つまらない。なんかつまらない。
もともとはマジメで頑固な「やるべきものはやる」「ならぬものはならぬ」的性格のはずなのだが、どうもこのところ普通に記事を書いていると、なんだか心がしぼんできてしまう。つまらな~い! も~ぉやだ! となってしまうのだ。
そんな、ライターとしては致命的なんじゃなかろうか、という不真面目さだが、この和樂webというぶっ飛んだサイトにおいては、わりと許されてしまう。許されるんならやっちまおうじゃないか。
ということで、今回は「つまらない」について。
先ほどから「つまらな~い!」を連発しているわけだが、ふと思う。つまらない、って、何が「つまらない」んだろう? 何を詰まらせればいいんだろう? 食われた栄養分の成れの果てはじめ、大体のものは滞りなく流れていたほうが喜ばれるような気もするのだが(例のものは適度に流れるのが理想だが、まあなかなかうまくいかないものだねぇ)……あ、「切羽(せっぱ)」は詰まらせた方がいいのか。
クイズ!「切羽詰まる」の「切羽」ってなに?刀の鐔のあたりをよ~く見てみると……
「つまらない」の意味と語源を、書いているワタクシが「つまる」ために、レッツ深掘り!
まずは「つまらない」の意味から
とりあえず、まずは「つまらない」の意味から見ていこう。
『デジタル大辞泉』によると、以下の通り。
1 おもしろくない。興味をひかない。
2 とりあげる価値がない。大したものではない。
3 意味がない。ばかげている。
4 それだけのかいがない。ひきあわない。
ふむ、さようか。
そして、つまらない、の成り立ちとして以下のように書かれていた。
動詞「つまる」の未然形+打消しの助動詞「ない」
やっぱり何かを詰まらせるといいんだなあ。
それじゃあ、「つまる」とはなんじゃらほい。
「つまらない」は何を詰まらせればいいのか?
出でよ、『日本国語大辞典』! 「つまる(詰まる)」の意味を教えてくれたまへ。
――ええと、なんか大量に項目が出てきたのだが……。
あ、用例でおもしろいのが出てきた。
*仮名草子・浮世物語〔1665頃〕一・六「揚銭に詰(ツマ)りて、桶伏になり」
お。この「桶伏」は和樂webでロングヒットを飛ばしたあの記事に出てきたあれですね!
お金がないのに、遊郭・吉原で性サービスを受けた男への制裁「桶伏せ」が恐ろしすぎる!
って、脱線脱線。辞書ってやつぁこれだからいけねえや(責任転嫁)。
あ、ありました! これですね!
決着がつく。筋が通る。なっとくできる。多く下に打消の語・反語を伴って用いる。→つまらない(詰─)。
22時09分、犯人確保。お手柄お手柄。
しかし、肝心の「つまる」の語源がはっきりしないらしい。
「とどまる」の意味を持つらしいというのだが、中世以後の用例しか見られず、派生した元の言葉と思われる「つむ」「つめる」にしても中古以前の例がないのだという。
「つまらない」探求の旅は、こうして多くの謎を残しながら幕を下ろすこととなったのだった――。ん~、無念である。
アイキャッチ画像:勝川春章『五代目市川團十郎』メトロポリタン美術館(パブリックドメイン)より
参考文献:
・『日本国語大辞典』小学館
・『デジタル大辞泉』小学館