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2018.08.08

ボナールの名画はここで見られる!

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19世紀末から20世紀前半のフランスで活躍したピエール・ボナールは、「日本かぶれのナビ」の異名をとるほどの日本美術好きで、特に浮世絵の影響を大きく受けた画家です。ジャポニズムが流行したパリで、歌川国貞、国芳、歌川広重の浮世絵作品を所蔵していたほどで、掛軸のような縦長作品や、平坦な色面構成には、その愛好ぶりがよく見てとれます。

ピエール・ボナール

さらにボナールには、「色彩の魔術師」という異名もあります。手帖に「絵画、つまり視神経の冒険の転写」と書き付けているボナールは、目にした光景の“意味”ではなく“印象”を、いかに絵画化するかということに没頭しました。色彩は鮮烈、構図や遠近感はぼんやり、というボナールの独特の作品世界は、観る者をなんとも不思議な視覚体験に誘います。

近年、本国フランスで再び評価の高まってるボナール。日本の美術館にも特徴的な作品が収蔵されています。今回は、9月末から国立新美術館で開催される、話題の「オルセー美術館特別企画 ピエール・ボナール展」にも出品される2作品を含む、必見の名画をご紹介。すべて公立の美術館というのも、日本の美術館のレベルの高さがうかがえるようで、ちょっとうれしい気持ちになります。

宮崎県立美術館

常設展示中

ピエール・ボナールピエール・ボナール「葡萄を持つ女」油彩・カンヴァス 1911〜12年 宮崎県立美術館蔵

女性は、ボナール作品によく登場するマルト夫人。地中海沿岸のリゾート、サン・トロペに滞在した時期に描かれた、明るく鮮やかな色彩が印象的な作品で、宮崎県立美術館の主要な収蔵作品のひとつ。

公式サイト

新潟市美術館

常時展示中

ピエール・ボナールピエール・ボナール「浴室の裸婦」油彩・カンヴァス 1907年 新潟市美術館蔵

室内の情景や日常に主題を置いた「親密派(アンティミスム)」の巨匠とも呼ばれるボナールは、妻、マルトが入浴する姿を300枚以上も描いています。この「浴室の裸婦」は、1985年、新潟市美術館が開館の目玉のひとつとして購入した作品。

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愛媛県美術館

「愛媛」という言葉が「美しい女性」を表現することから、女性を表した作品を積極的に収集している愛媛県美術館。日本美術に影響を受けた画家の作品も多く所蔵しています。ボナールの妹、アンドレの小顔と長身が、浮世絵の美人画を連想させる作品「アンドレ・ボナール嬢の肖像 画家の妹」を常設展示中。

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