ヘルシーフードがランキングを席巻!人気のおかずランキング
江戸時代は、1日3食の文化が定着した頃。人口の増加とともに食材の消費量が増え、18世紀には魚市場や野菜市場が誕生。そこに食材を集荷して売るスタイルが出来上がりました。
江戸湾で採れた新鮮な魚介類や、千住のエンドウ、練馬の大根、早稲田のミョウガといった、近郊で収穫された野菜など、出回る食材の種類も豊富に。
このように食文化が大いに発展した社会に生きた江戸っ子たちは、普段どのようなおかずを好んでいたのでしょうか?
こちらの番付は、東西を精進方と魚類方に分け、人気のおかずを格付けしたもの。勧進元の箇所には味噌やしょうゆ、塩、行司欄にはたくあん、糠味噌など、調味料や添え物が並んでいます。
そして、精進方は、八杯豆腐、昆布と油揚げの煮物、きんぴらごぼう。魚類方はめざしいわし、貝のむき身と切り干し大根の煮物、芝海老のからいりが上位にランクインしています。
八杯豆腐とは、水と酒、しょうゆで煮込んだ豆腐料理。大根おろしをかけて食べる、メジャーな家庭料理だったそうです。めざしいわしは、栄養価が高く、安価で手に入ったため、江戸の庶民たちの重要なタンパク源でした。
当時は食材を冷蔵保存する技術がなかったため、塩漬けなどにして保存食にすることが多め。塩分過多のおそれはありますが、現代と比べるとかなりヘルシーな食生活だったことが伺えます。
銘酒ランキングは現代でも名を残すロングセラーが筆頭に!
元来お酒は、神事や祝宴などの時のみ口にする特別なものとされていました。けれども江戸時代に入ると、輸送技術の発達に伴って各地からさまざまなお酒が集まったり、外食文化が豊かになったりしたことで、日常的に楽しむものになっていきました。江戸の街ではすでに、酒屋の店先で角打ちをする光景も見られ、居酒屋も営業していたようです。
そんな江戸っ子たちに愛された銘酒をランキング化したものが、こちらの『銘酒つくし』。
東西の大関にみられる剣菱と老松は、将軍が飲む御前酒として知られており、いずれも現在に名を残す銘酒です。ちなみにこちらの番付では、伊丹のお酒が上位を席巻しています。伊丹は酒の産地として栄えましたが、後に水車による精米技術等で品質の向上に成功させた灘が、江戸へ出荷する酒(下り酒)のシェアを多く占めるように。灘は現在でも、広島の西条、京都の伏見と並ぶ三大日本酒処として知られています。