クリスマスやイースターのように、キリスト教で重要な日と同じように、仏教にもお釈迦(しゃか)様にまつわる重要な日があります。それが、お釈迦様が生まれた4月8日の降誕会(こうたんえ)、悟りを開いた12月8日の成道会(じょうどうえ)、そして入滅(亡くなった)した2月15日の「涅槃会(ねはんえ)」。この三仏忌(さんぶつき)は仏教にとって欠かせない日です。
釈迦の入滅は中国や日本では旧暦2月15日とされ、現在は3月15日に行なわれているところが少なくありません。お寺で営まれる涅槃会がどのようなものかというと、大きな「涅槃図」が掲げられ、「涅槃経」や「仏遺教経(ぶつゆいきょうぎょう)」が読まれます。
涅槃図 17世紀~18世紀前期 331.5×229.0㎝ メトロポリタン美術館 @The Metropolitan Museum of Art, Martin A. Ryerson Collection
涅槃図とは、娑羅双樹のもとで頭を北にして西を向き、右脇を下にした姿で横たわった、入滅した釈迦の周囲を、十大弟子や菩薩、天部の仏のほか、動物や鳥類、虫が嘆き悲しむ様子が描かれたもの。京都の寺に伝わる涅槃図は、非常に大きなサイズで、狩野派をはじめとして、長谷川等伯や伊藤若冲らの有名な絵師が手がけていることも特徴です。
涅槃図 鎌倉時代・14世紀 196.9×188.6㎝ メトロポリタン美術館 @The Metropolitan Museum of Art, Rogers Fund, 1912
涅槃会で特別公開される「涅槃図」は必見!
真如堂 大涅槃図公開
江戸時代の宝永年間に、僧厭求や海北友賢らによって制作された、縦6.2×横4.5mの涅槃図が公開されます。この図で釈迦を悼む動物や魚類、虫などの数は127種類にも及び、涅槃図に描かれた動物の種類の多さは日本でも最多の規模。また期間中は、涅槃会に欠かせない「花供粗(はなくそ)あられ」の授与も行われます。
日程:3月1日(金)~31日(日)
拝観時間:9:00~16:00(受付は15:45まで)
拝観料:1,000円(菓子込み)
公式サイト
東福寺 涅槃会
旧暦2月15日前後に行われる東福寺涅槃会では、通常非公開の本堂と、国宝の三門・龍吟庵が特別公開されます。普段は入ることができない本堂の中央には、15世紀初頭に明兆が描いた縦約12m×横約6mの「大涅槃図」が掲げられます。この涅槃図の特徴は、ネコがこっそり描かれていること。天井に描かれた堂本印象作の巨大な「蒼龍図」も迫力満点。本堂で授与される「花供御(はなくご)」も有名です。
日程:3月14日(木)~16日(土)
拝観時間:9:00~15:30(16日は15:00まで)
拝観料:国宝三門 500円、国宝龍吟庵 500円、本堂は無料
公式サイト
泉涌寺 涅槃会
大涅槃図の一般公開および法要が行われます。享保2(1717)年4月8日に報恩寺第15代住職であった画僧・明誉古礀(みょうよこかん)によって奉納された「大涅槃図」が公開されます。「大涅槃図」は縦15.1×横7.6mもあって、涅槃図では国内最大級。涅槃会法要は15日10時からと13時から行われます。
日程:3月14日(木)~16日(土)
拝観時間:9:00~16:30
拝観料: 500円
公式サイト
清凉寺 涅槃会及びお松明式
お釈迦様を荼毘(だび)に付した様を再現したものといわれる「嵯峨お松明(たいまつ)」は、京都でも最も古い行事のひとつ。火の燃え方で豊作を占います。15:30から京の三大念仏狂言のひとつである「嵯峨大念仏狂言」も行われ、自由に鑑賞できます。
日程:3月15日(金)
スケジュール:10:00~護摩焚き、15:00~護摩木厄除祈願、19:00~涅槃会の法要、20:00~提灯行列の後、松明に点火
拝観料:当日は無料(通常400円)
公式サイト
本法寺 涅槃図公開・寺宝展
通常は、長谷川等伯の手による縦約10×横約6mものスケールを誇る重要文化財の「佛涅槃図」の複製が展示されている本法寺で、春季特別寺宝展の期間限定で、等伯の正筆が開帳されます。また、涅槃会館では本阿弥光悦などの寺宝が多数公開されます。
日程:3月26日(火)~4月21日(日)
拝観時間:10:00~16:00
拝観料:1,000円
公式サイト
※都合により拝観不可の日もあるので、お問い合わせください