Culture

東京と大阪でこんなに違うんだ!寿司、麺、弁当の老舗を比べてみました!

江戸と上方の文化の違いが今も色濃く残っています

江戸と上方の老舗の違いを食文化から読み解いてみましょう。今回は寿司、麺類、弁当を東西で比べてみました!

寿司

東は…
創業一八七九年 吉野鮨本店

かつて魚河岸のあった日本橋で、屋台寿司から始まった「吉野鮨」。あらかじめネタは煮たり酢で締めるなど “仕事” を施し、客を迎える昔ながらの江戸前寿司屋です。ここはトロ握り発祥の店としても知られる店。冷蔵庫のない時代に脂分の多いトロは扱いづらく、長らく鮪は赤みが主流でした。「大正7、8年ごろに赤みが高騰して買えなくなって。トロの部分を握ったら人気が出たそうです。思い切った行動に出た2代目のことを思うと、老舗は守る一方でもだめと思っています」と5代目・吉野正敏さんは言いますが、この時代に江戸さながらの寿司屋のあり方を保ち続ける姿勢は、かえって革新的に映ります。「寿司は握ることで酢飯とネタが熟れて味わいが増す」と握りにこだわり、先々代は軍艦巻を出さなかったとの逸話も。

吉野鮨本店(よしのすしほんてん)
住所/東京都中央区日本橋3−8−11 地図
TEL/03-3274-3001
営業時間/11時〜14時、16時半〜21時半 土曜は昼のみ営業
定休日/日曜、祝日

西は…
創業一八四一年 吉野鯗

鯖(さば)や鯵(あじ)といった大衆魚を用い、家庭料理でもあった大阪寿司に「寿司屋にしかない逸話を」と3代目が明治初期に考案した箱寿司。「一枚」の単位で数えられる箱は内のり二寸二分。昆布だしを含ませた寿司飯に甘辛く炊いた椎茸を挟み、上に小鯛、焼穴子、厚焼き玉子などをのせて押し付けます。吉野鯗のある船場は、かつては大店(おおだな)の商家が並び、行事や節句に合わせてハレの食事がふるまわれていました。華やかで贅沢な箱寿司は船場の旦那衆に人気を集め、大阪中の寿司屋に広がったとか。ところが今、材料の仕込みからすべてを自分の店でつくっているのはここぐらい。しかも、一枚の箱からできるのはたったの6切です。

吉野鯗(よしのすし)
住所/大阪府大阪市中央区淡路町3-4-14 地図
TEL/06-6231-7181
営業時間/10時〜19時
定休日/土日祝日

麺類

東は…
創業一七八九年 更科堀井麻布本店

創業時から“お殿様”の御用達という出発点をもつ「更科堀井」。蕎麦の実の芯の部分だけを使う純白の蕎麦「さらしな」も、元々は献上品としてつくられていたもの。奥ゆかしい甘みと蕎麦の香り、のど越しのよさは確かに殿様好み。江戸っ子が見えを張っても食べたがったのも理解できます。「名物があるだけでも店は続きません」と9代目・堀井良教さん。「店の柱となる蕎麦は4つ。もりそば、田舎風の太打ちそば、さらしな、そしてさらしなに旬なものを練り込んだ季節の変わりそば。この4種類がそろえば、蕎麦好きなら毎日でも来てくれますからね」東京の老舗蕎麦店には珍しく、この店では蕎麦の量もたっぷり。

更科堀井麻布本店
(さらしなほりい あざぶほんてん)
住所/東京都港区元麻布3-11-4 地図
TEL/03-3403-3401
営業時間/11時半〜20時半
定休日/年中無休

西は…
創業一八九三年 うさみ亭マツバヤ

300年以上もの歴史をもつ商人街の中心地、船場。伝統的な商家は主の家族に加え、番頭や丁稚(でっち)などの使用人が寝食を共にしていました。そんな大所帯の商家の暮らしを食で支えたひとつがこの店。大阪庶民の味として有名なきつねうどんは明治の中ごろ、この店がその発祥。「なんでも手っとり早く食べなあかん」のが商人の街、大阪の伝統で、きつねうどんも1杯でお腹を満たすために生まれたのだとか。3日かけて炊かれるお揚げ、特殊なかび付けをした屋久島の枯節(かれぶし)と1年寝かせた利尻の昆布でとるおだし、自家製手もみうどん、とこだわりの材料がひとつの鉢に入って、この時代に1杯580円。味に厳しい船場で繁盛を続けてきた老舗の矜持は値段にも表れます。

うさみ亭マツバヤ
(うさみていまつばや)
住所/大阪府大阪市中央区南船場3-8-1 地図
TEL/06-6251-3339
営業時間/11時〜19時,金土は11時〜19時半
定休日/日曜祝日

弁当

東は…
創業一八五〇年 日本橋弁松総本店

「弁松」の前身は日本橋魚河岸の食事処。3代目が折詰弁当専門店を開業。写真の折詰弁当「並六」は「きんとんはデザート代わり。弁当向きのおかずとして完成されていて、手の入れる余地がない」と8代目樋口純一さんが胸を張る看板商品。おかずは砂糖と醤油を使った甘辛の味付け。味が濃い理由には、日もちのほか、砂糖が高価な時代に見えを張った江戸っ子気質からとか、江戸は肉体労働者が多かったからともいわれます。店の味を守るために、毎朝樋口さん自らも工場に立ちます。弁当はすべて社員の手づくり、手詰めで、なんと玉子焼を焼き始めるのは午前1時から。この弁当ひとつに、江戸っ子職人の見栄とやせ我慢が詰まっているから、おいしさもまたひとしお。

日本橋弁松総本店
(にほんばしべんまつ そうほんてん)
住所/東京都中央区日本橋室町1-10-7 地図
TEL/03-3279-2361
営業時間/9時半〜15時,土日は9時半〜12時半
定休日/年中無休

西は…
創業一九〇二年 大黒

「食い味をつける」とは大阪を代表する調理法。素材の持ち味を活かし、それを引き出すために味を施し、複合のうま味を生みます。「大黒」はそんな“浪速(なにわ)の食い味”が味わえるかやくご飯の専門店。店のある道頓堀は芝居小屋の建つ街として歴史が長く、池波正太郎も役者に連れられて店を訪れ、この味の虜になったひとりです。「熱々もいいけど、冷めるとまた違うおいしさがあるでしょ?」と2代目の妻・木田節子さん。杉折に詰められたご飯はおだしの香りが引き立ちます。お土産のかやくご飯は劇場の陣中見舞いにも重宝。

大黒(だいこく)
住所/大阪府大阪市中央区道頓堀2-2-7 地図
TEL/06-6211-1101
営業時間/11時半〜15時,17時〜20時
定休日/日曜月曜祝日

-2014年和樂11月号より-

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