必要に迫られて「無いものは作るしかないかぁ…。」ということになり、昨年、ついに私の人生にもWindows版デスクトップPCの自作デビューをする時が到来!
それはまるで、遅咲きの花が開くようなものでした。
初めて自作した、「自分仕様」のクリエイティブ作業用デスクトップPCは無事完成し、同居する我が相棒の愛猫もご満悦。用途は違えど、お互いの愛用品になっています。
秋葉原の色々なPCパーツ専門店の店員さんと話したことや、調べてみたことなどを基に、秋葉原の自作PC事情や文化の今、昔を垣間見ながら、初心者や女性にもおすすめの自作PCパーツの専門店もご紹介。
秋葉原で自作PCデビューのススメ!
やる気があれば、やればできる子
自作PCに興味があったり、いつか自作PCを作ってみれたらいいなぁ…などと思ってみたことはありませんか。
自作PCに関するYouTube動画をこれでもかという程、好奇心と興味のまま大量に見まくっていると、不思議なことに、やる気があれば、自分でも作れるような気に段々となっていくんですよね。一種のイメージトレーニング効果のようなものでしょうか。
中には、自作PCの組み込みの最初から完成までの一連作業を見せてくれている動画も色々とあったので、そういう動画をいくつも見ているだけでも、何台もPCを組み立てた気になってくる更なる不思議。
そして、大型のホームセンターに行くと感じる、自分で家を1軒建ててみたくなるみたいなワクワク感まで湧いてきたので、「ここは、いっちょやってみるか!」と決心した私。
下調べして吟味したPCパーツの下見やパーツ同士の相性の確認など、質問リストを引っさげて、秋葉原にあるPCパーツ店を何軒もハシゴしながら、久々に秋葉原の街をぶらり放浪。
駅前のガード下から始まった秋葉原文化
出典:秋葉原ラジオセンター
秋葉原といえば電気街のイメージが強いですが、じつは、電気街からではなく、駅前のガード下に集まる電気パーツ街からスタートしているんですね。
戦後の時代まで遡ってみると、当時、この周辺エリアは、電気部品の露店が集まるエリアとなっていました。近くに電気エンジニアを養成する学校があったこともあり、この学生達が露天の部品をかき集めて、ラジオを自作で組み立て、このエリアで販売していた歴史があります。この時は、生活のために行われていたことでしたが、こんな古くから秋葉原では自作文化が始まっていました。現在の秋葉原に自作PC文化がしっかり根付いているのも当然の結果なのでしょう。
しばらくして、GHQによって、露店販売を全面禁止する命令が出ると、このエリアの日本人の権力者が彼らの生活を守るために直訴。秋葉原駅のガード下エリアに、ラジオセンターやラジオストアーを作り、そこに電気部品の露店が集結しました。これが、秋葉原ラジオセンターなどがある現在の電気・電子部品街のルーツです。
その後、家電製品の卸を行うお店が増え、電気街が誕生します。
自作PC文化の中心地、秋葉原
秋葉原といえば、自作PC文化も古くから根付いている街としても有名です。WindowsPCが世に出回る前のDOS/Vパソコンの創成期からオタクやマニア向けのPC関連のお店はありました。インターネットがなかった当時は、お店が情報交換できるコミュニティーのような役割も果たしており、情報の発信源にもなっていた人気店は、秋葉原の自作PC文化の中心的な存在で、先駆者にもなっていました。
WindowsのOSやPCが世に普及し始めると、自作PCを楽しむ人々の数も急増。自作者向けのPCパーツ専門店も一気に増加し、秋葉原の街にPCパーツ街も誕生。秋葉原の文化の1つとして、自作PC文化がしっかり根付き、現在も秋葉原は自作PC文化の中心地となっています。
秋葉原の自作PC事情の今昔
15年ほど前までは、最新パーツをいち早く購入して最新型のWindowsデスクトップPCを自作すると、市販品を購入するよりもかなり安く仕上げられることも多かったので、これは自作ならではの大きなメリットにもなっていました。また、驚くような特価のPCパーツを寄せ集めて、格安で性能の良いPCを仕上げることも大いに楽しめたようです。
しかし、秋葉原の街の再開発が開始され、大型店が沢山建ち始めると、廃業となる小規模なPCパーツ店も続出。さらに、最新型のWindows PCの価格も値崩れし、下降の一途をたどるばかり。そんな時代の変化と共に、自作PCのかつての大きなメリットは徐々に薄れていき、秋葉原の自作PCブームにも陰りが出てきました。
世は「自分仕様」の時代!カスタムモデルを追求すると「自作」に行きつく!
