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片岡仁左衛門×坂東玉三郎 奇跡の「国宝コンビ」のすべて

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2018.09.28

ダイナミックな仏像の名作、密教美術の傑作を堪能!「京都・醍醐寺展」

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京都・醍醐寺は、世界遺産にも登録されている真言密教の名刹です。

理源大師聖宝(しょうぼう)によって、平安時代初期の874年、現在の京都市南東部の笠取山山中で開山されました。その後、真言密教の教えを伝える寺院として、時の天皇をはじめ、武将たちの信仰を集めます。

豊臣秀吉は晩年、この地で「醍醐の花見」を催したことで有名ですが、当時の醍醐寺座主、義演を保護し、応仁の乱以降荒廃していた伽藍の整備を支援したといわれています。

時の権力者の信仰を集めた醍醐寺。また真言密教の正統なる継承者としての存在。それゆえ、この名刹にはあまりにも多くの貴重な文化財が残されることとなりました。密教特有の仏教彫刻、弘法大師空海の書、そして安土桃山時代から江戸時代初期にかけての伽藍復興時に寺宝となった、俵屋宗達などによる近世絵画の数々…。

京都醍醐寺9月18日の開会のテープカットには、本展仏像大使のみうらじゅんさん、いとうせいこうさんも加わり華やかな雰囲気に。日頃以上に取材陣も多く、注目の展覧会であることが伝わってくる。

そんな寺宝の一部が、現在、東京・六本木のサントリー美術館に集結、「京都・醍醐寺ー真言密教の宇宙ー」展として、公開されています。11月11日までの会期中、国宝34件、重要文化財43件を含む、100件あまりの貴重な仏教美術の名作が展示されます(展示替えあり)。

みうらじゅん、いとうせいこう一推しの仏像とは

今回、本展覧会の仏像大使に就任した、みうらじゅんさんといとうせいこうさんも「こんなにたくさんの名宝が集まっていますが、これは醍醐寺さんの寺宝のほんの一部なんです」と、記者会見で答えられたように、膨大な醍醐寺所蔵の美術品の中から選りすぐりの名宝ばかりが展示されているのです。

今回見逃すと、東京でみることは今後ないだろうという貴重な宝物が目白押し。是非とも会期中に足を運びたいものです。

さて、どれもこれも見応え満点の名宝の数々ですが、あえて挙げるならば、「五大明王像」(重要文化財 平安時代 10世紀)だけは、絶対に見逃せません。不動明王を中心に、降三世(こうざんぜ)明王、軍荼利(ぐんだり)明王、大威徳(だいいとく)明王、金剛夜叉(こんごうやしゃ)明王、の5体の忿怒の表情の仏像が並びます。

特に仏像大使のお二人、みうらじゅんさんといとうせいこうさんがともにお気に入りという「大威徳明王」は必見です。

京都醍醐寺一堂に展示された五大明王像は圧巻! 密教美術の真髄を味わうことができる。一番手前が大威徳明王、その向かって右側が軍荼利明王、そのさらに右側が不動明王。

五大明王像は密教特有の仏像で、京都の東寺ほかいくつもの作例がありますが、伏した牛の背に大威徳明王が座しているのが通例で、こちらの醍醐寺の大威徳明王のように立った牛の背に明王が座している作例は珍しいのだとか。しかもこの牛の表情ときたら、えもいわれぬ愛嬌があるのです。忿怒の表情の明王さまとの対比がまた絶妙。なにはともあれ、この五大明王像、そしてその中の、大威徳明王は要チェックです!

みうらじゅんさんといとうせいこうさんが、2009年の阿修羅展以来こだわっている360度展示ケースは、今回も当然あり。会場の最初に展示されている「如意輪観音坐像」(重要文化財 平安時代 10世紀)が、360度展示ケースで拝見できます。この仏様、リラックスしたポーズ、右に傾けたご尊顔といい、なんとも艶かしいセクシーなお姿。正面からだけでなく、真横から、そして真後ろに回ってその美しいお姿をご覧ください。

京都醍醐寺「如意輪観音坐像」重要文化財 平安時代 10世紀 木造 漆箔

京都醍醐寺360度々の方向からも鑑賞できる展示ケースで拝見すると、またその美しさに感動する。「如意輪観音坐像」を真横からみたところ。美術館で仏像を拝見する最大特権といえるだろう。

