「沖縄に行ったら沖縄そばが食べたい!」そう思っている旅行者も多いはず。でもちょっと待って! あなたの食べたいのは本当に沖縄そば? 八重山そばや宮古そば、もしくはソーキそばなんじゃないの? はたまた宮古島や石垣島に行って沖縄そばを食べるつもりだったのに、八重山そばや宮古そばのメニューを見て混乱したり。そして極めつけは、これらのそばは “そば” ではないという事実も。今回は観光客を悩ます沖縄そば、八重山そば、宮古そば、更にはアーサそば、ゆし豆腐そばなどの派生そばをご紹介します。これで何そばが食べたいのかハッキリするはず。
沖縄そばの定義とバリエーション
まずは基本の沖縄そば。沖縄そばは、砂糖醤油で煮込んだ三枚肉(バラ肉)とかまぼこ、ねぎが乗っています。麺はきしめんのような感じ。ショウガは最初から乗っていたりテーブルに用意されていたりします。スープは豚骨と鰹だし。
テーブルには、瓶詰された液体の中に赤い唐辛子が漬けられたしまとうがらしの調味料(コーレーグース)が必ずと言っていいほど用意されています。まずはそのままでスープを味わってから、お好みでコーレーグースを入れましょう。数滴でピリッとしますと書かれていますが、私はまぁまぁドバっと入れます。はじめての人は数滴からどうぞ。この調味料が気に入ったら、お土産としても買って帰るのもおすすめ。空港のショップならミニサイズが販売されていて、持ち帰るのに便利です。
ここで注意点があります。沖縄そばには明確な定義があって、上記のようなものを東京や大阪で作ったとしても沖縄そばとは言えないのです。
本場沖縄そばの定義
どれか1つが欠けても沖縄そばとはよべない
1 . 沖縄県内で製造されたもの
2 . 手打式(風)もの
3 . 原料小麦粉 タンパク質11%以上 灰分0.42%以下
4 . 加水量 小麦粉重量に対し34%以上~36%以下
5 . かんすい ボーメ2度~4度
6 . 食塩 ボーメ5度~10度
7 . 熟成時間 30分以内
8 . めん線 めんの厚さ1.5~1.7ミリ切葉番手 薄刃10番~12番
9 . 手もみ 裁断されためん線は、ゆでる前に必ず手もみ(工程)を行う
10. ゆで水のPH8~9
11. ゆで時間 約2分以内で十分可食状態であること
12. 仕上げ 油処理してあること
出典:沖縄製麺協同組合HPより
ここで 「おや?」 と思った人もいるでしょう。原料がそば粉ではなく小麦粉となっています。実は沖縄そばは、本土で馴染みのあるそば粉を使った “そば” ではなく小麦粉が使われているのです。
アーサそば
沖縄そばの中でもアーサをトッピングしたり、場合によっては麺そのものにアーサが練り込まれていたりするのがアーサそば。アーサとはヒトエグサという海藻の一種で、沖縄ではお味噌汁に入っていることも。
ゆし豆腐そば
こちらも沖縄そばのバリエーションのひとつ、ゆし豆腐そば。ふわふわのおぼろ豆腐が乗っていてかなり優しい味。二日酔いの翌日に食べたら、カラダが浄化されそう(笑)。
ソーキそば
こちらはソーキ(スペアリブ)が入ったソーキそば。お肉がとっても柔らかくて美味しいんです。ガッツリ食べたいならソーキそばがおすすめです。優しいゆし豆腐そばとは反対の立ち位置ですね。
アーサそばやソーキそば、ゆし豆腐そばは、使われている具材の名前がついた沖縄そばということになります。
八重山そば
沖縄そばが違う地域に行くと八重山そばや宮古そばという名前に変化し、麺やスープの特徴も変わってきます。石垣島や竹富島、小浜島などがある八重山諸島で楽しめるのが八重山そば。細くて丸いストレート麺で、豚肉は細切りにされています。スープはほんのりと甘みが感じられます。
八重山そばにはピパーツ(ピパーチ、ヒハツモドキ)という香辛料を入れるのが特徴です。ピパーツは健康系のテレビ番組でも取り上げられ、発汗効果や血管のアンチエイジング効果が注目されていますが、少しクセがあるので好き嫌いもあるかもしれませんね。入れる際は少しづつ試してみてください。
ちなみに、那覇では沖縄そばが主流で、八重山そばや宮古そばをメニューに載せているお店はそう多くはないですが、八重山では八重山そばだけではなく、沖縄そばもメニューに多いという印象です。私自身、過去に八重山で3回そばを食べているのですが、そのうち2回は沖縄そばを食べていたということが写真を確認して発覚! ただしお店によっては具以外はあまり違いがないことも。ですがせっかく離島に行くなら八重山そばや宮古そばを食べてみてくださいね。
宮古そば
宮古そばの麺は縮れのない平麺で、スープはあっさり。本来は具を麺の下に隠してしまうのが最大の特徴でした。これは高い年貢と関係しているといわれています。「具をのせれないほど困窮している」というアピールというわけですね。今では宮古島でも具が見えない宮古そばというのは、旅行者の目線ではあまり見かけることはありません。カレー粉がテーブルに置かれてあるのも特徴的です。
10月17日は沖縄そばの日
10月17日は沖縄そばの日です。沖縄そばは、本土復帰後その呼び方を禁止されていました。理由は先に述べたように、そば粉が使われていないからです。そこで沖縄生麺協同組合は昔からの呼び名を存続させようという活動を展開し、晴れて公正取引委員会から “沖縄そば” の呼び名を使ってもいいと認められたのが1978(昭和53)年10月17日なのです。
“そば” という名を勝ち取るために、そんな戦いがあったとは……。島によって異なる味や調味料とともに、歴史すら感じさせるソウルフード。沖縄を旅する際には必ず一食はお世話になる沖縄そば。ぜひ、それぞれの違いを理解した上で、味わってください。
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参考サイト:沖縄製麺協同組合HP