寒くなってくると、羽をふくらませてまるまるとした姿になる、すずめ。その姿はとても愛らしく、着物の帯結びや髪型の名前・俳句の季語・紋や模様にもなっています。
また、「福」に通じるものとして、「福良雀(ふくらすずめ)」と書いて縁起物とされます。
でも、寒くなる時期には、すずめは地上にはいなくなる、という言い伝えもあったのです。では、一体どこへ行ってしまうのでしょう?
「雀海中入って蛤となる」
なんと、それは海の中。しかも、すずめはハマグリになってしまう、というのです。
ちょっと何言ってるかわからない……。
その理由は……
これは、中国の古い言い伝えから来たものです。
すずめとハマグリは、体(殻)のまだら模様が似ていることから、もともと同じものであると考えられていました。夏はすずめ、冬はハマグリの姿になって暮らしてる、というのです。晩秋の浜辺で、すずめが賑やかに群れている光景から、こうした発想が出たともいいます。
いろいろツッコミどころは多いのですが、そうした大らかさや発想の自由さ、素敵ですね!
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刀装具の画題にも
この「雀海中入って蛤となる(すずめかいちゅうにいってはまぐりとなる)」という言い伝えは、鐔(つば)など刀の装飾にもよく使われています。
2020年12月24日まで、東京・両国の刀剣博物館で、このモチーフが描かれた鐔を見ることができます。
ちなみにハマグリは、春の蜃気楼(しんきろう)を作り出しているという言い伝えも持っています。むむ、なかなかやるなハマグリ……。
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主要参考文献:
・『世界大百科事典』平凡社
・『日本国語大辞典』小学館
・『デジタル大辞泉』小学館
・日本美術刀剣保存協会・刀剣博物館、展示キャプションより
アイキャッチ画像、文中画像:写真ACより加工使用