子連れで美術鑑賞初体験。小さな子供や赤ちゃんでも楽しめるおすすめ美術館3選

子連れで美術鑑賞初体験。小さな子供や赤ちゃんでも楽しめるおすすめ美術館3選

目次

小さな子供連れでは少し行きづらい場所というイメージのある美術館ですが、実は赤ちゃんから大人まで誰もが利用できる教育の場として運営されていることをご存知でしょうか。

実際に子連れを歓迎してくれる美術館は多く、例えば東京・六本木の森美術館では未就学児の0歳~6歳とその家族などを対象にした「おやこでアート ファミリーアワー」が開催されています。(こちらの詳細はのちほど! )

子連れで美術鑑賞初体験! 小さな子供や赤ちゃんでも楽しめるおすすめ美術館3選
森美術館「おやこでアート ファミリーアワー」風景(「カタストロフと美術のちから展」2018-2019年)撮影:田山達之 画像提供:森美術館

小さな頃から子供たちが美術館を身近な場所として感じられるように、また毎日子育てに励むママやパパにも楽しんでもらえるようにと、多くの美術館ではこのように小さな子供を対象とした講座が開かれ、子供たちの美術館訪問を歓迎しています。

そこで今回は、ママパパ必見! 小さな子供と美術館に行くメリットや美術館デビューしたくなる鑑賞のコツ、乳幼児も楽しめるおすすめの美術館などをご紹介します。

美術館デビューに事前準備が重要な理由とは?

まずは「美術館ってどんなところ? 」という子供の不安な気持ちを、ワクワクするような楽しみに変えてあげましょう。

例えば、図書館の児童書コーナーの「アート」や「美術」といったカテゴリーを見てみると、子供が興味を示しそうな美術作品や美術館に関する絵本がたくさんあることに気づきます。

ほかにも、彫刻の森美術館の「あそぶえほん(公式サイト)」では、彫刻の森美術館が舞台の、動く絵本の読み聞かせ動画があります。

「美術館に行こう! 」「この作品を見に行こう! 」と、楽しみにして訪れることが、美術館での時間を充実したものにしてくれるでしょう。

子連れで美術鑑賞初体験! 小さな子供や赤ちゃんでも楽しめるおすすめ美術館3選

一方、ママやパパの事前準備は美術館のHP(ホームページ)のチェックです。まずおさえておきたいのは、小さな子供向けの館内設備やサービス内容で、例えば

・おむつ交換台の有無
・授乳室の有無
・抱っこひもやベビーカーの貸し出しサービス
・館内でのベビーカーの使用可否

など。

ほかにも子供向けイベントをおこなっている美術館ではHPの「教育/エデュケーション/ラーニング」「イベント/ワークショップ」の項目をのぞいてみると、イベントの日程や鑑賞ツールについて見つけることができます。

プロ目線で作りこまれたものは、子供たちの心をギュッとつかんでくれるので楽しく美術館デビューできる貴重な存在となるはずです。

いざ、美術館へ出発! 訪問のタイミングはいつ?

赤ちゃんや小さな子供と美術館に行く際に気を付けなければならないのが訪問するタイミングです。

いつもの子供の生活パターンから、空腹時や昼寝どき、機嫌の良い時間帯など様子を見て訪問するのがポイントです。公園で身体を動かしてから向かうのも良いかもしれません。

子連れで美術鑑賞初体験! 小さな子供や赤ちゃんでも楽しめるおすすめ美術館3選

混雑時はベビーカーでの入場が制限されるので注意が必要です。

ベビーカーはインフォメーションに預けるなどして抱っこや手をつないでの鑑賞をおすすめします。館内にはコインロッカーが設置されていることが多く、大きな荷物は預け子供のお世話グッズと貴重品のみを持って身軽に鑑賞するのが良いでしょう。

美術館でのマナーを伝える絶好のチャンス

館内や展示室に入る前に「走らない、騒がない、作品には触らない」というマナーについて話すことを忘れずに。園児など理解できる年齢になれば、マナーを伝えることは大きな学びになるでしょう。

子供向けのガイドブックでは、イラストなどを用いて丁寧にマナー説明をするところもあります。ガイドブックがある場合はぜひ活用を。

子連れで美術鑑賞初体験! 小さな子供や赤ちゃんでも楽しめるおすすめ美術館3選
キッズガイドなどは丁寧に作られていて大人の情報源にも!

