和樂の“招き猫プロジェクト”がスタートしたのは、2016年夏。東京に息づく伝統の手仕事を応援する「東京手仕事」と江戸木目込人形の名店「柿沼人形」、そして和樂が手を携え、新しい招き猫をつくることになったのです。
第1弾は永遠の愛され柄、タータンチェックとアニマル。完成した江戸木目込人形“招き猫”の、なんとかわいらしいこと! 全方位、どこから見ても、ていねいな職人の仕事ぶりが伝わってきます。今では13柄までバリエーションが増え、発売と同時に完売するモデルまで登場しました。海外でも“フォーチュン キャット”と呼ばれ愛される招き猫。今回そのつくり手、柿沼人形の制作現場に潜入してきました!
“江戸木目込人形”の伝統を継承する「柿沼人形」
左/江戸鼈甲(べっこう)、西陣織、金沢箔などを使用し、日本の伝統工芸の粋を集めた、美しい立雛。パリでも展示された。右/工房内にたくさんの雛人形が並ぶ。
1950年、人形師の初代・柿沼東光によって創業された「柿沼人形」は、卓越した技術と様式美を誇る江戸木目込人形の雛飾りや五月人形で、多くの人々を魅了してきました。現会長の二代目・柿沼東光氏は、45年間にわたり江戸木目込人形制作に携わってきた、経済産業大臣および東京都知事の認定伝統工芸士。
「柿沼人形」の招き猫の型を生み出したのは、現会長である二代・柿沼東光氏。和樂招き猫を手に「日本の伝統と洋風の雰囲気が合っていて、いいね」。
そもそも江戸木目込人形とは、江戸時代、京都で発祥した人形の制作技法が江戸に伝わり、発展したもの。人形の土台となる型をつくって1〜2㎜の筋を彫り、その筋に糊を入れて、布をヘラで押し込みながらきめこむ(=決め込む)ことから、木目込人形と呼ばれるようになったといいます。「柿沼人形」の工房で制作工程を見せていただくと、美しい雛飾りや五月人形と同じ技法で、和樂の招き猫がつくられていることに驚きます。1体1体すべてが手作業であるため、少しずつ表情が違うのも魅力です。
「柿沼人形」オリジナルの招き猫。高級ホテルや免税店では訪日外国人に大人気。
江戸木目込人形の名店「柿沼人形」の新時代を築くことになった招き猫は、2015年、東京都中小企業振興公社が始めたプロジェクト「東京手仕事」のプロデュースによって誕生。2016年1月に開催された、パリ「メゾン・エ・オブジェ」や、フランクフルト「アンビエンテ」に出展したところ、大きな反響を得ました。現在、都内百貨店や高級ホテル等で販売されており、訪日外国人の土産物ランキングでも常に上位に入るくらいの人気商品となっています。
和樂の招き猫も同じ工房でつくられる!
左/「柿沼人形」の工房。招き猫プロジェクトは右奥に座っている柿沼利光氏が担っている。右/シリコンの枠に樹脂を流し込み、人形の土台をつくる。
左/和樂招き猫の生地見本。上質な布が使われている。右/少しずつ布がきめこまれていく。
柿沼人形DATA
1950年、人形師の初代・柿沼東光によって創業。以来、卓越した技術と様式美を誇る江戸木目込人形の名店として知られ、雛飾りや五月人形で多くの人々を魅了する。
住所:埼玉県越谷市七左町2-174-4
公式サイト:http://www.kakinuma-ningyo.com/
撮影/篠原宏明