サントリー美術館の展覧会で毎回話題になる、4階と3階の間の階段の吹き抜けスペースの展示。今回は「薬師如来および両脇侍像」(国宝、平安時代 10世紀)。圧倒的な大きさと存在感! 空気を制するような穏やかながら厳しい御表情! こんなありがたい仏様に東京のど真ん中でお会いできるなんて! この仏様を拝見するだけでも本展覧会を訪れた意義があるというものです。

京都醍醐寺4階と3階の展示室をつなぐ吹き抜けの大きな展示室。この大きな空間におわすは、国宝の「薬師如来および両脇侍像」(平安時代 10世紀 木造 漆箔)。上醍醐薬師堂のご本尊で、今は下醍醐の霊宝館に遷座されている。

琳派の祖、宗達の屏風絵に感動!

さて、醍醐寺の寺宝は、先にご説明した通り、密教美術、仏教美術だけに限りません。応仁の乱で荒廃した伽藍は秀吉の醍醐の花見以降、江戸時代初期にかけて復興されます。醍醐寺座主を多く輩出した三宝院も、慶長年間に再建されますが、重要塔頭だけにその表書院を飾る障壁画は当時の一流絵師たちが担当しました。

今回出陳の障壁画の中では、東京初出陳といわれる、長谷川等伯一派による「三宝院障壁画 柳草花図」(重要文化財 安土桃山〜江戸時代 16~17世紀)に、その一流絵師たちの画力をみることができます。切り箔や金砂子を使った見事な輝き、墨と緑青で描かれた柳の木の幹。風が吹き抜けて行くような爽やかな、それでいて天上にいるかのような華やぎに満ち溢れています。

京都醍醐寺「三宝院障壁画 柳草花図(表書院上段之間)」重要文化財 安土桃山~江戸時代 16~17世紀 紙本著色 襖貼付)。長谷川等伯一派の作。背景の金の切り泊、金砂子の華やかさ、柳の葉の躍動感、墨と緑青で描かれた柳の幹の美しさ。ともかく美しい!

俵屋宗達による 「扇面散図(せんめんちらしず)屏風」(重要文化財 江戸時代 17世紀)も必見です(10月15日まで展示)。二曲一双の屏風に11の扇が描かれていますが、いずれも趣深く、古典に範をとった画題といい、たらしこみを用いた技法といい、まさに琳派の萌芽ともいうべき時代の名作といえるでしょう。

京都醍醐寺俵屋宗達筆「扇面散図屏風」重要文化財 江戸時代 17世紀 二曲一双 紙本金地著色。扇面画で評判を呼んだ宗達らしい作品。

不動明王をマイルームでプロジェクションマッピング?

さて、今回の「京都・醍醐寺ー真言密教の宇宙ー」展、もう一つのお楽しみは仏像大使のお二人が用意した今回限定のミュージアムグッズ。これまでにも、仏像のループタイなどユニークなミュージアムグッズを世に送り出してきたみうらじゅんさんといとうせいこうさん。今回ふたりが考案したのは「仏光ライト」(700円税込)。暗闇の中に、醍醐寺の寺宝で快慶作の「不動明王坐像」(重要文化財 鎌倉時代 建仁3年、1203年)の姿を浮かび上がらせることができる、かっこいいライトです。これさえあれば、どこでも密教プロジェクションマッピングが可能! 大日如来の化身といわれるお不動さんをいつも身近にできます!

京都醍醐寺右が「仏光ライト」(700円税込)、左が見仏旅行に必携の「見仏野帳」(430円税込) ともに、みうらじゅんさん、いとうせいこうさん、二人の仏像大使が監修。不動明王の絵が暗闇に浮き上がる「仏光ライト」はかっこいい! みうらじゅんさんのイラストが箔押しされた野帳はかわいい!

京都醍醐寺いとうせいこうさんの白いシャツの上に、「仏光ライト」で快慶作の「不動明王坐像」を映し出しているみうらじゅんさん。ちなみに後ろに見える不動明王は別の作品。

「京都・醍醐寺-真言密教の宇宙-」展は、11月11日日曜日まで。期間中展示替えがあるのでお目当の仏様、美術品は要チェックとのこと! また、2019年1月29日火曜日からは九州国立博物館に巡回予定です。

仏教彫刻、仏教絵画、貴重な書の数々、そして近世絵画の名作を、この機会に是非ともお楽しみください。

※展示作品は、すべて醍醐寺所蔵です。

文/橋本記一

「京都・醍醐寺-真言密教の宇宙-」

会期 開催中~2018年11月11日
会場 サントリー美術館
公式サイト