まだ理解が難しい小さな子供には、お気に入りのぐずり対策グッズを準備しましょう。音の出ないおもちゃや本など、館内で使えるものをすぐに取り出せるようにしておきます。また作品を守るための空調が子供には不快に感じ、ぐずりの原因になることも。暑さ、寒さの対策にも注意が必要です。

それでも落ち着かず泣き止まないときは、いったんその場を離れることがマナーです。係の人に声をかければ休憩場所や途中退出口を教えてくれるので、焦らず。

再入場が可能な施設も多くあるので、いったん退室し、おむつ替えや授乳で様子を見たり、カフェでの休憩や庭を散策するなどして気分転換をしてみましょう。

泣いたりぐずったりしたらどうしよう…とドキドキして行くよりも「きっと泣いてしまうはず」という心の準備と「泣いたときにはこれ! 」という味方を用意しておいて、ママやパパも美術館を楽しみたいですね。

子供の興味のままに、子供のペースで楽しむ

子連れで美術鑑賞初体験! 小さな子供や赤ちゃんでも楽しめるおすすめ美術館3選
森美術館「おやこでアート ファミリーアワー」風景(「カタストロフと美術のちから展」2018-2019年)撮影:田山達之 画像提供:森美術館

子供と一緒に行く美術館では、じっくり鑑賞するというのはやはり難しいものです。

「面白いね」とか「かわいいね」と、お話しながら子供が行きたい方向へ一緒に歩くことで子供の興味を探ってみましょう。

その中で目を留める絵や指をさす作品があり、少し立ち止まってお話できれば、それがなによりの大きな収穫だと言えそうです。

そして、そんな様子をママやパパは書き留めておいて、後々「こんな作品に興味を持ったのよ」「絵よりも照明の方が気に入ったんだよ」とお話できれば、子供の成長を楽しめたり、また一緒に美術館に向かうきっかけにもなるでしょう。

森美術館に聞きました。赤ちゃんとの美術館、何が良いの? 鑑賞のコツは?

いや、でもやっぱり一般の来館者に交じって子供と鑑賞するのはどうしても勇気がいる…という家族におすすめなのが子供向けイベントでのデビューです。

子連れで美術鑑賞初体験! 小さな子供や赤ちゃんでも楽しめるおすすめ美術館3選
森美術館「おやこでアート ファミリーアワー」風景(「六本木クロッシング2019展」)撮影:田山達之 画像提供:森美術館

東京・六本木にある森美術館では開館前の美術館を貸し切り、ベビーカーや抱っこの赤ちゃんと一緒に自由にアートを鑑賞できる「おやこでアート ファミリーアワー」(要予約)が開催されています。対象は未就学児(0~6歳)の子供や妊婦さんとその家族。子供連れのためのプログラムならば、親子ともに安心して参加できそうですね。

子連れで美術鑑賞初体験! 小さな子供や赤ちゃんでも楽しめるおすすめ美術館3選
森美術館「おやこでアート ファミリーアワー」風景(「六本木クロッシング2019展」)撮影:田山達之 画像提供:森美術館

森美術館ラーニング・リーダー 高島純佳さんに聞きました。

――赤ちゃんや小さな子供との美術館での楽しみとは?

「子供の視点から見る『気になるもの』『色』『形』など、大人の視点からでは気付かないたくさんの面白さを共有することができます。」

――では、興味を引き出すコツとは?

「子どもたちの日常にあるものを例えに、それと何が同じで何が違うのか、どんな色や形が好きかなど、それぞれに合わせた会話をしながら手を繋いで一緒に楽しむことです。」そうすることで、子供にも大人にも新たな発見があるんですね。

――注意したい点とは?

