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Culture
2021.04.12

日本ならではの発想てんこ盛り!「250ccバイク」は現代日本最大級の輸出品目かもしれない

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日本には「250ccバイク」という不思議なクラスがある。

原付よりも遥かに大きいが、中型よりはかなり小さい。このクラスが、日本国内の街乗りには最適なのだ。

網の目のような市街地の車道を進みつつ、高速道路に乗って数百km先までツーリングする……ということなら400ccのほうがいいかもしれない。が、近年の400ccは需要が落ち込み、かつての「花形クラス」の面影はすっかり薄れてしまった。

一方で、250ccは今も多種多様のラインナップを誇り、日本はおろか海外のライダーをも熱狂させている。

東南アジアを疾走する日系250cc

去年、カワサキから『ZX-25R』が発売された。

これは249cc並列4気筒エンジンを搭載したフルカウルスポーツで、日本仕様は最大45馬力のパワーを叩き出す。400ccクラスのスポーツ車種にも対抗できる出力だ。そんなZX-25Rが、インドネシアで先行発売された。

インドネシアの二輪市場は……というより、四輪も含めたモーター市場は日系メーカーの独断場である。

この国の富裕層もフェラーリやランボルギーニを乗り回し、ハーレーダビッドソンに跨ってツーリングに出かける身体の大きなバイクオヤジも存在する。が、可処分所得に余裕のない庶民にとって、そんなものは夢のまた夢。ごく普通の市民はホンダやヤマハやスズキに乗る。その中で多少の金銭的余裕のある者は、カワサキのスポーツマシンに乗って北ジャカルタ・アンチョールの海岸沿いを走る。「カワサキはオトコのマシン」という意識は、日本とほぼ共通である。

慢性的な渋滞が政治課題にもなっているジャカルタで、250ccは素晴らしいパフォーマンスを発揮する。

クルマとクルマの間をすり抜けることができ、なおかつ125ccや150ccなど問題にならないパワーを発揮する。そして現実問題、魅力的な250ccマシンの殆どは日系メーカーの製品である。

若者が外国企業の製品を求める現状をジョコ・ウィドド大統領は決して良く考えていないが、この分野に関して日系メーカーが盤石の強さを誇っていることは誰にも否定できない。

400ccが衰退する一方で……

日本という国で250ccクラスが発達している大きな理由は、「車検義務がない」という点だろう。同じ普通自動二輪免許で乗れる400ccは、車検を通さなければならない。無論、それだけの費用が発生する。どうせ車検があるなら、大型自動二輪免許を取ってもっと大きなマシンに乗り換えてしまおう……と考えるのは人情というものだ。故に400ccは、日本でも「中途半端な排気量」と言われるようになってしまった。

ここに両クラスの明暗が分かれた。

車検を通す必要のない250ccは重量が軽く、足つきもいい。これは女性ライダーだけでなく、若い頃に400ccを乗り回していたリターンライダーにとってもありがたい要素だ。

そして、いざとなれば高速道路に乗ることができる。日本の高速自動車国道で走行できるバイクは125cc超のマシンだ。左側の走行車線を80km/hほどでクルージングするくらいなら、まったく支障がない。

250ccは「結論の一つ」

考えてみれば、「クルマの小型化」は日系メーカー最大の武器である。

1950年代、アメリカは建国史上最も豊かな時を過ごしていた。ブレトン・ウッズ体制の下、恐ろしく巨大なクルマを高校生が乗り回し、頻繁にヨーロッパ旅行に出かけ、どんな食べ物にもケチャップをかける。そのような経済大国で走っていたバイクは、州を跨げるほどの走行性能を持つリッターマシンだった。

その中でホンダは50ccの豆バイクを持ち込み、予想外の大ヒットを実現させた。日本のバイクはアメリカのそれとは違い、小さな排気量のマシンでいかに悪路を走破できるかということに主眼が置かれていた。それがアメリカ人に「アドベンチャー性のあるマシン」として受け入れられた。

日本人が極東の火山島で模索をする中、たどり着いた結論の一つが250ccである。このクラスの百花繚乱は「日本ならでは」だ。しかし——敢えて矛盾するような表現を使うが——250ccは、今や世界各国の市民ライダーが熱狂的に支持するクラスと言える。

同じ排気量でも異なる性能

上記のZX-25Rは4気筒マシンだが、筆者の所有するスズキ・グラストラッカービッグボーイは単気筒である。それでも排気量は同じ250ccだ。

ZX-25Rの最高時速は200km/hに達するというモーターメディアの記事もあるが、一方でグラストラッカービッグボーイのそれは120km/hがせいぜい。が、後者はとにかく扱いやすい上、エンジン自体が頑丈だ。どちらが優れているか……という話はナンセンスで、250ccはそれだけバリエーションに富んでいるということだ。

そして季節は巡り、今年もいよいよ春を迎えた。さあ、バイクに跨ろう!