ゆるキャラが人気を博している現代。「KAWAII」は世界共通語にもなり、日本のポップカルチャーはたくさんの国々で愛されています。
この源流、実はかなり昔までさかのぼれるのです。
日本最古の漫画?
有名な国宝『鳥獣戯画』は、平安時代末期~鎌倉初期にかけて描かれたと言われる絵巻物です。
ウサギやカエル、サルなどが人のような振る舞いをしているのが愛らしい、ユーモラスな絵で、「日本最古の漫画」とも呼ばれます。
江戸時代のかわいい動物画
浮世絵など、多彩な文化が花開いた江戸時代にも、かわいい動物の絵がたくさん描かれました。
いくつかご紹介していきましょう。
アザラシ
天保4(1833)年 7月に尾張(現在の愛知県西部)熱田の海沿いの新田に迷い込んだアザラシ。現代でも「たまちゃん」など迷いアザラシは大人気になりますが、当時も見物客が押し寄せたのだそう。
海の生き物
クジラやサメなどが描かれていますが、なんともユーモラスというか愛らしいというか。
オオサンショウウオ
享和元(1801)年 に江戸の板橋で捕まり、将軍家斉にも会ったオオサンショウウオ君です。
小さな目と平べったい口元がたまらないですね。
下の小さな子たちは、中央部分はオオサンショウウオの赤ちゃん、左側はハコネサンショウウオ。
マンボウ
寛政9(1797)年7月に佐渡の浜に打ち上げられたマンボウ。
まんまるボディとつぶらな瞳がキュート!
ツノメドリ
文化6(1809)年4月に尾張の熱田沖で捕まえられた個体。
エトヒルカ(エトピリカ)、と書いてありますが、ツノメドリなのだそう。本来は北海道あたりでしか見られないのですが、台風などの影響で迷い込んできたものと見られます。
お顔の模様がおしゃれ!
スローロリス
現代でも愛らしい仕草で大人気な、サルの仲間・スローロリス。天保4(1833)年にオランダ船によってもたらされた時のものだそう。
丸まった背中がかわいい!色彩鮮やかで緻密に描かれています。
ヤマアラシ
室町時代に初めて日本にやってきたヤマアラシは、江戸時代にも数回持ち込まれています。
これは安永元(1772)年に薩摩藩主島津重豪が購入し、その後、幕府老中の田沼意次に献上され、この絵の作者である栗本丹洲の父が拝領した際の写生と思われます。
針は痛そうですが、穏やかな顔の表情がほっこりさせられます。
かっぱ!?
江戸時代には、かっぱは実在すると誰もが信じていたのだそう。
表情はちょっと見づらいのですが、いろいろな角度から描かれたかっぱたちの姿が楽しめます。
文中画像:鳥獣戯画(フリー画像)を除き、国立国会図書館デジタルコレクションより引用
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