「美術の知識や正解を押し付けないことです。『子供向けの展示ではないから』とか『自分が分からないから』と決めつけず、ゆったりとした気持ちで、お気に入りの1つを見つける、宝探しをしに美術館を訪れてみてはいかがでしょうか。」

子供と一緒に大人も楽しむことが、家族みんなで楽しむポイント。宝ものを探しに美術館に行くなんて素敵ですね。

自信につなげる! 鑑賞後がチャンス

子連れで美術鑑賞初体験! 小さな子供や赤ちゃんでも楽しめるおすすめ美術館3選

作品を見た直後は、親子ともにほやほやの気持ちで感想を話す機会を持てると良いですね。子供は今見てきたことを思い出し、言葉にすることで再び心が動かされる瞬間でもあります。自分の感想にママやパパが共感してくれることは、自信を持つことにもつながります。

帰宅後はパンフレットなどを見ながら作品を思い出して話をしたり、作品を真似て絵を描いたり、出発前に読んだ絵本を再び見返すのも良いですね。子供の観察力や創作意欲には、ママやパパも刺激されることが多そうです。

家族ふれあいの日や無料開館日はデビューのねらい目

美術館は未就学児の入館料が大半は無料、大人も常設展ならば数百円~1,000円前後と、良心的な金額で楽しむことができます。

また、東京都では毎月第3土曜日と翌日曜日を「家族ふれあいの日」と設定していて、例えば東京都美術館では特別展や企画展などの対象となる展覧会が半額になります。(18歳未満の子を同伴する保護者、2名まで、要証明書)

子連れで美術鑑賞初体験! 小さな子供や赤ちゃんでも楽しめるおすすめ美術館3選
東京都美術館は入り口からアートがいっぱい! 筆者撮影

さらに、美術館や博物館には入館が無料(一部、有料)となる日があります。5月18日の国際博物館の日、11月3日の文化の日、各都道府県民の日などは全国的に多くの施設で無料(一部を除く)となることが多く、いずれも家族連れでにぎわうので、美術館デビューの絶好のねらい目でもあります。

デビューするならここ!おすすめの美術館3つを選んでみました

ここまで、子供と一緒に美術館に出かけるときのコツや注意点を、個人的な体験も交えて紹介してきました。
森美術館以外にも、小さな子供と美術館デビューするならここがおすすめ! という関東近郊の美術館3つをご紹介したいと思います。

【1、ちひろ美術館・東京】

いわさきちひろと世界の絵本画家の作品を収蔵する「ちひろ美術館」は、東京・練馬と長野・安曇野の2か所にあります。

ちひろの自宅兼アトリエがあった場所に建つちひろ美術館・東京は、人生で初めて訪れる美術館「ファーストミュージアム」として親しまれています。

館内の作品は子供が見やすいように、中心が床から135cmの位置にくるよう工夫されているほか、木や布のおもちゃで遊べる「こどものへや」には授乳室やベビーシートがあるなど赤ちゃんや小さい子供ウエルカムの環境で迎えてくれます。

子連れで美術鑑賞初体験! 小さな子供や赤ちゃんでも楽しめるおすすめ美術館3選
撮影:大槻志穂

また、ちひろ美術館の図書室には、常時約3,000冊の世界の絵本が置かれています。展示室の作品近くにも絵本を読むスペースがあり、作品と絵本を見比べながら鑑賞すると、より理解が深まりおすすめです。

子連れで美術鑑賞初体験! 小さな子供や赤ちゃんでも楽しめるおすすめ美術館3選
撮影:嶋本麻利沙

そして、不定期で開催されるのが、0~2歳児を対象にした「あかちゃんのための鑑賞会」です。これは講師の話を聞いたあと作品を鑑賞し、展示室での赤ちゃんの様子を振り返りながら、美術館の楽しみ方や鑑賞のヒントを知ることができるプログラムです。ぜひ公式サイトで開催の予定をチェックしてくださいね。

