葛飾北斎の傑作快作を、世界の巨匠たちと比較検証!今回はミュシャの作品をご紹介。パリで生まれた世紀末モダンと北斎の共通点とは?
葛飾北斎 VS ミュシャ
19世紀末パリを席巻した芸術運動アールヌーヴォー。中でも、優美な女性のポスターで人気を博したのがミュシャでした。3次元の対象をあえて平面的に描くことでデザイン性を強調した画風には、浮世絵の影響が表れています。そんなミュシャの石版画と北斎の花鳥版画をくらべてみましょう。背景に花や植物をちりばめた豊かな装飾性、優美なS字ポーズの主役とそれを際立たせるグラフィカルな構図、曲線の多用。どちらにも、エレガントのヒミツが詰まっています。
アルフォンス・ミュシャ「連作」
©akg-images/PPS通信社 舞台女優サラ・ベルナールの石版画ポスターで知られる、画家でグラフィックデザイナーのミュシャ。絵画だけでなく衣装やジュエリーのデザインも手がけた。本作はインテリアとして飾るためにつくられた4枚組み装飾パネルの1枚。
葛飾北斎「桜花に鷹図」
長大判一枚 /すみだ北斎美術館 止まり木の鷹を背面からとらえ、美しい肩羽や尾羽を強調した花鳥版画。色と構図に関して人並みはずれたセンスを持つ北斎の、ダイナミズムがよくわかる1枚だ。首を反り返らせた姿や満開の桜には、ミュシャにも負けない江戸っ子のエレガンスが感じられる。