使って丁寧にとった出汁に、地元の金時ニンジンをはじめ大根、かまぼこ具を加えて煮ます。具材が柔らかく煮えたらあん餅を加えて更に煮ます。

「お餅は焼きません。焼くと焦げが入って美味しくないので」と店主の福井博文さんと奥様の美恵子さん。

こだわりは出汁を取るイリコの頭と腹を丁寧に除いておくことと、仕上げに吉野川産の上質な青のりを加えます。お餅はお隣の和菓子店「ヱビスヤ」でその日に作られた出来立ての「あん餅」を使用しています。
お店には一度は食べてみたいという観光客をはじめ、出張中のビジネスマンなども多く訪れます。中には「若いお嫁さんが作るのを嫌がるから」とコッソリ食べにくる地元のお年寄りも少なくないのだとか。
運ばれてきたお椀は一見上品な白みそのお雑煮です。一口汁を飲むと優しい白みその甘みと香り高いイリコの出汁がなんとも美味しい……。

そしていよいよ「あん餅」を。出た~~~!アンコ出た~~!

ビジュアルに気後れすることなくイザ実食!
ん?アレ?ふんわり甘じょっぱくて美味しい……。お餅も柔らかくて……。
「そうなんですよ、皆さん強烈なインパクトとかサプライズを期待して食べてみるものの、アラ? 意外と美味しいね、って」と恵美子さん。
地元の白みそは他の地域のものと違いアッサリしていることと、イリコの出汁が香ばしくコクのあることから、塩味も感じる上品な甘さに仕上がるのだそう。
お代わりする人や、最初から「あん餅」2個、3個入りにとオーダーする常連さんもいるのだとか。皆さんも香川にいらしたときにはぜひうどんだけでなく「ヱビスヤ」さんの「あん餅雑煮」にチャレンジしてみてください。

秘伝のレシピでおうち「あん餅雑煮」にチャレンジ

実際に作って食べてみたい!というチャレンジャーのためにレシピを公開してもらいました。できれば伊吹島産のイリコ、讃岐の白みそなどをお取り寄せしていただくとより地元の味に近いものに仕上がります。

あん餅雑煮レシピ(4人分)

【材料】
あん餅:4~8個(お好みで)
大根:50~100g
金時ニンジン:40~80g
いりこだし:600g
青のり少々、その他かまぼこなどを入れてもOK

【作り方】
1)大根、ニンジンは皮をむき輪切りに(何事も丸く収まるように輪切り)
2)あん餅以外の具をイリコ出汁で煮る
※イリコだしはイリコの頭と腹を取って5~6分煮るか、前夜から水につけておいたもの
3)大根とニンジンが煮えたらあん餅を入れ柔らかくなるまで煮る
4)白みそを溶き込んで煮たら出来上がり。好みで青のり、三つ葉、かつお節などを散らしてもいいですね。

どうです?スイーツ好きの皆さんも、餅好きの皆さんもぜひレシピを参考にチャレンジしてみませんか?「あん餅雑煮」を頂きながら讃岐のお正月気分を味わってみてくださいね。

甘味処 ヱビスヤ

香川県高松市片原町2-2
087-821-0601
営業時間:9:00~19:00(予約推奨)
定休日:水曜(祝日の場合営業)
席数:30席
ヱビスヤ

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