オディロン・ルドンといえば、2011年に、110年もの間フランスの城館に秘蔵されていた巨大なパステル画が三菱一号館美術館に収蔵されて大きな話題になった画家。19世紀末のフランスで起こった、幻想と神秘の世界を描く「象徴主義」を代表する存在で、シャヴァンヌ、モローと並び注目を集めました。39歳のとき、石版画集『夢のなかで』を発表し、画家としてデビューしたルドンは、一つ目の怪物や浮遊する顔…一見おどろおどろしいモチーフをモノクロで描き、「黒の画家」と呼ばれました。しかし、50歳のときに一転、油彩やパステルを使って、花や神話などを主題にした作品を描くようになり、夢想的な色使いの「色彩の画家」へと変貌したのでした。
鹿児島市立美術館で発見!
『オフィーリア』
19世紀末から現代に至るまでの西洋美術の流れを辿る作品を所蔵する鹿児島市立美術館。シェークスピアの戯曲『ハムレット』のヒロイン、オフィーリアの死の場面は、ルドンがたびたび主題に選びました。どのオフィーリア作品も横顔で描かれ、この作品も淡い色に包まれた、優しい横顔が、死の場面を幻想的に表現しています。※常設展示中
オディロン・ルドン『オフィーリア』1901〜1909ごろ 鹿児島市立美術館蔵
群馬県立近代美術館で発見!
『ペガサスにのるミューズ』
ギリシャ神話をモチーフにした作品を数多く残したルドン。諸芸術を司る女神ミューズを描いた『ペガサスに乗るミューズ』は、ピンクや紫の空の表現が幻想的な世界へと誘ってくれます。
オディロン・ルドン『ペガサスにのるミューズ』1907-10 油彩・カンヴァス 73.5×54.4㎝ 群馬県立近代美術館蔵
岐阜県美術館で発見!
『気球』
『蜘蛛』や『眼をとじて』など、ルドンの画業を語る上で重要な作品を数多く収蔵する岐阜県美術館。電球のようにも見える気球のなかに浮かび上がる人間の横顔が印象的な『気球』は、エジソンが発明した電球が普及し始めたころの作品。ルドンの科学への関心がみてとれます。※2017年4月16日まで展示
オディロン・ルドン『気球』1883年 木炭、コンテ・クレヨン、紙 50.5×35.7㎝ 岐阜県美術館蔵
神秘的で、幻想的なルドン作品は、日本でも人気が高く、多くの芸術家たちが虜になりました。漫画家・水木しげるや作曲家・武満徹(たけみつとおる)もルドンに刺激を受けたといわれています。
日本の美術館でも所蔵が多く、なかでも岐阜県美術館は、250点を超える国内最大規模のコレクションを誇ります。ほかに、群馬県立近代美術館と鹿児島市立美術館で、ルドンが繰り返し描いたモチーフである、目を閉じた女性やギリシャ神話のミューズを描いた作品など、ルドンの画業を辿るうえで重要な作品も観ることができます。
鹿児島市立美術館
住所/鹿児島県鹿児島市城山町4-36 地図
開館時間/9時半〜18時
休館日/月曜日
群馬県立近代美術館
住所/群馬県高崎市錦貫町992-1 群馬の森公園内 地図
開館時間/9時半〜17時
休館日/月曜日
岐阜県美術館
住所/岐阜県岐阜市宇佐4-1-22 地図
開館時間/10時〜18時
休館日/月曜日