2018年3月11日まで、東京国立博物館 平成館で特別展「仁和寺と御室派のみほとけ -天平と真言密教の名宝-」が開催中です。
孔雀明王像 国宝 中国・北宋時代(10〜11世紀) 絹本着色 一幅 167.1×102.6cm 仁和寺 京都 展示期間:1月16日~2月12日
孔雀に乗った明王が、雲を切り、地上に降り立つ瞬間が描かれる。孔雀明王は、災難を祓い病気平癒や安産をもたらす存在として、平安時代にさかんに信仰された。しかし、本作は、日本で一般的な一面四臂(顔1つ、腕4本)の姿ではなく、三面六臂(顔3つ、腕6本)で描かれる。というのも、本作は日本で製作されたのではなく、中国・北宋で描かれた将来品なのだ。
とくに、孔雀の部分に北宋絵画の特徴である、写実的で細密な描写が見られる。首は斜め前にせり出すかのような立体感に富み、丁寧なグラデーションによって玉虫色に輝いて見える。北宋時代の仏画に求められていた、現実に目の前に存在するかのごとく描くことが、見事に達成されている。