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2019.09.13

美術界が大注目!田村大さんが描く驚異的なイラスト作品を見逃すな!【ロングインタビュー前編】[アート]

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和樂Web読者の方にご紹介してみたい、とんでもなく個性的で凄いアーティストに出会ってしまいました!その方とは、現在イラストレーター/アーティストとして国際的に活躍する田村大さんという方です。

20代後半までごく普通の会社員として勤め上げた後、仕事を通じて「似顔絵」の楽しさに目覚め、商業施設で似顔絵制作会社に転職。入社後7年間で3万人以上の似顔絵を描きまくり、2016年、「似顔絵」世界大会であるISCAカリカチュア世界大会で総合優勝。その後、コツコツと投稿を続けていたアメリカのプロバスケットボール選手の似顔絵がSNS上で「凄い!」と大評判に。Instagramで世界中から注目され、現役NBA選手を含め10万人以上のフォロワーから熱い支持を受けるなど、世界的に知名度を上げている大ブレイク中のイラストレーター/アーティストなのです(2019年7月時点)。

今回、筆者も親しくさせて頂いているアートブロガー「青い日記帳」管理人のTakさん(@taktwi)から「田村さんにインタビューさせて頂けそうだけど、一緒に来る?」とお誘い頂き、二つ返事で参加。2019年、イラストレーターとしてだけでなく、一人のアーティストとして活動の幅を広げようとしている田村さんにじっくりとお話を聞くことができました。(Takさんの記事はこちら。記事1
記事2

10万人以上のフォロワーがInstagramで心待ちにする田村大さんの作品の魅力とは?

―インタビューにあたって、改めてInstagramやYoutubeを拝見させて頂きました。主にNBAのバスケットボール選手を描いていらっしゃいますが、どの作品も非常に迫力満点でしびれました。つい最近まで似顔絵を描いていらっしゃっただけあって、各選手のちょっとした仕草や特徴を的確に捕らえつつ、非常にカッコよく描かれていますよね?

ほぼ毎日自身の作品をアップしているInstagram。ここ1~2年の田村さんの画業の全てがここにあるといっても過言ではありません。

田村:ありがとうございます。僕は小学生の時に鳥山明さんの世界にあこがれてから、ずっと男性のスーパーヒーロー像を描くことが好きなんです。中学の時からバスケットボール一筋だったので、僕にとっての身近なスーパーヒーローといえば、やはりNBAの選手たちなんですよね。スポーツ選手って、お立ち台に立った時「ヒーローインタビュー」って言われるように、大人も子供も一種のスーパーヒーローとして自分を投影してゲームを眺めていたり、夢を託していたりするんじゃないかなと思うんです。だから、僕はそういう彼らのかっこよさや躍動感みたいなものが良い意味で誇張されるようなスタイルで描くことを心がけています。

―確かに!カリカチュアでの様々なテクニックを駆使して、アメコミヒーローがやるようなカッコいいポーズをリアルに描いていらっしゃいますよね。

田村:そうですね。ただカリカチュア的にものすごく誇張してマンガっぽくするのではなく、筋肉を少し多く描いたり、本物よりは動作を大げさに描いたりしますが、それはあくまで選手たちの魅力がより伝わるように意識してのことなんです。

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―絵の中の効果などにも、マンガ的な要素を取り入れていらっしゃいますね。動きの線とか。

田村:これらは躍動感を出すためにやっています。面白いのは、僕の絵を見てくださるファンの方の反応なんです。僕のインスタってフォロワーが今10万人いるんですが…

―ええっ?!10万人もいるんですか?!

田村:はい、おかげさまで(笑)面白いのは、フォロワーの約半数はアメリカ人なんです。作品を投稿するたびに日本とアメリカ両方の方からコメントを頂くのですが、日本人とアメリカ人では僕の絵に対する感想が全く違うのが面白いんですよね。日本人が僕の絵を見ると「アメコミ」に見えるみたいですが、アメリカ人の認識では「ジャパニーズマンガ」として捉えられているようなんです。鳥山明さんなどジャンプのキャラクターを繰り返し描いてきた子供時代のスタイルと、前職でカリカチュアを描いていたスタイルが融合したような感じで、ちょうど日本のマンガとアメコミの要素がミックスされたような画風が今の僕のオリジナルじゃないかなと思っています。

-また、動画を拝見すると色鉛筆やマーカーなど色々な画材を使われていますが、イラストを描く時どれを一番使われますか?

田村:一番使うのは漫画家が良く使う「コピック」という油性のマーカーですね。最近は結構デジタルでスマートに描くのが主流になってきてるんですが、デジタル系の画材って、画面で観る時はよく見えるんですが、印刷すると良さが失われてしまうんですね。だから僕は敢えて手描きにこだわっています。それに、これはカリカチュアの現場で描いたり、世界大会に出ている時に学んだのですが、イラストって、描いているところもパフォーマンスなので。デジタル機材を駆使して描いても、もう一つその技術的な「凄さ」が伝わりにくいんです。むしろ、だれもが入手できる「コピック」のようなライトに仕上がるお手軽な画材で、だれも描けないような重い作品が描ければ、対外的なアピールも含めて絵の価値がわかっていただけるかなという計算もあります(笑)

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―Youtubeの動画で拝見しましたが、油性マーカーって失敗がきかないように見えるので、ハラハラしながら見ていたんですが…どの作品も凄く精密なのに失敗することなくササッと素早く描かれてしまうところに、本当に凄い作画技術をお持ちなんだなと思いました。

田村:ありがとうございます。そうなんですよ。前職ではお店でお客さんの似顔絵を即興で描くのが仕事で、やり直しが許されない中、10分程度で消しゴムなしで下書きから彩色まで一気にこなすセッションを3万人以上経験してきたのが今活きていると思うんです。しかも、ギャラリーに見られながら、お客さんと軽く会話しながら1人の人を描くって思った以上にタフな仕事なんですよね。そんな中、一発で仕上げまで持っていくための根性や思い切りみたいなものが知らず知らずに培われていったのかもしれません。

―面白かったのは、何色も派手に色を使うのではなく、微妙に濃淡をつけながら1色のマーカーを塗り重ねていくような、水墨画の世界に似たような技術が必要とされるんだなというところですね。

画像提供:アートブログ「青い日記帳」Takさん

田村:これは見た目以上に難しいんです。習得するのに相当時間がかかりました。水墨画でもそうなんでしょうけど、シンプルな画材だからこその難しさっていうのはあると思います。ちょうど歌舞伎の絵もコピックを使って、カリカチュアの世界大会で優勝した技法を使って描きました。

書いた人

サラリーマン生活に疲れ、40歳で突如会社を退職。日々の始末書提出で鍛えた長文作成能力を活かし、ブログ一本で生活をしてみようと思い立って3年。主夫業をこなす傍ら、美術館・博物館の面白さにハマり、子供と共に全国の展覧会に出没しては10000字オーバーの長文まとめ記事を嬉々として書き散らしている。