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2019.09.11

AmazonやNetflixでも!自宅で楽しめるアート映画を10作品選んでみた

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オススメ映画5「ルノワール 陽だまりの裸婦」(2013)

シネマで楽しむ美術鑑賞! アート・美術がテーマのおすすめ映画10選

モネ、マネ、セザンヌなど印象派の巨匠たちはこれまでに伝記映画が多数制作されています。中でも屈指の出来だと言えるのが、ルノワール晩年の南仏での生活風景を作品化した本作。本作では、ルノワール自身だけでなく、戦前を代表する映画監督として大成した二男、ジャン・ルノワールと晩年のルノワールのヌードモデルを努め、ジャンの映画で俳優として活躍したカトリーヌ・エスラン(愛称:デデ)の3人が主役として描かれます。

物語は1915年、長男・二男を第一次世界大戦に駆り出され、自身は重度のリューマチで車椅子生活となって失意の日々を送る中、ルノワール好みの若いヌードモデル・デデとの出会いからスタートします。南仏・コートダジュールの光あふれる風景美、老齢になってもなおマイペースに戸外で創作を続けるルノワールの心のうちに秘めた制作意欲や、戦地から戻ってきたジャンとデデが次第に惹かれていく描写など、繊細かつ美しく表現された映像美が見どころ。直接の性交渉を描くシーンはないものの、どこか非日常性を帯びた画家一家の生活風景の中に表現されたフランス映画らしいエロティシズムも秀逸でした。

オススメ映画6「ミケランジェロの暗号」(2011)

シネマで楽しむ美術鑑賞! アート・美術がテーマのおすすめ映画10選

フィクション/ノンフィクションを問わず、「黄金のアデーレ 名画の帰還」「ミケランジェロ・プロジェクト」など、第二次世界大戦中のナチスドイツと関連して戦時下における名画の盗難、贋作、略奪などをテーマとした佳作はこれまでにも数多く発表されてきています。中でも、筆者が推したい作品は本作です。

物語では、オーストリアで画廊を営むユダヤ人画商の息子が家宝として守り継いできたミケランジェロの素描がナチスに目をつけられまずが、主人公は自らの安全と家宝を守るため、虚々実々の命がけの駆け引きでナチスと渡り合います。歴史的な考証に即したフィクション作品ですが、必要以上に重苦しくならず、あくまで痛快なアクション・サスペンスとしてコメディタッチを含ませて軽快に仕上げた点が素晴らしいのです。第二次大戦中におけるナチスドイツと美術品の意外な関係を学べる上に、しっかり楽しめる娯楽作品です。

オススメ映画7「ビッグ・アイズ」(2015)

シネマで楽しむ美術鑑賞! アート・美術がテーマのおすすめ映画10選

実話伝記作品は、広くストーリーが知られている巨匠モノだけでなく、無名の知る人ぞ知る市井のアーティストを取り上げた秀作も数多くリリースされています。「本当にこれ実話なの?」と思わず疑いたくなるような奇想天外なストーリーや、心温まる感動秘話まで数多くありますが、ストーリーの「意外性」ではこの「ビッグ・アイズ」が一番。

DVに耐えかねて娘を連れて家を出たマーガレット・キーンが、新天地で生活費を稼ぐため露天で似顔絵描きをしていたところ、画家のウォルターと出会い、再婚しますが、再婚後、マーガレットの個性的な「大きな目」の人物画はウォルターの営業活動の結果大ブレイク。しかしウォルターはマーガレットの作品を自らが描いた喧伝して表舞台に立ち、名誉を独り占め。自宅に半幽閉され、夫の下請けとして描くだけの鬱屈した日々に耐えかねたマーガレットとウォルターの夫婦関係は壊れていきますが、物語はそこからさらに意外な展開へと流れていきます。ちなみに今も本作の主人公、マーガレット・キーンは存命中です。

オススメ映画8「鑑定士と顔のない依頼人」(2013)

シネマで楽しむ美術鑑賞! アート・美術がテーマのおすすめ映画10選

アートを題材とした映画では、巨匠による伝説の名画などを巡って「贋作」「盗難」をめぐる法廷サスペンスや追跡劇において、しばしば「鑑定士」が活躍するシーンが描かれますが、本作は個性的な登場人物の設定と、終盤のスリリングなどんでん返しが魅力的なフィクション作品。

全編イタリアロケで制作された美しい映像美の中で、気難しい初老の鑑定士と、人前に出るのが苦手なミステリアスな美しい依頼人が、古美術の鑑定作業を行う中で恋に落ちていくストーリーがみどころです。「そんなうまい話があるか!」と突っ込みながら観ていたら、ストーリーは終盤にかけて意外性あふれる怒涛の展開に。ネタバレ厳禁なので何がどう面白いのかこれ以上書けないもどかしさはあるのですが、ラストの衝撃展開を期待して、ぜひチェックしてみて下さい!

書いた人

サラリーマン生活に疲れ、40歳で突如会社を退職。日々の始末書提出で鍛えた長文作成能力を活かし、ブログ一本で生活をしてみようと思い立って3年。主夫業をこなす傍ら、美術館・博物館の面白さにハマり、子供と共に全国の展覧会に出没しては10000字オーバーの長文まとめ記事を嬉々として書き散らしている。