日本画家の千住博さんは、これまでも森、湖、滝と、さまざまなモチーフを描いてきました。そして今、新たなモチーフとして取り組んでいるのが「崖」。2017年11月にN.Y.で発表されたシリーズ最新作「At World’s End(地の果て)」を、現在、軽井沢で公開中です!
未知の惑星を思わせる千住博の「崖」シリーズ
宇宙に浮かぶ惑星のような、塊としての崖は、それが形成されるまでの、気が遠くなるような時間の経過を示唆しているようです。
千住博「At World’s End 16」
千住博「At World’s End 18」
これらの作品は、軽井沢千住博美術館で開催中の「At World’s End-新作『地の果て』に至るモチーフの系譜-」で公開中です。1981年に東京芸術大学大学院在学中に制作を開始した「ビルシリーズ」や「森の植生」も展示。千住作品のモチーフの変遷を辿りながら、その表現の本質を探ります。2018年3月1日に開幕した今回の展覧会。約9か月という長期展示でしたが、閉幕まで残り1か月を切ってしまいました。千住さんがコンセプトとして貫いてきた“時間”の表現を、作品からたっぷりと感じられる貴重な機会です。お近くの方や、軽井沢までお出かけの予定がある方は、ぜひ足を運んでみてください!
絵を背景に、7分間の「動画」作品「春夏」を上映しているThe Fall Roomでは、新作動画「カラーフォール」も上映しています。
At World’s End-新作『地の果て』に至るモチーフの系譜-
会場:軽井沢千住博美術館
会期:開催中〜2018年12月24日
公式サイト
自然光の中で作品を楽しめる「軽井沢千住博美術館」
「At World’s End-新作『地の果て』に至るモチーフの系譜-」の会場である軽井沢千住博美術館は、個人美術館です。作家である千住さん自身が、建築や庭のコンセプトを考え、建築家の西沢立衛さんとともに創作しました。壁自体がガラスになっているという、美術館の概念を覆す建築。一歩足を踏み入れると、その明るい館内に驚きます。季節や天気によって作品の見え方も変わってくるのです。
◆軽井沢千住博美術館
住所 長野県北佐久郡軽井沢町長倉815
公式サイト
日本美術で「滝」といえばあの人も!
滝をモチーフにした「ウォーターフォール」シリーズは、千住さんの代表作です。日本美術で滝といえば、あの世界的に有名な浮世絵師も滝の作品を多く描いていましたね!
葛飾北斎「諸国瀧廻り 木曽路ノ奥阿弥陀ヶ瀧」天保4(1833)年ごろ 大判錦絵 すみだ北斎美術館
そう! 葛飾北斎です。「諸国瀧廻り」は、日本全国の有名な滝を描いたシリーズもの。北斎の大ヒット作「冨嶽三十六景」と同時期に出版されていました。さまざまな手法で“水”を表現した名作です。和樂INTOJAPANでは、そんな北斎の滝に注目! そこには、ヨーロッパが驚いた北斎の卓越したアイディアが、溢れていたのです。
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北斎の「瀧」はアイディアの宝庫!「諸国瀧廻り」の白抜きマジックとは?
国際見本市で発見! 千住さんの「滝」が絨毯に!?
さて、展覧会の話からは反れてしまいますが…2018年11月中旬に東京ビッグサイトで開催された、インテリア・デザイン市場のための国際見本市「IFFT/インテリア ライフスタイル リビング」をご存じでしょうか? なんとそこで、千住さんが手がけた絨毯と出合いました!
展示されていたのは、千住さんと山形緞通のコラボレーションで誕生した新作絨毯「SUIJIN」。「ウォーターフォール」シリーズの、見る人を引き込む魅力は残しつつ、絨毯ならではの温かさを感じる作品でした。
「山形緞通」は、歌舞伎座や皇居新宮殿への納品など、多くの実績をもつ世界が認める絨毯ブランド。日本で唯一、糸作りから染め、織り、アフターケアまで、職人さんが手作業で生産しています。