◆ちひろ美術館・東京
住所 東京都練馬区下石神井4-7-2
公式サイト

【2、東京都美術館】

東京・上野にある「東京都美術館」のミッションは「アートへの入り口」となること。

東京都美術館の特別展では、絵の前で模写する子供の姿があちこちでみられます。海外の美術館でよく目にするあの光景です。子供たちが使っているのは、中学生以下の子供たち限定で貸し出される「とびらボード」。自由に消し描きできる磁気式のお絵かきボードに、消しては描きを繰り返す子供や、じっくりとひとつの作品に集中する子供など、どの子も真剣な目が印象的です。(特別展のみ)

子連れで美術鑑賞初体験! 小さな子供や赤ちゃんでも楽しめるおすすめ美術館3選
ボストン美術館の至宝展(2017年)キッズデーでのとびらボード使用の様子 撮影:中島佑輔

美術館の屋外には彫刻作品が置かれています。デビューにはまず野外彫刻を見に訪れるのも良いかもしれません。ランチは館内にあるカフェで食べれば、美術館に行くことが楽しみになり、次回は展覧会を見ることにつながるかもしれませんね。

美術館のある上野恩賜公園は自然が多く家族連れでにぎわうエリアです。美術館のすぐそばにも遊具のある公園があり、子供が楽しめる環境はデビューにおすすめのポイントです。

また過去には、休室日の月曜日を特別開室して、子供のための鑑賞日を設けたり、ベビーカーツアーがおこなわれたことも。小さな子供たちが楽しめるプログラムは今後の予定をぜひチェックしてみてください。

子連れで美術鑑賞初体験! 小さな子供や赤ちゃんでも楽しめるおすすめ美術館3選
ボストン美術館の至宝展(2017年)キッズデーの様子 撮影:中島佑輔

◆東京都美術館
住所 東京都台東区上野公園8-36
公式サイト

【3、彫刻の森美術館】

観光地として有名な箱根には、たくさんのミュージアムが集まっています。

中でも美術館デビューにおすすめしたいのが「彫刻の森美術館」です。日本で初めての野外美術館として開館した彫刻の森美術館は、広い庭園を散策しながら自然もアートも楽しめるので、お散歩に行くように美術館を訪れることができます。

子連れで美術鑑賞初体験! 小さな子供や赤ちゃんでも楽しめるおすすめ美術館3選

その敷地面積はなんと7万㎡、東京ドーム約1.5倍の広さ。自然豊かな館内を歩きまわる子供たちは、大きな彫刻に次々と興味を示します。美術館というと静かに過ごすのが基本ですが、彫刻の森美術館では室内展示室以外は会話を楽しみながらアートを鑑賞することができます。

屋外展示場では撮影OKなので、美術館デビューの記念日をたくさん写真におさめることも可能です。

子連れで美術鑑賞初体験! 小さな子供や赤ちゃんでも楽しめるおすすめ美術館3選

小さな子供が特に集まるのが体験型アート作品です。カラフルな手編みのネットがつなぎ合わさってできた巨大なハンモック「ネットの森」では、跳んだり転がったりして色彩感覚と造形感覚をからだ全体で感じます。

登ることのできない赤ちゃんも、ネットの下から遊ぶ子供たちを目で追って、一緒に作品の中に入っているよう。色や光が表現する美しさを遊びながら全身で感じることができるアート作品は彫刻の森美術館でも大人気です。

◆彫刻の森美術館
住所 神奈川県足柄下郡箱根町二ノ平1121
公式サイト

暮らしの豊かさや心のより所になるかもしれないアートとの出会い。その第一歩である子供たちの美術館デビューの日が、楽しい1日になりますように!

※掲載のイベントなどについて、その都度、名称や内容が変更となることがあります。ご了承ください。

文・写真/木村一実

子連れで美術鑑賞初体験。小さな子供や赤ちゃんでも楽しめるおすすめ美術館3選
この記事をSNSでシェアする
この記事をSNSでシェアする