受け継がれる哲学 270年を貫くメゾンの精神
ヴァシュロン・コンスタンタンの歴史は、1755年、創業者ジャン=マルク・ヴァシュロンが見習い職人を迎え入れ、契約を結んだことに始まります。この出来事は、時計製造に対する飽くなき探求心と、職人の手仕事に対する深い尊重の念を表す、象徴的なものでした。
本展では、メゾンの起源ともなったジャン=マルク・ヴァシュロンの最初の見習いとの契約書の複製をはじめ、エナメル、彫金、ジェムッティング、ギヨシェ装飾など、メゾンが得意とする習熟した伝統技術をお楽しみいただくことができます。
1819年、創業者のひとりであるフランソワ・コンスタンタンは、三代目ジャック=バルテルミー・ヴァシュロンに宛てて「できる限り最善を尽くす、そう試みることは少なくとも可能である」という言葉を残しました。このメッセージは、今日のメゾンのモットーであり、この言葉の意義をヴァシュロン・コンスタンタンの歴史と作品を通してあらためて実感することができるでしょう。
メゾンを支える、精緻なクラフツマンシップ
時計製造の真価は、目に見えない細部にこそ宿ります。ヴァシュロン・コンスタンタンのタイムピースには、エナメル、彫金、ジェムセッティング、ギヨシェ装飾といった伝統技術が結集されています。いずれも長年にわたり受け継がれ、熟練の職人によって磨き上げられてきました。
こうした技法を間近で鑑賞することができるのも本展の醍醐味。熟練の職人による手仕事、そしてその繊細な表現が「時」という概念を映し出す美しさに、これほど間近で触れられる機会はそう多くはありません。
技術の極致 グランド・コンプリケーションに見る現代の挑戦
ヴァシュロン・コンスタンタンが製作した中で最も複雑なタイムピースのひとつ、「レ・キャビノティエ・ザ・バークレー・グランドコンプリケーション」に関する展示も、見どころのひとつです。
2024年に発表されたこのユニークピースは、11年という年月を費やして開発製造されました。世界初の中国暦パーペチュアルカレンダーを含む63の複雑機能を搭載し、総計2877個の部品で構成されています。
展示では、通常は目にすることができない精密な内部構造を可視化する特別なディスプレイや、各機能を図示した専用パネルも用意され、ヴァシュロン・コンスタンタンの技術力の真髄を体感することができます。
世界で最も複雑な時計! 2200年まで正確に中国暦を表示する、ヴァシュロン・コンスタンタン「レ・キャビノティエ・ザ・バークレー・グランドコンプリケーション」
時と天空をつなぐ “The Quest(探求)”というテーマ
展示の終盤には、何世紀にも渡る天文学と時計製造のつながりをテーマにした幻想的な空間が広がります。天の川と遥かなる空の荘厳な眺めのもとで、来場者は、自身の探求について思いを巡らすこととなるでしょう。技術や歴史を超えた時間そのものへの探求を表現したこの空間では、ヴァシュロン・コンスタンタンが掲げるテーマ「The Quest(探求)」が、より深い次元で心に響きます。
特別展示「THE STANDBY」
展覧会に隣接するスペース「StandBy」では、陶芸家・茶人の山田翔太氏による特別展示が、4月26日から5月3日まで開催されます。
美への探求、自分自身への探求を促す山田氏の作品や活動は、伝統と遺産を大切にしながら挑戦を忘れないメゾンの姿勢とも重なります。メゾンの今年のテーマである「The Quest (探求)」に共鳴し、見るものを魅了する山田氏の作品をお楽しみください。
The Quest(探求): 270年にわたる卓越性への追求 概要
会期:2025年4月26日(土)〜 2026年6月23日(火)
会場:東京都渋谷区神宮前5-11-1
営業時間:12:00~18:30(最終入場 18:00)
定休日:水曜日
入場料:無料(予約優先・来場制限あり)
お問い合わせ:カスタマーセンター 0120-63-1755
※展示内容は予告なしに変更する場合がございます。
来場予約ページ
撮影/Kunihisa Kobayashi