17世紀のネーデルラント(現在のオランダ)で活躍したレンブラント・ファン・レイン。フェルメール、ルーベンス、ベラスケス、カラヴァッジョらとともに、バロック絵画を代表する画家のひとりで、日本の美術の教科書にも載っている巨匠です。闇の中に人物を浮かび上がらせるその画風から、「光と影の魔術師」とも呼ばれ、代表作「夜警」(オランダ・アムステルダム国立美術館蔵)は、レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」(フランス・ルーヴル美術館蔵)、ベラスケスの「ラス・メニーナス」(スペイン・プラド美術館蔵)とともに、“世界三大名画”に数えられています。
レンブラントは、油彩のほか、エッチングや銅版画、デッサンでも多くの作品を残していますが、そのうちの数点は、日本の美術館が所蔵。20代半ばから肖像画家として多くの仕事をこなしていたこともあり、肖像画や自画像が多いのも特徴。今回紹介する3作品も、人物を描いたものです。
バロック絵画は日本でも人気が高く、2018年も数多くの作品が海外からやってきます。そんななか、日本の美術館にレンブラント作品が所蔵されていることの素晴しさをかみしめながら、展覧会に足を運んでみてはいかがでしょうか。
DIC川村記念美術館
常設展示中
レンブラント・ファン・レイン「広つば帽を被った男」1635年 油彩、カンヴァス 76.0×63.5cm(楕円形) DIC川村記念美術館蔵
初代館長の川村勝巳氏は、経営の労苦の合間にひとり絵画と語らうことを無上の喜びとしていましたが、この、若くして成功した商人と思われる肖像画には、旧友と再会したような思いを抱いていたといいます。館内で最小の展示室に一点だけ飾られている、特別な作品。
ハウステンボス美術館
レンブランド・ファン・レイン「ヤン・アセレインの肖像」1647年ごろ ハウステンボス美術館蔵 ©ハウステンボス/J-18399
銅版画でも大きな足跡を残しているレンブラント。原版が確認されているのは世界でも約80点しかありませんが、そのうちの2点、「ヤン・アセレインの肖像」と「門づけをする楽士たち」が、ハウステンボス美術館にあります。貴重な名品! 展示予定は問い合わせを。
MOA美術館
レンブラント・ファン・レイン「帽子を被った自画像」MOA美術館蔵
日本美術の名品を数多く所蔵することで知られるMOA美術館には、西洋絵画の名画も!「帽子を被った自画像」は、20代前半のレンブラントの自画像で、生涯にわたって描かれた多くの自画像の中でも、たいへん興味深い存在です。何かを語りかけている瞬間のようにも見える、唇を少し開いた表情と、右上から当たる光が、人物を若々しく、生き生きと見せています。 展示予定は問い合わせを。