大胆な刷新で流線美を極めた「タンク アメリカン」
「タンク」が誕生したのは1917年。長方形を思わせるフォルムに、2本の平行する縦枠がすらりとしたシルエットを描き、ケースとブレスレットが一体となった造形を生み出しました。
そのデザインの基となったのが、幾何学性と技術性を追求したルイ・カルティエの着想です。フォルムそのものを生み出す独創的なアプローチは、やがてカルティエのウォッチメイキングを象徴する考え方へと育っていきました。
1921年には、手首の曲線に沿うよう長方形を湾曲させた「タンク サントレ」が誕生。無駄のない左右対称のシルエットは、のちの「タンク アメリカン」を予見させるものでした。そして1988年、デザインを大胆に刷新し、ラインをいっそう流線的に磨き上げた「タンク アメリカン」が登場しました。

宙に浮かぶようなムーブメント。「タンク アメリカン」スケルトンの構造美
「タンク アメリカン」スケルトンには、1988 MC手巻きスケルトンムーブメントが初めて搭載されました。「1988」の名は「タンク アメリカン」の誕生年に由来し、2008年に制作されると同時に特許を取得。このムーブメントは、カルティエを象徴する存在となっています。
特徴的なのは、ローマ数字を象ったブリッジです。湾曲したケースに呼応するようカーブを描き、大きく開かれたスケルトン構造とともに、ムーブメントが空中に浮かんでいるような透明感を生み出しています。建築的なラインが際立ち、アールデコの幾何学美も感じさせます。

プラチナケースには、ポリッシュ仕上げとサテン仕上げを交互に施してコントラストを演出。分目盛りやカルティエ ロゴには、エングレービングとブラックエナメルのコーティングが施されています。モデルはプラチナとピンクゴールドの2種。ストラップは、プラチナにボルドー、ピンクゴールドにダークブルーのアリゲーターを合わせています。
デザインと制作には、カルティエのクリエイションスタジオとウォッチ マニュファクチュールの専門家たちが携わり、絶え間ない対話を通して実現されました。
深いボルドーと建築的なライン。「タンク アメリカン」アールデコ
もうひとつの新作「タンク アメリカン」アールデコは、左右対称の構成と奥行きを感じさせる建築的なラインが印象的。アールデコのデザインに着想を得て、洗練された個性と、細部にまでこだわったエレガンスにダンディズムの精神を重ねています。
その美意識を映すのが、深いボルドーのダイアルです。縦方向へ伸びるダイナミックなグリッドには、消失点を際立たせるようグラデーションを施しています。明るい部分にはサンレイ、暗い部分にはオパライン、その中間にはサテン仕上げを採用。異なる仕上げを重ねることで色の濃淡にニュアンスとリズムを与え、躍動感のある表情に仕上げています。
さらに、ニッケル合金によるガルバナイズド加工の後に、赤みを帯びたラッカーを塗布。二段階の着色によって、ダイアルに独特の温かみと豊かな色調が生まれています。

八角形のリューズを飾るファセットカットのルビーと、ボルドーのアリゲーターストラップも同系色で調和。色彩のつながりが、時計全体のエレガンスを際立たせています。
制作には、デザイナーに加えてラッカー職人や型押し職人も参加。内部には、カルティエがパリのラペ通り13番地にブティックを構えた年にちなんで名づけられた、自動巻きメカニカルムーブメント1899 MCを搭載しています。
ダイヤモンドとカラーストーンが魅せる。「タンク」の新たな表現
このほか、「タンク」からは「タンク ルイ カルティエ」と「タンク」ジュエリー ウォッチにも新作が登場しています。
「タンク ルイ カルティエ」は、創業家三代目当主ルイ・カルティエが自ら愛用したモデルからインスパイアされた時計です。新作ではブランカードにスノーセッティングでダイヤモンドを施し、メタル部分がほとんど見えないほど精緻に石を配置。そのセッティングだけで3時間以上を要するといいます。

1990年代に登場した、アール・デコから着想を得た「タンク」のジュエリーウォッチ。その流れを受け継ぐ新作では、チューブやカボションの幾何学的な組み合わせと、カラーストーンとメタル仕上げのコントラストが印象的です。ハードストーンはひとつずつ選別し、手作業でカットされています。

機構そのものを美しさへと変えるスケルトンと、幾何学と色彩で魅せるアールデコ。表現は異なっていても、その根底にあるのは「タンク」ならではの端正な造形です。100年以上受け継がれてきたフォルムに、新たな解釈が重なり、またひとつ違う表情を見せています。
カルティエ公式サイト
https://www.cartier.com/ja-jp
トップ画像/Eduart Sanchez Ribot(C)CARTIER

