『食の力』と題し、沖縄のいま訪れるべき場所をご紹介します。
「カナ」のカナ定食
食べることで薬になる沖縄の食の知恵をおいしく味わう
「イラブーシンジ」(イラブー・海蛇の煎じ汁)、「ウカライリチー」(おからと野菜の炒め)、「インジャナバー(苦菜)の白和え」、「イナムドゥチ」(白味噌仕立ての沖縄風豚汁)など、「カナ定食」で供される13皿は、沖縄の家庭で昔からつくられてきた伝統的な「母の味」。つくり手は我謝藤子さん、81歳(※)。〝ヌチグスイ〟(命の薬)と親から子に継がれてきたこれらの料理も、今ではつくれる人が少なくなってしまいました。写真の炊き込みご飯「ジューシー」は血圧を下げる作用のある沖縄産ヨモギをふんだんに。
[フーチバージューシー]フーチバーは沖縄でニシヨモギのこと。香りの高さが自慢の自家栽培。豚肩ロース、にんじん、かまぼこ、卵を鰹と豚の合わせだしで炊き、炊き上がりにヨモギを混ぜ込む。味つけは控えめ
「ジューシー」と人気を二分する「オカラ」は、島豆腐のおからがたっぷり。口の中でパサつかないよう、水分を多く含む島もやしを選ぶのがコツ。ひと皿の中に栄養を補う知恵があり、藤子おばぁのおいしい工夫が詰まっている。体いっぱいに滋味が広がる喜び、感じてください。
写真左/藤子さんの娘、泉さんと夫のアレックスさんの協力のもと、1年の休業を経て2015年春に再開。藤子さんと名コンビだった夫の孟諄さんは惜しくも引退。写真右/店は静かな住宅地にある。
カナ
住所/中頭郡北中城村屋宜原515-5 地図
営業時間/18時~21時
定休日/日曜・月曜・木曜休(+不定休)
予約制
食事は3種類、カナ定食4,000円、イラブー定食3,500円、イラブー汁付きカナ定食6,000円(すべて税込)。
※2015年7月当時の情報です。
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撮影/石井宏明 取材・文/藤田優
構成/木村優、小竹智子、久保志帆子