いかにも味が染みていそうな大根。形や色もさまざまな練り物に、ふっくらとふくらんだ油揚げ…。自家製おでん種とだしで名店といわれるのが、木造一軒家のカウンターに20名で満席の「こなから」です。
関西風のダシが絶品! 東京・湯島の名店「こなから」
薄黄金色のだしはほれぼれとおいしそうですが、納得の味にたどり着いたのは開店から15年ほど経ったころとか。決め手は大分のどんこでした。さば節、かつお節、昆布にどんこの軸を合わせ、塩のみで調味したそのだしは、味わい深いお吸い物のよう。しょうゆや砂糖を使った関東に多い甘めのだしとは対照的なきりっとした味が、おでん種それぞれの味を引き立てます。
圧巻は牡蠣のおでん。お椀にたっぷりのおでんだし、そこに小ぶりな牡蠣が3~4個。「これがおでん?」という感じですが、おでんのだしが香り、ぷりっとした食感と海の旨みが、幸福感とともに口中に広がります。牡蠣は冬期限定ですが、夏には鱧おでんのお楽しみも!
ご主人の中田利雄さんは、大阪や京都の料理店で修業し、ホテルや旅館の板長を経て東京へ、という料理人。平成2年に開店したこの店で「おでんで天下をとりたい!」と、だしの研究やオリジナル種づくりに情熱を注ぎました。ビールや日本酒がすすむ各種の居酒屋料理も一緒につまみながら、掘り炬燵式カウンターでほっこりどうぞ。
お通しとともに、おでんだしでつくるだし巻き卵もぜひ!
◆こなから
住所 東京都文京区湯島1-9-6
公式サイト