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瀬戸内海の番人、村上海賊の足跡をたどって『神の島』大三島へ

夏という季節に大人も子供も心が浮き立つのは、全世界共通。澄んだ海、乾いた風がひときわ心地よく感じるころ、時間に余裕があるのなら、本島のその先にある離島を目ざしてみませんか?今月のINTOJAPANでは、『佐渡』『対馬』『大三島』を3週にわたってご紹介します。

日本総鎮守の大山祇神社には海戦ロマンの歴史がありました

①夕刻の一瞬、海面が小さな風に揺れて輝く景色は、ここが『神の島』だと告げているよう。

大三島は、瀬戸内海式の穏やかな気候のようなのんびりとした島ですが、古くは『御島』と呼ばれ、日本総鎮守の大山祇神社がおかれた『神の島』。また、国宝8点、重要文化財472点をはじめとする宝物を有する『国宝の島』でもあります。

山の斜面がみかんやレモン色に染まり、収穫や花の時季には島中が甘酸っぱい香りで満たされる柑橘の楽園、大三島。瀬戸内海中部、広島県西部の安芸から愛媛県伊予国(いよのくに)の間に浮かぶ芸予諸島のひとつです。

尾道から今治までの6島を橋でつないだしまなみ海道が開通して以来、サイクリストをはじめとする旅行者も急増。休日ともなれば展望台や道の駅などはにぎわいますが、ふだんはとてものどかな島です。

スクリーンショット 2017-08-04 13.32.08大山祇神社の宝物2点。左は壇ノ浦合戦の勝利のお礼として奉納された『国宝 紺絲威鎧・兜・大袖付』。右は『重要文化財 大山祇神社古図(大山祇神社・三島家文書の内)』。

のんびりした時間が流れる大三島ですが、13の集落のうちのひとつ、宮浦にあるのが日本総鎮守の大山祇(おおやまづみ)神社。日本民族の祖神とされる大山積神を御祭神とする、全国1万を超す大山積神を祀る神社の総本社です。大山積神は、山神、海神、渡航神であり、水軍の守護神としても篤く信仰されてきました。そんな神の坐すここは、まさに『神の島』だったのです。

160512 0799-min大山積神を大三島に導いた小千命の手植えと伝わる御神木、樹齢2600年の大楠。

海から来訪者を迎え入れてきた大三島は、大山祇神社への入口も港でした。橋が架かった現在も、宮浦港の前には一の鳥居が残されています。港から続く参道を抜け、二の鳥居と総門をくぐるとそこは静かな神域。古代より船材に利用されてきたのは檜や楠ですが、大三島も楠の島。樹齢2600年という御神木の大楠をはじめ、境内の楠がつくる日陰は、古代も今も変わらず涼を与えてくれます。拝殿に参拝したら、数々の末社や宝物館へも。静かな境内を歩くと、ここが『神の島』とされてきたことがわかる気がします。

160512 1165四国からはしまなみ海道最初の島となる大島の、カレイ山公園展望台から東側を望む景色。

瀬戸内海は、古くから京都や畿内と、九州や朝鮮半島を結ぶ海運の要衝として発展。中世には西日本の物流の要となりました。南北朝時代から因島や弓削島を中心に瀬戸内の制海権をにぎっていた村上一族は、室町幕府や諸大名から命じられて芸予諸島海域内に関所を設け、海上を警固。積み荷の1割程度を通行料として徴収し、通行手形として村上の旗を掲げた船舶には航海の安全を保障しました。船体が大型化し太平洋を運航する船もありましたが、土佐沖の荒波や嵐で沈没することも。船主や荷主は、通行料を払ってでも安全な瀬戸内を航海するルートを選択します。こうして海賊と呼ばれた村上水軍は、強奪や乗っ取りという荒っぽい方法ではなく、知力によって繁栄したのです。

160512 0827大山祇神社の神紋、隅切折敷に縮三字。

西日本の動向を左右するほどの力と富を得た村上水軍の総大将・村上武吉は、天文24(1555)年、3500の毛利元就勢と2万の陶晴賢軍による厳島合戦に参加。定石をくつがえす隙のない戦法で毛利方に圧勝をもたらし、『海の大名』と呼ばれました。

そんな海戦ロマンも秘めた大三島や芸予の島々。2016年4月には『「日本最大の海賊」の本拠地:芸予諸島―よみがえる村上海賊「Murakami KAIZOKU」』の記憶―」として日本遺産に認定され、この『神の島』にも新たな称号が加わりました。

大三島をもっと楽しむ旅案内!

【泊まる】

旅館 茶梅

スクリーンショット 2017-08-04 13.58.53
江戸末期から参拝客に大三島の海の幸を提供してきた『茶梅』。明治の初めに旅館となってからも、瀬戸内一の急流来島海峡の天然ものや地魚にこだわる。刺身から炊き込みご飯まで、魚づくしのご馳走がうれしい。

webサイト:旅館 茶梅

【訪れる】

今治市伊東豊雄建築ミュージアム

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現代日本の建築家を代表するひとり、伊東豊雄氏による日本初の建築美術館。大崎上島を望む南西部の海岸線に立ち、それ自体が作品でもある建物、海、島との景観が素晴しい。夕景の絶景スポットでもある。

webサイト:今治市伊東豊雄建築ミュージアム

亀老山(きろうざん)展望公園

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しまなみ海道が通る6島のうち四国側の大島にある標高307.8mの展望公園。左手に世界初の3連吊り橋である来島海峡大橋を、右手に大三島を望む夕景が圧巻。

入日の滝

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神の山である鷲ケ頭山南麓にある落差15mの滝。名前どおり夕日を浴びて輝くさまは幻想的だが、水の落ち口の向こうから朝日が差し込む午前中の景色も涼やか。

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