とは言っても、PCのパーツの質を見た場合は、完成された市販PCと同レベルのものが、たとえ同じ値段で完成したとしても、吟味したパーツで組んだものであれば、自作の方が当然、質は上回っています。
また、新型Windows PCの発売のサイクルが早い現在、市販品などでは乏しい拡張性も十分に加味して自作すれば、長い目で見るとかなり安上がりになることも少なくありません。
なぜなら、パーツを最新のものに変えられる限りバージョンアップをしていったり、必要に応じて機能を拡張し続けていくことで、長く使い続けられるからです。しかも、常に「自分仕様」でこだわりながら楽しめるのです。
特殊用途の高性能PCやハイエンド的なPCほど、この恩恵は高いことでしょう。
昔ほど価格的なメリットは薄れても、こだわれる箇所やPCパーツの種類はどんどん増えているので、自作する理由も現在は多様化してきています。
若年や女性の自作PCデビューは増加傾向
そんな現代の自作PC事情の中で、若者のPC離れまで起こっているとメディアでは述べられているようですが、実は、若年や女性の自作PCデビューは、緩やかですが、増加傾向にあるらしいのです。理由は様々ですが、女性の中には大人女子でデビューされる方も少なくなく、中には、我が子のためにゲーム用のハイエンドのデスクトップPCを子どもと一緒に自作するというお母さまも結構いるとのこと。
カッコいいですね!
現代の自作PCマニア
TVゲームを与えられて育ったゲーマー世代の若者は、昭和の時代の高額商品の代名詞であり、ステータスの1つともなっていた高級車を所有したがらないという話は有名ですが、その代わりに、自分の人生を豊かにするものや趣味にお金をかける方が増えています。
車好きの方が、自分で愛車をカスタムして楽しんでいる感覚で、ゲーム好きの世代は、PCパーツにこだわり、見せる美しさも含めて、こだわりの自作PCを愛用の数々のゲームソフトと共に楽しんでいる方も多いらしいです。しかも、採算度外視でお金を費やして楽しむ大人も少なくないとのこと。
また、最近人気のPCゲームは、パソコンに負荷がかかるものが多いので、愛用のゲームソフトをフル機能で楽しめるように、性能面で余裕があるハイエンドPCを「自分仕様」で自作する方も多いです。
さらには、愛車を走らせて最高走行速度の記録を競うかのように、CPUのクロック数を保証範囲を上回る周波数まで上げて、オーバークロックの数値の記録を楽しむのも、この手の愛好家に多く、「オーバークロック世界大会」なんていう世界レベルの大会まであったりします。これはある種のマニアの世界ですけど。
「見せるデスクトップPC」は現代の自作PCの大きな醍醐味の1つ
ゲーム用PCといえば、昭和の時代のトラック野郎が乗り回していたデコトラも驚くような、ギラギラに光るLEDのイルミネーション機能を持っていることでも有名です。もともとは、ゲーマーやゲーミングPCに向けて各専門メーカーが販売開始したイルミネーション機能付きのPCパーツ。これは、ゲーマーでなくても、多くの現代の自作PC者の心にも火をつけました。
マザーボード、メモリー、CPUクーラー、グラフィックボード、ファンなど、各イルミネーション付きPCパーツを組み込んで、音楽やサウンドに合わせてPCパーツを光らせたり、PCから操作して気分によってイルミネーションの色を変えたり、自分好みにイルミネーションの光るパターンを変ることなどもできます。インテリアの照明代わりに使ってしまう強者やオシャレさんも少なくないほど、遊び心やギミックも満載されているんです。
中には、PC内の温度管理を各パーツの色で判断できる機能のあるPCパーツも。もちろん、イルミネーション機能をオフにして使うこともできる物がほとんどです。