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2018.04.19

真如苑が所蔵する運慶の仏像に出合える!「半蔵門ミュージアム」がついにオープン

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東京・千代田区に、真如苑が所蔵する仏像や仏教美術を一般公開する「半蔵門ミュージアム」が設立され、2018年4月19日にオープンしました。運慶作と推定される「大日如来坐像」などを、常時展示で見ることができます!

半蔵門ミュージアム

建築設計は、奈良国立博物館の「なら仏像館」展示室など、宗教建築を多く手がける栗生総合計画事務所の栗生明氏。

地下1階の展示室や1階ギャラリーをはじめ、2階には多目的に使えるマルチルーム、3階には、「大日如来坐像と運慶 祈りと美、そしてかたち」を上映するシアターと、仏教美術などに関する講演会を行うためのホールなどが備わっています。

半蔵門ミュージアム3階シアタールーム

2009年から真如苑が所蔵する「大日如来坐像」は、2017年秋に東京国立博物館で開催された、「運慶展」にも出展されていました。文献に出てこないことから、運慶作とは認定されていませんが、作風や納入品の特色を備えており、健久4年頃に運慶が製作した作品であると、大方の専門家が認めているそうです。

半蔵門ミュージアム「大日如来坐像」(重要文化財)木造 漆箔、玉眼 像高61.6cm 1193(建久4)年か 真如苑蔵

半蔵門ミュージアムでは、そんな「大日如来坐像」を常時展示。運慶彫刻を研究し続ける館長の水野敬三郎氏は、「東京で唯一、運慶の作品に常に無料で触れることのできる施設。できるだけ多くの方に、運慶彫刻に関心を持っていただきたい」と語っています。

現在、2階マルチルームでは、「大日如来坐像」のX線写真や、他の運慶作品と比較できるような写真パネルを展示。像の中に、どんな納入品がどのように入れられているのかなどを、見ていくことができます。

半蔵門ミュージアム

また、「大日如来坐像」を配置する地下1階の展示室は、少し暗めの照明で御堂のような空間をイメージしているそう。「静かな落ち着きのある空間の中で、色々な仏教の絵画や彫刻、仏様と向き合っていただきたいという思いを込めました」と、真如苑社会交流部の平島進史氏。

半蔵門ミュージアム御堂がイメージされた展示室

展示室は3つの空間に分けられています。1つ目は、2世紀から3世紀頃につくられた仏殿図などを展示する、エリア。2つ目は、「大日如来坐像」を中心とし、左右に醍醐寺旧蔵の「不動明王坐像」と「両界曼荼羅」を展示する<祈りの世界>。

半蔵門ミュージアム<ガンダーラの仏教美術>エリア

そして3つ目は、定期的に展示替えを行う特集展示エリアです。特集展示エリアでは、7月29日まで「神護寺経と密教美術」というテーマでの展示を開催しており、不動明王や愛染明王の仏画や、金泥の経文が鮮やかで美しい平安時代の装飾経などを紹介しています。

半蔵門ミュージアム「紺紙金字一切経(神護寺経)のうち仏説意経」(部分)1巻 紺紙 金銀泥 平安時代(12世紀)真如苑蔵

また、5月27日には、開館記念特別講演会を開催。「半蔵門ミュージアムの大日如来と不動明王」というテーマで、館長の水野氏が講師を務めます。

運慶彫刻をはじめ、仏教美術に興味のある方にぜひオススメのミュージアム。地下鉄半蔵門線半蔵門駅から直通、無料で観覧ができるので、お気軽に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

半蔵門ミュージアム 公式サイト